世界から猛烈批判!日本の児童養護施設について知るべき5つのこと

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毎年、児童虐待のセンセーショナルな事件をニュースで目にするようになって久しいです。数年前には、「なんて酷いことをする親がいるのだろう」とショックを受けたものですが、最近では「またか」という感想に変わってしまったという人もいるのではないでしょうか。被害に遭った子どもが施設に無事に保護されたという報道を聞いては、胸を撫でおろす人も多いでしょう。

児童虐待のニュースが流れると、学校や児童相談所の対応などが問題視され、虐待から子どもの命を守る対策がメディアでもクローズアップされます。早く無事に施設に保護してあげるべきだという意見は最もですが、実はここで大切なことを見過ごしています。それは、保護された子どもがその後、どう成長して大人になるのか、という点です。

しかし、実は保護された後の「施設での生活」こそが問題で、児童養護施設と里親制度をめぐる日本の態勢は、数年前から世界から非難されているのです。

国連の「児童の代替的養護(=社会的養護)に関する指針」には以下の記載がありますが、この3つが現在の日本で守られているとは言えないのが現状です。

  • 児童たちは原則、家庭環境が与えられること
  • 施設養護は段階的に廃止、脱施設化を進めていくこと
  • 施設への入所は、必要に応じたごく限られたケースのみとすること

こうした国際社会からの要請に眼をつむり、日本政府は今に至るまで家庭養護を無視してきたと批判されています。さらに、我が国は2010年、「国連子どもの権利委員会」から公式な報告書内で勧告を受けているのです。

国連では里親措置や特別養子縁組の取組みが著しく遅れていることを筆頭として、児童の権利を充分に担保するための政策が行われていないと指摘しているわけです。これが国家レベルでの児童虐待だという声もあります。しかし、それでは具体的に日本の養護施設の何がそんなに問題なのでしょうか。

そこで今回は、日本人なら知っておくべき「世界から批判される日本の児童養護施設の問題点」を5つ紹介しようと思います。あなたはこれでも、日本の児童施設や里親制度に問題はないと思うでしょうか。

虐待相談対応数は年々増加

以前は、児童養護施設は「孤児院」と呼ばれていましたが、現在はむしろ孤児は少なく、親はいるが養育不可能になったため預けられている場合が圧倒的に多いのです。なかでも、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童の割合は年々増加しています。

2013年2月の調査では、児童養護施設入所児童数のうち虐待を受けた経験のある児童の割合は59.5%でした(厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査」より)。これは他の先進国と比べてみても、非常に高い割合です。

ちなみに、2016年8月、厚生労働省は、15年度に全国の児童相談所が対応した虐待通告件数が10万3260件(速報値)と、初めて10万件を超えたことを公表しました。子ども虐待に関する統計が初めて取られた1990年の通告件数は1101件であり、25年の時間経過があったとはいえ、100倍にも及ぶ増加は特異なものであると言えます。

もちろんこれは相談件数であり、実際の虐待数ではない。昨今のメディアによる虐待報道の結果ともいえますが、このように虐待を受けた子供が次から次へと施設に預けられているというのが現状なのです。

慢性的な施設数&職員不足

このように虐待児が増えていけば、必然的に児童養護施設の入所可能人数や職員数が不足するのも予測ができるでしょう。あるドキュメンタリーで4:30頃に登場する児童養護施設職員は、入所児童の個人的なスペースがなく、職員数も慢性的に不足していることを問題視しています。

児童養護施設の職員というと、職員による施設内虐待という悪いイメージを持たれることも多いですが、ほとんどの職員の仕事はかなりハードで、ほぼボランティア状態です。

職員一人で何人もの子供を同時に見なければならないですし、親に捨てられ傷ついた子どもから理不尽な暴言を受けることもしょっちゅうです。もちろん残業代なんて出ないのです。仕事はハードな割に、給料はコンビニアルバイトの給料と変わりません。待遇があまりにもひどいため、せっかく見つけた人材もすぐに離職してしまう悪循環を繰り返しています。

このような現状からも、児童養護施設が日本社会から閉ざされた世界であることがわかるでしょう。

施設で育つことの問題点

虐待から逃げ、施設に預けられたら、そこがゴールなのではありません。国連が「施設養護は段階的に廃止、脱施設化を進めていくこと」を目標にするには理由があります。

まず、施設内の限られたスペースのなかで様々な年齢の子どもを入所させるとなると、中学生や高校生など「自分のスペース」が必要な子に割り当てられないという問題があります。さらに、少ない職員で大人数の子どもの面倒を見るとなると、日常の細々としたことにまで「ルール」をつくる必要に迫られるわけです。

この「ルール」にがんじがらめの生活で育った施設の子は、いざ大人になって社会に出ると、ルールなしにどう行動すればいいかわからなくなります。社会のことが何もわからず、急に外に出されても、仕事がうまくいきません。これは予想がつくでしょう。

国連は、「児童養護施設に長く居すぎると、子どもの精神的・社会的を妨げる」としています。実際に施設出身者は学力も低い傾向にあり(大学進学率は全国平均75%に対し、養護施設の児童はわずか20%)、日本社会の最下位層の暮らしをしているケースも珍しくありません。食べるもの、着るもの、寝るところが備わっていれば、子供は勝手に育つというのは間違いです。愛情をもった大人が”見てあげる”ことで初めて、人として心が成長できるのです。

施設に保護されたからそこで「ひと安心」なのではなく、そこからが本当の意味での「生きる闘い」の始まりなのです。

養子が成立しにくい法制度

日本の「捨てれた子」をめぐる最も根源的な問題が養子縁組委託率の低さです。

先進国の中で、4万7千人もの子どもたちが施設で暮らしているのは日本だけです。上児童施設に預けられた子供が里親のもとに引き取られる確率は日本だけが圧倒的に低いのも事実です。

日本国内では、年間平均3000人いる保護を必要とする赤ちゃんのうち、9割が乳児院に入所しています。比較的里親が見つかりやすい乳幼児でも、ほとんどが里親に委託するまでに至らないというのが現状なのです。これは世界的にみるとかなり珍しいです。

なぜ日本では、里親委託はなかなか推し進まないのでしょうか。一番大きいのは、里親委託に対する実親の同意を得ることが難しい点にあります。児童相談所の調べによると、多くの親が子どもを他の家庭に託すことに強い抵抗感を示すといいます。「子どもが託している家に愛情が移って、離れなくなるのが心配」「自分で育てるのは無理だが、手放すのは嫌だ」という理由です。

ちなみに、アメリカやイギリスでは、産みの親が里親や施設に子どもを預けて、一定期間面会に来ないなど、適切に子どもの養護を行っていないと判断されると親権をはく奪されますが、日本にはこのような法的介入はもちろん存在しません。

さらに、養子縁組など親権について判断する機関が、欧米では裁判所なのに対し、日本は児童相談所という行政機関なので、なかなか先に進みにくいのです。日本の児童相談所は虐待相談への対応に追われており、里親委託まで手が回らないというのが現状なのです。

国民の無知・無関心

そして、これらの問題の根本にあるのは、私たち国民の「無知・無関心」です。国連から再三注意がなされているにも関わらず、このことすら国民のほとんどが知らないのです。虐待問題についての報道は目にしますが、「児童養護施設で成長することの問題点」や「日本独自の里親制度」について触れた報道はほぼありません。

虐待は、日本の子育て世代にも関係した話なので注目を集めやすいですが、施設に保護された子どもがどう居きるのかなんていう問題は、ほとんどの人にとっては他人事なのです。

施設に預けられる子どもというのはどこの国であってもマイノリティーですが、マイノリティーだから無視していいというわけではありません。むしろ、マジョリティーではなくマイノリティーが生きやすい社会づくりを目指すことが、先進国の使命ではないでしょうか。

そのためにはまず、私たち国民の一人一人が、自分には直接関係のない「マイノリティー」に目を向けることです。

まとめ

今回は日本の児童養護施設について書いてきました。施設出身者、親がいない子ども、母子家庭、同性愛者、身体障がい者、精神障がい者、在日外国人、ホームレス、ハンセン病患者、エイズ患者…

世界にはたくさんのマイノリティーがいて、世界をつくっています。マイノリティーの声に耳を傾け続けること。これが先進国に生きる、マジョリティーの義務ではないだろうか。

世界を旅するあなたたちには、ぜひ知っておいてほしい現実です。

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