イスラム教国家の夢の跡~アルハンブラ宮殿を歩いてみた

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イスラム教国家の夢の跡~アルハンブラ宮殿

スペイン・グラナダ南東の丘に周囲2キロにも及ぶ規模を誇る「アルハンブラ宮殿」。スペインがイスラム教徒によって支配されていた時代を今に伝える巨大な歴史的建造物群である。

宮殿であると同時に要塞でもあるアルハンブラは、代々のスルタンたちの夢の結晶であり、スペインにおけるイスラム国家の盛衰を今に伝えている。

カトリック王による制圧や月日による荒廃、戦争・侵略による破壊を経てもなお、アルハンブラ宮殿は、そこ染み込んだ歴史と物語とを訪れる人々に語りかけてくるようだ。

アルハンブラ宮殿の起源と、イスラム国家の繁栄と衰退の歴史

現代スペインにおける、もっとも重要かつ人気の観光地であるアルハンブラ宮殿だが、その起源は、「アルカサーバ」と呼ばれる砦跡に遡るという。

8世紀、北アフリカからやってきたイスラム教徒は、わずか数年でスペイン全土の大半を征服し、コルドバを中心とするイスラム国家「後ウマイヤ朝」を築いた。アルカサーバは、彼らが土着農民の反乱に対する防御のために築いた軍事要塞で、現在のアルハンブラの最西端部分にあたる。

11世紀に入ると、キリスト教による国土回復運動「レコンキスタ」の影響を受けはじめ、13世紀には、イスラム教徒たちはグラナダを中心とするアンダルシア南部に追いつめられた。時のイスラム王国「グラナダ王国(ナスル朝)」は、グラナダを首都とし、アルカサーバを拡張。水道が設置され、多くの塔や門が建設され、宮殿としてのアルハンブラが形成されていった。

最初に建てられた宮殿は現存していないが、続く100年間の間に、マチューカの塔、コマーレスの塔、正義の門、スィエテ・スエーロスの門、コマーレス宮、ぶどう酒の門、そしてライオンの中庭など、現在も目にすることのできる建造物が次々と建てられていった。

最後のイスラム国家「グラナダ王国」と最後のイスラム君主「ムハンマド12世」

グラナダ王国最盛期には40万人を擁したグラナダだが、レコンキスタの脅威、内部での王族たちの抗争などが原因となり、王国は弱小化していく。

1492年、とうとうグラナダが陥落。グラナダ王国最後の王ムハンマド12世(ボアブティル)が、カトリック両王と呼ばれた夫婦「アラゴン王フェルナンド王2世」と「アスィーリャ女王イサベル1世」に、アルハンブラ宮殿を無血開城し、涙をためた目で振り返りながら立ち去ったとの伝説もある。

見学を終えて立ち去る時には、ムハンマド12世に倣って振り返ってみよう。再び訪れることがあるだろうか、もしそんな時が来たとして、この場所は同じ姿を保っているだろうか、そんな思いは共通かもしれない。

イスラム宮殿からカトリック宮殿へ、モスクから教会へ

スペインの地に800年余り続いたイスラム国家の宮殿として、またカトリック教徒ら対抗勢力に対する軍事要塞として存在していたアルハンブラ宮殿は、初めてカトリックの洗礼を受けることとなった。

カトリック両王の孫にあたるカルロス5世は、モスクを教会に変身させ、グラナダを避暑地とするため、宮殿を建築。噴水や礼拝堂、修道院を増築していった。カルロス5世宮殿は、純イタリア様式で設計され、イスラム建築の中で異彩を放っている。

アルハンブラを形成する構造物

アルハンブラ宮殿は、住居としてだけでなく、官庁、軍舎、厩舎、モスク、学校、浴場、墓地、庭園といったさまざまな施設を備えた、一つの街として機能していた。それだけに見どころは多い。

入場制限のある「メスアール宮(ナスル宮)」は、アルハンブラ宮殿内でも、もっとも古くメインとなる王宮で、天井装飾のムカルナスを代表とするイスラム文化の精緻な装飾や、涼しげな水を使った庭園を楽しめる。

「メスアール広場(メスアールの間)」は、謁見や裁判が行われた場所であり、重厚な雰囲気を醸し出している。また、王の座所は逆光が入り、謁見者から王の顔がはっきり見えないように工夫されているという。訪れた際に確認してみたい。

続く「黄金の間」は、謁見に際して、王への訴えを言上する場だったとか。二重アーチの向こう側にある、コマーレス宮の2階の格子窓からは、ハーレムの女性たちが謁見者たちを覗いていたそうだ。

「コマーレス宮のファサード」は、宮殿中心部であり外交と政治の場だった「コマーレス宮」の正面のこと。アラベスク模様の精巧さとタイルの鮮やかな色彩に驚かされる。

「コマーレスの中庭(アラヤヌスの中庭)」は、大きな池のある庭で、宮殿が水に映り込む幻想的な姿を写真に収めようと、カメラを構えた見学者たちがさまざまな角度からファインダーを覗いている。

「大使の間」の特徴は、天井近くに切られた透かし彫りの窓の装飾と寄木細工。差し込む光が作り出す模様にうっとり。

「ライオンの間(ライオンの中庭)」では、12頭のライオンが出迎えてくれる。噴水を中心とした中庭の周囲には、王の妃たちの住い「ハーレム」があったといわれている。

「アベンセラッヘスの間」は、「二姉妹の間」と同様、鍾乳石を使った天井装飾が見学のポイント。アベンセラッヘス家の一人が王の妃と通じ、一族全員がこの部屋に閉じ込められ処刑されたとの伝説があるそうだ。美しさの中に凄惨な歴史がプラスされた場所となっている。

「アルカサーバ」は、アルハンブラ宮殿でもっとも古い時代の軍事要塞跡。厚く頑丈な壁が当時の難攻不落さを思わせる。

「カルロス5世宮殿(博物館)」は、アルハンブラ宮殿がカトリックに移譲された後に建てられた豪奢なイタリア風の王宮。イスラム色の濃いアルハンブラの中で、ここだけが異彩を放っている。

正方形の建物内部に円形の中庭を設けたルネッサンス様式で、一部は未完だといわれている。また、1階部分は博物館となっていて、ミュージアムショップではお土産も購入できる。

見学のコツ

宮殿とは呼ばれていても、実質的には小さな街ほどの規模がある。そこで使用できる交通手段は、自分の足だけだ。そのため、見学にはそれなりの体力と時間が必要となる。

時間が限られるなら、見学箇所を絞り込み、ルートをガイドブックなどで下調べしておくか、現地ツアーに参加したりやガイドを雇うとよい。

多くの観光地同様、アルハンブラ宮殿も午後から観光客で埋め尽くされる。見学は午前の早い時間帯がおすすめだ。夜のアルハンブラは、昼間とは全く違う姿を見せてくれるので、両方を体験できれば、感動は2倍となる。

食事と宿泊

アルハンブラ宮殿内には、スペイン国営ホテル「パラドール」の一つがあり、15世紀に建築された修道院を改築し、ホテルとしている。

重厚でありながらシンプルな調度、それでいて優雅で贅沢な雰囲気。予算に余裕があれば、体験してみたい空間だ。

宿泊しなくとも、パティオや入り口付近の様子は味わえる。また、ホテル併設のレストラン「パラドール・デ・グラナダ」は、誰でも贅沢な時間過ごせる、とっておきの場所。

多少値ははるが、それだけの価値ある味と優雅さを味わいたい。混雑することもあるので、予約しておくのが望ましい。

チケットはインターネットで早めに予約を

アルハンブラ宮殿の入場は、人数や時間が厳しく制限されている。そのため、当日出向いてもチケットは完売の可能性もある。

インターネットで予約をし、クレジットカード決済しておくと、スペインのLa Caixa銀行のATMで発券できる。アルハンブラ現地にも自動発券機がある。受け取りの際に、決済で使用したクレジットカードが必要なので忘れずに。

また、子どもや学生などの割引チケットを購入した場合には、発券時に加え、入場の際にもパスポートの提示を求められることがある。コピーを用意して携帯しておくと安心だ。

さらに、チケットを持っていれば、正面入り口以外の門からも入場可能な場合がある。チケット購入や入場待ちに巻き込まれることを避けられるので、見学順路と合わせて検討するとよいだろう。

チケットに表示された予約時間からその30分後までが入場可能時間帯となる。入口付近の混雑を考え、予約時間の15分程度早めの到着が望ましい。

チケットは、アルハンブラ宮殿内の主要なスポットに使えるフリーパスと、指定された庭園限定の庭園パス、夜間専用のナイトパスなど数種類ある。

注意事項

想像以上に広いため、歩いての見学はかなり体力を消耗する。特に夏は、暑さにも襲われるため、熱中症・日射病対策を忘れずに。帽子・サングラス・たっぷりの水は必携。日傘も有効だ。

アプローチ方法

ヌエバ広場横のゴメレス坂からミニバスで10分。歩くと30分とかなり遠く感じる。もっとも楽なタクシーを利用すれば8分ほど。人数や体力と相談して決めよう。

ヌエバ広場は、アルハンブラ宮殿への起点とされる公園。実際の大きさは、幅25m前後・長さ150mほどの細長い公園で広場とは言い難い。元は川だったところを覆って作られたそうで、なるほどと思わせる姿だ。

しかし、広場を囲む建物の前にはオープンカフェもあり、アルハンブラ見学の前後に一休みするのにぴったりだろう。

グラナダの街にも見どころあり

グラナダは、エキゾチックな雰囲気を味わえる街として人気だ。アルハンブラ宮殿内に立つ複数の塔の中で最も高いのが「ベラの塔」。その頂上からはグラナダの街が一望できる。

グラナダのランドマーク的存在なのが、「カテドラル」。モスクの跡地を使用し、16世紀にゴシック様式で着工されたが、後にルネッサンス様式をも取り入れ、約180年の歳月をかけて壮麗なカテドラルが建設された。

高さ45mのドームが目印で、黄金の祭壇や優しい色合いのステンドグラスが見どころ。夜間のライトアップもおすすめだ。

周囲のアラブストリート風の街並みで、ぶらぶらと散歩を楽しんだり、異国調のお土産屋を覗くこともできる。

世界遺産として見逃せないスポット

世界遺産として知られるアルハンブラ宮殿だが、正式には「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン」として登録されている。

「ヘネラリーフェ(ヘネラリフェ)」は、暑いスペインの夏の離宮として、14世紀初頭に建てられたイスラム建築である。アルハンブラ宮殿の北に位置し、当時二つの宮殿は、間にある峡谷を越えて歩道で結ばれていたと考えられている。

20世紀に入って大規模な補修工事が行われ、いにしえの詩人たちに歌われたというイスラムの天国をイメージした庭園も美しくよみがえっている。水をふんだんに使った涼しげな中庭と、白と黒の石で作られたモザイク歩道が楽しい。

「アルバイシン」は、アルハンブラの西に位置する丘陵地にあり、中世ムーア人の生活様式が残る古い街並みが人気だ。白壁と石畳の景観は、開発が禁じられて厳重に保存されている。

アラブスタイルの浴場やグラナダ考古学博物館、サン・サルバドール教会があるのもこの地区だ。

「サクロモンテの丘」は、ジプシーが住む洞窟住居があることで知られている。実際に生活が営まれているが、家の壁には、「芸術の洞窟」なるプレートが埋め込まれ、集落そのものが博物館のような存在である。

洞窟住居内部の様子は、「洞窟住居博物館」で観察することができ、その芸術性の高さとともに、地形や季節を取り入れ、暑いスペインの夏を少しでも快適に過ごそうとする工夫を見ることできる。

最後に

砂漠の民であったイスラム教徒にとって、「水」と「星」は重要アイテムである。

それを踏まえて宮殿内を歩くと、庭・床・壁・天井を埋め尽くす装飾が、芸術としてだけではない、違った意味合いを持っていることに気づかされる。

スペインの地を治めたイスラムの王たちは、水をあがめ、多くの噴水や池を作ることでその権力を顕示している。また、星をイメージした天井装飾の多さも、砂漠で星を目印として生活していた民族としての歴史を感じさせる。

イスラム教徒たちのいにしえの夢が注ぎ込まれた「アルハンブラ宮殿」。そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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