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シュヴァル理想宮に行ってみた感想と写真。天才?変人?による遺物

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一人の郵便夫が拾った石で造りあげた宮殿~シュヴァル理想宮(Palais idéal du facteur Cheval)/フランス・オートリーヴ

フランス南部のひなびた片田舎の村オートリーヴは、ただこのシュヴァル理想宮だけによって世界に知られ、世界から人を呼び寄せている。

さほど古いわけではなく、有名人が手掛けているわけでもなく、宗教や政治的な背景があるわけでもない。たった一人の郵便夫が道端の石を拾っては積み上げ、積み上げては削り、また積み上げいくという繰り返しで33年を経て作り上げた個人的建造物に過ぎない。

ただしその姿は、「奇想天外」と呼ばれる通り、言葉や文字で想像できる範囲を超えている。実際に目にしてみると頭の中では、「なぜ?」や「どうやって?」といった疑問がいっぱいに広がる。その答えはそこを訪れた人がそれぞれ感じ取ってくるしかなさそうだ。

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郵便夫「フェルディナン・シュヴァル」

シュヴァル理想宮の建造に関わる登場人物はたった一人、オートリーヴの郵便配達人「フェルディナン・シュヴァル」だ。

彼は19世紀半ばにオートリーヴ近くの小さな村で生まれたが、実家は裕福ではなかったため、13歳からパン屋へと奉公に出され、リヨンでパン職人となった。20代後半になった1864年、リヨンで郵便配達の仕事に転職し、1878年にその勤務地がオートリーヴへと変わり、以降88歳で亡くなる1924年までをオートリーヴで過ごした。

当時のフランス片田舎出身者としてなんら変わった経歴を持っているわけではないし、デザインや建築に関わる仕事も勉強もしたことはない。

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一塊の石との出会い

村の隅々まで30キロ以上の距離を歩いて配達して回るという、ある意味退屈な毎日は、彼がもともと持っていた空想癖をさらに高じさせたらしい。

石畳みの路などほとんどなく、もちろん舗装もされていない村の道にはゴロゴロと石が転がっていて当たり前。そんな石の一つが彼のインスピレーションに訴えかけてきたのだ。

あやうく彼を転ばせるところだったその石は奇妙な形をしていたという。彼はすっかりその石に魅せられて大切に抱えて持ち帰った。これをきっかけに、彼は郵便配達の間中、石を見つけては拾って持ち帰るという行動をとるようになったのだ。

それは徐々に、仕事中の石拾いという趣味の域を通り越し、ポケットやバッグには詰めきれなくなり、大きな台車を「拾い集める石のため」に押しながら、郵便配達をするようになっていった。

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妄想と空想と恋

彼が道端の石に魅せられた理由は、その形があまりに奇妙だったからだという。後に彼が造り上げたシュヴァル理想宮の姿の奇妙さを見れば、彼が石たちに見た奇妙さも少し想像ができそうな気もする。

確かに世の中にはおもしろい形をした石は存在するし、それを拾ってお守りにしたり、神として祀ることも少なくはない。

しかし、彼が拾い上げた石はほかの村人たちの目にはただの石ころにしか映らなかったというから、やはり彼の目には特殊なフィルターがかかっていたのだろう。

道端の石の中に「人」や「動物」、さらには「異国の神の姿」を見出すという妄想は、それを積み上げて彼と彼の恋人のための理想の宮殿を作りあげるパーツとなっていったのだ。

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シュヴァル理想郷はアンコールワット似?

26m×12m、高さ10mで2階建てのシュヴァル理想宮。訪れて実際に目の当りにすると、旅人たちはそれぞれに違った感想を持つ。ある者は「ガウディのサグラダ・ファミリアのようだ」と言い、またある者は「あの人物はピカソの絵に出てきそうだ」と言い、またまたある人は「アンコールワットみたい」とまで言う。

そしてそのどれもが、「あ、確かに」と思わせるなかなか的中した表現なのだ。積み上げた石の表面には人や動物たちが掘りこまれ、ゴツゴツとした部分や滑らかに削られた部分が組み合わされている。もちろん規模こそ上記の世界遺産たちとは異なるものの、制作したのがたった一人の郵便夫であることを考えると、確かにかなりの偉業であることは間違いない。

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郵便物や書物からのインスピレーション

彼には、時折オートリーヴへも届いていただろう異国からの絵葉書から、外国の素晴らしくも変わった建造物や宗教的絵画などを目にする機会があったと考えられている。さらに、趣味の一つとして読書を上げていたといい、彼の理想宮にはそこから受け取ったイメージやインスピレーションが多用されているようだ。

たとえば、「ヒンドゥー教の寺院」、「悪魔のような生き物が支える塔」、「エジプトのファラオたちの墓」、「不思議な山高帽をかぶった巨人」、「鍾乳洞の天井に吊り下がるツララ」、「ヤシの木のような鳥のようなモニュメント」など、彼の受けたイメージが形を成したさまざまなデザインがぎっちりと盛り込まれている。

そしておもしろいのは、彼の時代背景と生活環境から、それらのイメージは必ずしも正しい情報を元としていなかったことも想像できるところ。「こんな感じかな~」と、彼が想像たくましく作りだしただろことが、結果を見ている我々にも伝わってくるのだ。

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変わり者~馬鹿者~天才

シュヴァルは、フランスのド田舎で真面目な郵便配達員としての肩書きを持っていた。そんな人物が、石を拾い始めたところで「変わったやつだ」といわれるのは仕方ないのかもしれない。

そして、彼が集めた石を積み上げて理想宮の外郭を積み上げ始めた頃には妄想に取りつかれた「馬鹿者」と呼ばれるようになっていたという。そんな周囲の声に対して、「天才はあらゆる階級に存在する」ことを証明したのが彼だ。

石に対しても建築に関してもデザインにもまったくの知識を持たない農民階級出身者が、33年という年月をかけて作りだした「作品」は、彼の生存中は「頭のおかしなやつが作ったおかしなもの」だったが、死後40年以上が経ち、有名な芸術家たちの目を通して認められ、フランス政府によっても認められる「天才による遺物」となった。

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シュヴァル理想宮の見どころ

とにかく飽きない。

理想宮内は、観光地化されているため各国言語で「名前」がつけられ「解説」も加えられている。これらの案内に従っていけば、見やすいし分かりやすいのは確かだ。しかし、それでは面白さは半減してしまう気もする。

彼の想像力の逞しさを少しは真似て、「これは何だ?」という疑問に対する答えは自分で引き出したい。その上で、シュヴァルの回答と答えあわせをすると、「同じだ!」や「嘘だろ?」という驚きとおもしろさを味わえるはずだ。

また、案内されているのは彼の膨大な作品のほんの一部に過ぎない。一つ一つの石すべてが彼のインスピレーションの塊だ。見どころはまさに満載状態といえる。

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シュヴァル理想宮ミニチュア版「墓所」

彼は理想宮を現実世界での住まいとするよりも、死後の住まいである「墓所」にしたいと考えていたらしい。しかし、教会や法律の壁に阻まれて許されなかった。そこで、彼は教会墓所内の自分の墓となる場所に新たに「墓としてのミニチュア理想宮」を作り始めた。

シュヴァル理想宮から少し離れたところにあり、その規模は10分の1以下ではあるものの、彼の晩年8年間を費やして造られ、より細かい細工が施された。建造を終えて2年後、彼は死去し彼自身が「終わりなき沈黙と休息の墓」と名付けた墓の中で眠りについた。

村の共同墓地内なので自由に見学することができるが、一般の村人たちも眠る墓所でもある。写真撮影などは慎重に行ったほうがいだろう。

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最後に

かなりの田舎にあり、もっとも近い観光地であるリヨンからでも、車で1時間半。電車やバスを乗り継ぐと本数が少ないこともあり、朝出発して日中観光したら、早々に帰路につかなければ、立ち往生しかねない。

見どころはシュヴァル理想宮しかないため、オートリーヴに宿泊する観光客はほぼ皆無だし、実際のその必要性は感じない。だが、路端の石ころを拾いながら歩いたという彼の足跡をたどるわけではないが、村の中を歩いてみる時間を少しは持ちたい。150年前とはいえ、村の様子は都会と違ってそれほど大きく変わっていないだけに、彼と石の出会いとその結果としての理想宮の「奇天烈さ」を体感できるだろう。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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