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人を食う山「ポトシ」を訪れて~使い捨てられた奴隷の数は800万人

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pot8スペインの「宝の山」は、ポトシの「人を食う山」だった~ポトシ「Potosi」/ボリビア

スペインの繁栄の基礎となった「銀」。その大半が南米ボリビアの標高4000mの高地から運び出された。その豊富な銀の産出量と港から船で運ばれる銀塊や銀貨の多さに、「スペインまで銀の橋がかかる」といわれたという。

しかし、天然の産物である銀には限りがあった。やがて枯渇し、スペインからは見捨てられたポトシ銀山。その後錫などほかの鉱物で一時的な繁栄を取り戻したこともあったが、今はごくわずかな掘り残しを、細々と手掘りする先住民たちがいるばかり。

そんなポトシ銀山は、その全盛期にスペイン人たちによってポトシ市街地に建てられた豪華な建造物とともに世界遺産に登録された。しかし、その保存状態は決して十分ではなく、危機遺産としても登録されている。さらには、多くの先住民たちが超低賃金で厳しい労働に就かされてきたこと、アフリカなどからも労働力としての奴隷がもたらされたことなどから、「負の遺産」としての面も合わせもっている。

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ポトシは「宝の山」

スペイン人はその山を「セロ・リコ」と呼んだ。これは「豊かな宝の山」を意味する。銀を豊富に産出するその山は、スペイン統治下でも三大銀山として遠くヨーロッパでもその名をとどろかせ、一時は南北アメリカ大陸でもっとも人口が多い町として繁栄もした。

また、ポトシがスペイン人にとって宝の山となったのは、銀の産出量だけが理由ではない。彼らは1日わずかな賃金で働きいくらでも取替可能な労働力「先住民」と「アフリカン奴隷」を大量にストックしていたのだ。スペイン人にとって、ポトシの銀はほとんど元手をかけることなく手に入れることができる財産であり、ポトシの町はまるで打出の小槌のような存在だったのだ。

しかし、すべての富をスペイン人とスペインに吸い上げられたポトシは、銀が枯渇するとあっという間に廃れてしまった。残ったのは、穴だらけの山とスペイン人たちが富にまかせて建てた豪華な家や教会。それらが今世界遺産となっているのだ。

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先住民やアフリカからの奴隷の過酷な労働条件

現在でも、鉱山で働く工夫たちの賃金は1日3ドルにも満たないという。それでも、ボリビア国内の山岳地や辺境地からやってくる者たちにとっては、元手もいらない、学もいらない、誰でも就ける現金収入のある貴重な職場なのだ。

しかし、鉱山が発見された当時の高山はスペインのものであり、働き手は奴隷たちだった。奴隷に賃金は存在しない。保障もない。病気やケガでも治療を受けることさえ、叶わないことも多かった。

鉱山内には、食べ物を持ち込まない習慣があるという。労働者たちは、空腹と疲れ、そして高山病を紛らわせるために、コカの葉を頬いっぱいに含んでいる。これは今も変わらず受け継がれている。

そんな中、彼らが生み出した守り神が「ティオ」。ティオとは「おじさん」を意味するといい、坑道内のあちこちに立つその神の姿は確かにひげを生やした男だ。そして赤ら顔で頭に角をはやしている。一説には、過酷な労働を強いるスペイン人を鬼に見立てたともいわれる。

工夫たちは、一日の始まりと終わりに、ティオに捧げものをする。ティオに煙草をくわえさせ、酒の瓶を供え、その日の無事を願い、感謝するのだ。

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ポトシは「人を食う山」

ポトシ鉱山は、その劣悪そのものの労働条件から「負の遺産」とされている。

スペイン統治下でひたすら採掘し続ける道具として使い捨てられた人々の数は800万人に及ぶともいわれる。これらの命を吸い取った山を、人々は「人を食う山」と呼んだのだ。

落盤などの事故での死亡者もいれば、換気の悪さからくる病気での死亡者も多かったという。彼らは「奴隷」であり、タダ同然で何十年もの間働かされた。ただ、その期間を終えて生き残った場合には、高額の賃金が支払われると約束され、それを励みに働き続けた奴隷も多かったというが、それを受け取ることができたのはごくわずかだった。

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ポトシ鉱山の今

銀や錫などは今もそこにある。ただ、国を富ませ栄えさせるほど、また鉱山を国や民間が大がかりに開発しようと考えるほどの量は残されていない。でも、生活に行き詰った、ほかの職を見つけられない先住民たちにとって、鉱山掘りはもっとも身近で手軽な労働手段であり、わずかではあっても現金収入を得る大切な手段なのだ。

そして、ポトシの山では今なお数十人から百人近い工夫が、8時間ずつ3交代制で穴に潜る。幼い者はティーンになったばかり、年齢の上限はなく70歳を過ぎた老人もまだリーダー格で働き続けている。しかし、その労働環境も条件も「負の遺産」時代と大きな違いはない。

無計画に掘られた横穴縦穴は、広いところでも頭を擦る高さしかなく、手押し車が通る穴では、壁に張り付いて避けあう必要があり、坑道と坑道をつなぐ細い道では匍匐前進だ。換気のための穴は十分にあけられていない。ただ太いチューブで空気を流すばかり。明かりさえも、自分たちの持ち込むヘッドライトだけ。

さらにポトシは標高4000mの高地である。そんな環境の中、子どもも老人も、わずかな水と口いっぱいにコカだけで8時間働き続ける。アスベストなどの灰塵は、誰も考慮していない。そのため、肺疾患などで病みつき、死亡する人も少なくないと考えられている。しかし、そこに保障はなにもない。

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酒とコカ持参の「鉱山ツアー」

劣悪な手掘り鉱山へは、観光客向けのツアーで出かけることができる。

世界各地の新旧鉱山の多くが、見学ツアーを受け入れている。既に廃坑となった鉱山では、テーマパークや博物館のようで安全に当時の過酷な労働の様子を学ぶことができる。現在進行形の高山では、ハイテクを駆使した施設内で古い「鉱山」イメージを払しょくするために働きやすさを強調した見学会が行われる。どちらも、見学者のつらさは、暗さや閉そく感程度だろう。

しかしポトシ鉱山の見学ツアーはそうはいかない。

まず、装備が必要だ。灰塵まみれの坑道をほふく前進するための作業着が貸し出される。それはすでに何らかの鉱物で黒ずみ、洗ってはあるようでも汗染みがあり、ホコリ臭い。そして、ヘッドライト付きのヘルメット。あとは、各自口と鼻を覆う布やマスクを用意しておくべきだろう。鼻の中が黒くなるくらいならまだしも、喉を傷めることも多い。

そして、この見学ツアーの別名「お土産持参ツアー」の由来である、工夫へのお土産を購入する。ツアー参加者を乗せたトラックは市場に寄り、ジュースや酒、たばこ、そしてコカの葉を購入する。

1時間ほどの鉱山見学ツアーは、元工夫たちが案内してくれる。あちこちでデニムに上半身裸でつるはしを握って硬い壁を掘る工夫たちは、ほとんど目も合わせない。無視しているというよりは、完全なる無関心。すれ違った工夫や休憩している工夫に土産の品を渡すと、その瞬間だけグラッシャスの言葉と笑顔が戻ってくる。それだけだ。

500年以上前と変わらない過酷な条件で働くしかない彼らの現状を見ると、日本人であり自由な旅人としての自分のアイデンティティがガラガラと崩れ落ちるような気持ちに襲われる。

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最後に

ポトシは、人気の高いウユニ塩湖やカーニヴァルで知られるオルロなどとバス便でつながっていることから、南米の旅の途中で立ち寄る旅人がチラホラいる。ただその程度だ。町の日常的な物価は安く人柄も良いが、観光客相手の商売は別。治安も夜を中心に危険な面がある。

これは、経済的に安定しない町であり、低賃金で過酷な労働を強いられている人の多いポトシでは当たり前の状況。ポトシを訪れる時には、世界遺産に登録された場所だからといって物見遊山気分でいると、自分を傷つけることになりかねない。それは、犯罪などだけでなく、今も引き継がれてしまっている負の遺産を目の当たりにしたことによるショックも含む。

街には美しいスペイン建築が残り、観光として見どころもある。食事も美味しい。ただ、それだけのためなら立ち寄る必要性はあまりないかもしれない。ポトシの銀山という輝かしくも忌まわしい過去を持つ場所を訪ねてその目で見て感じて初めて、そこを訪れる価値があるのではないだろうか。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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