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空港から出られず足留め? 空港難民の実例

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空港から出られず足留め? 空港難民の実例

トム・ハンクス主演の映画「ザ・ターミナル」を見た人なら、現実の空港で足留めをくらったあげく、そこから身動きできなくなってしまった男がいると聞いても、その存在を信じられるかもしれません。

この足留め、天気が悪いとか不審な荷物があるとか整備不良とかいった「先の見える」ものではありません。自分自身の身分が証明できなくなってしまうことで、半永久的に続く可能性のある足留めなのです。

世界には、空港から出ることも入ることもままならない状態に陥った「住民」を抱える空港が実際にあるのです。

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トルコ・アタチュルク国際空港の場合

2016年3月現在、1年以上にわたってイスタンブールの空港内に足留めをくらっている人がいます。彼は20代のシリア人男性。

事実関係を追ってみると、2012年、彼は母国シリアからレバノンを経由してトルコに到着、その後マレーシアへと渡航しようとしますが、マレーシアに入国を拒否されてトルコに逆戻り。ところが、2015年、トルコに入国しようとしたところ、「問題のある乗客」として別室送りとなって拘束されてしまいました。

シリア難民といえば、トルコの海岸に漂着した少年の遺体がネット上に公開された記憶が新しく、トルコにも難民として公式・非公式にその多くが入国を試みていますが、実際に難民認定されるのはそのうちのほんの一握りです。

トルコ政府は難民条約締結国ではありますが、原則としてその出身をヨーロッパに限定しています。トルコを囲む内戦地域にとって、トルコは難民として移住したりそのほかの移住先へと向かう足掛かりとなる国ですが、現実は厳しく、庇護を求めるほとんどの難民は強制送還されています。

この男性の場合は、トルコから出国する経済的・政治的後押しを持たず、かといって入国を認められることもないという宙ぶらりんの状態で空港に留め置かれてもう1年以上になります。彼は「問題のある乗客」のための部屋に拘束されてはいるものの、空港ターミナル内で一定の行動の自由を得られている模様で、空港内での「足留め生活」の様子をツイッターなどで公開しています。

人権団体アムネスティはトルコ政府に対して、彼を「一時的な保護」資格者としての入国を認めるよう働きかけていますが、難民問題に厳しいトルコ政府が、この男性のどこかに「一時的保護」の必要性を見つけ出せるかどうかは定かではありません。

この男性の例は、男性がツイッターで社会に向けて語りかけ、人権団体の目に留まったことから表面化しましたが、似たような足留めは何件も起きているようです。それどころか、多くの入国希望者はトルコに到着したその場で、やっと逃げ出してきた危険なエリアへと送還されている例がほとんどです。

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韓国・仁川空港の場合

日本のすぐ近くでも、空港足留めは起きています。

スーダンもまた内戦が続く国。そこで強制徴収命令に応じることを拒否したスーダン出身の30代男性は、2013年に韓国の仁川空港で難民申請を提出したものの、「申請理由に偽りがある」として審査が行われることもなく却下されました。

彼は、この「審査を受けられない」という決定を受けるまでに仁川空港出国控室ですでに5か月の足留めを喰らっていました。その後、「審査は受けられる」という裁判結果を得たものの、出入国管理事務所の「難民認定審査に付託するに足る信頼できる明白な理由が認められない」こと「難民認定申請理由などで偽りの陳述で一貫していること」という認識は改められていません。あくまで「審査」を受けられるようになっただけで、難民として認められたわけではないのです。

韓国は難民資格要件が非常に厳しく、認定率はわずか6%。これは先進国平均の30%を大きく下回っています。

これとは別に、韓国に自由を求めてやってきたはいいものの、難民として認定されないうちに滞在ビザが切れ、母国のパスポートも期間切れとなってしまったウガンダ出身の男性もいます。

この男性は、2006年に学生ビザで仁川空港から入国し難民申請を行いました。難民資格審査はなんと3年に及び、その間彼には人道的滞留が認められていたため、現地で仕事や住まいを得ていましたが、2009年に難民申請を棄却されてしまいました。

この時点ですでに、学生ビザは切れ、祖国のパスポートの期間も切れていたため、彼は仕事も住まいも失ってしまったのです。彼が最終的に足留めを喰らった場所は空港ではありませんでしたが、第三国への出国も叶わない今、韓国の街角で途方にくれるばかりという状況は、空港足留め以下の状況としかいえません。

「ウガンダ大使館に駆けこめば、本国へ戻ることはできるだろう」と語る彼ですが、「ウガンダへの帰国は反乱軍への参加を意味し、それは死をも意味する」ため、現実的な解決策にはならないのです。

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フランス・シャルル・ド・ゴール空港の場合

映画「ザ・ターミナル」の題材となったともいわれる、もっとも有名な空港足留め例です。

イラン国籍の難民「マーハン・カリミ・ナセリ」が、1988年から足掛け19年にわたって空港で生活していました。彼もまた、難民としての自分の地位を認められなかった一人ですが、他の空港足留め例と少し違っているのは、彼自身に移住先にこだわりがあり、いくつかあった申し出を拒否しているところでしょう。

イランで政治的反対運動に関わり国外追放となった彼は、ヨーロッパで政治亡命先を探しましたが、ベルギー・西ドイツ・フランスで却下され、留学経験のあるイギリスにも入国を拒否されます。

一度はベルギーに難民として認められましたが、イギリス移住を決意してベルギーを出国した彼は身分証明書の盗難に遇い、イギリス・ヒースロー空港では入国拒否、送り返されたシャルル・ド・ゴール空港でも身分証明書がないため入国ができませんでした。その後、ベルギーに送還されたり、イギリスへ送還されたりと国際的なたらいまわしにあった結果、フランス・シャルル・ド・ゴール空港で最終的にどこにも受け入れ先のない足留め状態になったそうです。

彼はベルギーに難民として認められた経歴があったため、後に条件付きでベルギーが受け入れを認められましたが、本人がイギリス移住を強く求めて拒否。フランス政府もまた、彼に難民パスポートを公布しましたが、本人がやはり拒否。一説にはアメリカビザも取得しているといいます。

彼は確かに、空港で望まない足留めを喰らった時期もありましたが、人権活動家や弁護士の助け、ベルギーやフランス政府の難民受け入れがあったにも関わらず、それを自分の意思で拒否することで、自ら空港生活を続けていた面もあります。

シェンゲン条約が締結されて国境はあっても形だけのようなEU近隣諸国間でも、自国民ではない難民の受け入れにはそれぞれが作る複雑なルールがあり、彼の場合にはそれが障害となって再入国が拒否されたり、盗難という不運から身分証明ができなかったりといった悪い偶然も重なったようです。

現在は、健康上の理由からパリのホームレス支援施設に滞在しているそうです。

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まとめとして

これらの空港足留め例はあくまで氷山の一角。足留めが長期にわたっていることや人権団体が保護や救助に動いていることなどから表面化して、私たちの知るところとなった例です。これ以外にも、短期間の足留めで強制送還を受けている例は山積みです。

自分が何者なのかは、記憶喪失になっていない限り、自分自身が誰よりもよく知っていますが、国境をまたいで入出国する場合、自認自覚はなんの意味もなしません。信用にたる国が発行するパスポートやビザがなければ、入出国の審査の対象にさえしてもらえないのです。

政治的にも経済的にも安定した日本という国の日本人であるため、日ごろから難民の身分の危うさをその身に感じることは難しい私たちですが、「ザ・ターミナル」の主人公も、自国が突然のクーデターで消滅するその時まで、そんなことは考えもしませんでした。

映画の中とはいえ、国の発行したパスポートが紙屑になり、空港に足留めされた主人公の不安を、今この瞬間も世界のどこかの空港で感じている人がいます。

空港難民の存在は、「自分」を対外的に証明することの難しさと、パスポート一枚で世界を渡り歩くことの危うさについて考るきっかけになりそうです。

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