377A6946-2

蒸気機関車と、昔ながらの中国の風景を追い求めて〜「芭石鉄道」編

»旅を職業にしたい人募集中!旅を人生の中心にしてよりハッピーな生き方に!「詳細はこちら」

中国。縦横に伸びた鉄路が広大な国土と10数億の人々の移動を支え、近年は驚くべきスピードで高速鉄道が整備されている、まさに鉄道大国である。

その中国の四川省に、他の鉄道との接続を持たず、長らくその存在すら公にされていなかった路線がある。その名は「芭石鉄道」

もともとは地図にすら載っておらず、未開放地域とされており外国人の立ち入りが厳しく制限されていたそうだ。西暦2000年を前後して次第に(ごく一部の)鉄道ファンの間で話題となり、現在ではすっかり観光鉄道として定着している。

一般的な中国の鉄道と比べて、線路の幅が半分ほど(762mm)しかなく「小火車(シャオフォーチャー)」と呼ばれている。そして何よりの特徴は、今日でも全ての旅客列車が蒸気機関車で運転されていること。昔ながらの沿線風景も合わせて、まさに21世紀の奇跡と言うべき路線だ。

 

四川省の省都・成都から高速バスに乗り、楽山市の健為(チェンウェイ、正しい漢字は”犍为”)まで2~3時間。さらに三井行と書かれた路線バスに乗り換えて1時間。路線バスの終点から数分歩けば、芭石鉄道の旅の始点・躍進(ユエジン)駅だ。

芭石鉄道は正確には石渓〜黄村井を結ぶ20km弱の路線だが、石渓から1つ先の躍進駅を起点として、観光列車が多く設定されている。石渓を始発とする列車は少なく、また街も躍進(三井)の方が発達しているので、まずはここ躍進を起点として旅を始めてみるのがよいだろう。

377A6946-2

こちらが躍進(三井)の街。炭鉱と発電所があり、芭石鉄道の沿線では一番発達している。バス停に隣接してホテル「嘉陽酒店」があり、またスーパーや食事処も一通り揃っているので、宿泊地としても最適だ。

躍進駅の駅舎は近年建てられたもので、英語や日本語(若干覚束ないが)も併記されている。繁忙期は現地に着いたらなるべく早く切符を買っておいたほうがいい。観光客向けのコースとしては、終点までの列車の往復切符のほか、終点黄村井にある観光炭鉱の見学がセットになったものもある。列車で単純往復した場合、所要時間は2~3時間ほど。

また、朝夕などに1日2~3往復設定されている普通列車は、車内で切符を買い求めることになる。観光列車用の客車は比較的新しく窓ガラスが付いているが、普通列車に連結される旧型の客車は窓ガラスすらなく、床に穴が空いていたりすることもある。なお、どの列車に乗っても空調や車内照明はなく、乗り心地もお世辞にも快適とは言い難い。

前置きが長くなってしまった。では、汽笛一声、芭石鉄道の旅へいざ出発。

377A1616-2

芭石鉄道の客車は小さく、手を伸ばせば天井にも簡単に届いてしまう。窓を開ければ煙の香りが漂う。時折、線路脇に人やバイクがいてヒヤッとすることがあるが、これは芭石鉄道の線路が生活道としても機能してるため。沿線には未だ完全に平行する道路はなく、線路脇に住む人々はみな線路を歩いたり、バイクで走ったりして生活してる。ちなみに優先度は列車>バイク>歩行者。事故にはくれぐれも注意されたい。

377A1179

背丈の倍ほどもある竹を束にして担ぐお婆さん。ここの人は、みな竹カゴを背負っている。後ろ姿でもカゴを見れば誰だか分かる…なんて話を聞いたことがあるが、果たして本当だろうか。

377A6626-2

灯りひとつない真っ暗なトンネルでも、地元の人はライトすら点けずに歩いて行く。トンネル内は水漏れで足を滑らせやすく、筆者など懐中電灯片手に恐る恐る歩くのだが…。しかし、現役の鉄道トンネルを堂々と歩いて通ることができるのもある意味中国ならでは。

377A1559-2

2月下旬〜3月上旬は菜の花のシーズンで、沿線の至る所で咲き誇る花々を見ることができる。黄色の絨毯の中を小さな汽車が走る風景はそれは長閑で美しいものだが、その景色を一目見ようと観光客が押し寄せる季節でもある。鉄道が賑わうのは喜ばしいことだが、あまりにも観光客が多いと、せっかくののんびりとし雰囲気が台無しなので悩ましいところ。

377A6733-2

また、4月になると菜の花に代わってアブラギリの花が沿線を彩る。四季折々の花が楽しめるので、何度行っても飽きない鉄道だ。

途中の蜜蜂岩(ミーフェンヤン)では、列車の進行方向が変わる。いわゆる「スイッチバック」というやつで、中国では非常に珍しい。機関車を前後で付け替えるため比較的長く停車し、この時間に観光客はみな記念撮影をする。

また暫く走ると、亮水沱という有名撮影地に到着する。観光列車なら一旦停車し、乗客を降ろしたのち撮影の為に列車を走らせてくれる。上のアブラギリの写真もここで撮影したもので、運が良ければ機関車が吐き出した煙で虹ができることも。

377A0885-2

フォトランが終わったら再び列車に乗り込む。躍進を発車してから1時間ほどで、終点の黄村井(ファンツンジン)に到着。繁忙期には、黄村井の一つ手前の芭溝(バーゴウ)が終点となることもある。

377A7425-2

黄村井にはかつて炭鉱があり、芭溝から黄村井の辺りには炭鉱労働者向けの住宅街が広がっている。建設年代によりイギリス式やソ連式の住宅などに分かれており、現在では観光客向けに整備されているものもある。また、もともとは映画のセットとして造られたらしい「毛沢東思想大舞台」や「東方紅広場」も、昔日の中国らしさを盛り上げている。

377A1265

377A1239-2

終点の黄村井には芭石鉄道自慢の「中国唯一の観光炭鉱」がある。列車で往復してこの炭鉱に立ち寄るのが定番の観光コースのようだ。ここにも、かつての毛沢東時代の中国を偲ばせるようなスローガンが再現されている。

躍進から蒸気機関車列車に乗って、黄村井の炭鉱を見て帰るだけでも十分に充実した旅となるはずだ。しかし、筆者としては是非皆様に、ただ往復するだけではなく「途中下車の旅」を楽しんでいただきたい。そうすれば、きっと都会では忘れられかけた昔ながらの中国人の生活を垣間見ることができるだろう。

377A6366

蜜蜂岩駅脇にて、汽車には目もくれず賭け事に興ずる人たち。どんなに観光客が押し寄せようとも、ここに住む人たちの午後の憩いは変わらないようだ。それにしても、中国人って本当に「アイヤー」って言うのだな、と妙な感心をした。

377A1193-2

焦バ(正しい漢字は”焦坝”)駅にて。線路が生活道なら、駅は人々の交流の場だ。わざわざ線路上に椅子を出して話さなくても…とも思うが。実際にはジャラジャラと騒がしい麻雀牌の音が響いているのだが、写真でお伝えできないのが残念だ。昔ながらの穴あきズボン(用を足しやすいように股が割れている)を履いている子供も見かけられた。

筆者は2014年から3度この芭石鉄道を訪れており、計10日ほど滞在している。訪れるたびに地元の人との出会いがあり、美しい景色の発見があり、未だに飽きるどころか「次はいつ行けるだろうか」と意気込んでいる次第だ。この鉄道と人々の営みが残っている限り、私は何度も四川省行きの航空券を買う羽目になるだろう。

北京や上海などの都会の喧騒と発展とはまた一味違う、長閑さと人情味溢れる中国を体感できる芭石鉄道。あなたも、束の間のタイムスリップを体験してみてはいかがだろうか。

自由に旅をして稼ぎませんか?

自由にゆっくりと、風の吹く方向に歩む。旅そのものが職業、旅そのものが人生。
そんな生き方をする人が増える事が私たちの願いです。
だから私たちは、旅を職業にしたい人、誠の自由を手に入れたい人を心から応援しています。
このプロジェクトに参加したい人は以下の「詳細を見る」にアクセスしてください。

おすすめ

まだ読んでないの?

リアル本:2万8千部突破 世界一周の本ベストセラー

Yuuma Family – pickup

  1. DSCF0785
    ※写真:飴をあげているのがユイとアキ。カンボジアに到着して二日目、シェムリアップから…
  2. IMG_8562
    ※文、パパ※写真:AYA僕は少年の頃からの夢を現実して、今アジア一美しい車窓…
  3. 写真:Yuuma Familyインド15日目、コルカタINしてから電車を乗り継ぎイン…

新着記事

  1. frankfurt-germany_0
    ドイツにあるフランクフルトという街を知っていますか?ソーセージを串に挿した「フランクフルト」の街とし…
  2. victoria-974779_1280
    温暖な気候に恵まれて、バンクーバーよりもこじんまりとしたBC州の州都ビクトリアは、世界中からの観光客…
  3. walter-white-money
    内戦や政情不安などにより経済が不安定な国では、通貨価値の変動が大きく動いていきます。事情を考…
PAGE TOP