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おとぎ話のお城を抱く中世の街~セゴビア旧市街と水道橋
紀元前から人の手によって手が加えられていたセゴビアの地。地形的に守りやすかったこともあり、丘の上には早くから王たちの居城が置かれてきた。
ローマ帝国の支配下に落ちたことは、セゴビアの生活水準を上げる結果となった。その一つが水道施設の整備であり、現在も残っている「水道橋」はその一部だ。
中世にもっとも繁栄したセゴビアは、その時期に建てられた大規模な建造物を遺している。代表となるのが、「アルカサルの城」と「カテドラル」だ。
アルカサルは、おとぎ話にでてくるお城を現実化したような姿をしている。現実には、厳しい歴史が刻まれたアルカサルだが、外側からみた姿は、今もファンタジーやメルヘンの世界に迷い込んでしまいそうな雰囲気を持っている。
2000年の歴史を持つ水道橋の建設方法
長さ813メートル・高さ28.5メートルにも及ぶ水道橋は、紀元1世紀頃に築かれ、2000年の歴史を持つ。19世紀末まで実生活で使用されていたほど、世界的に見ても保存状態が良く、現在でも水を流すことができるという。
高台にあった旧市街地に水を供給するためには、同じ標高の給水源から水をひいてくる必要があった。選ばれたのがフリオ川で、そこからアルカサルまでの区間に水を通すため、非常に高さのある水道橋が建造されたのだ。橋と名はついているが、下は川ではなく地面。また、最後の区間では地下水路となっている。
写真で見ても分かるが、この水道橋は非常に幅が薄い。橋脚のもっとも太い部分であっても2.4メートルしかない。そこに石を30メートル近く積み上げていて、眼鏡橋型に組んでいるため、空洞部分も大きい。不安定に見えるのも当たり前だ。
ローマ帝国は、紀元前80年にはセゴビアの地を制圧していた。他のローマ帝国下の都市と同様、セゴビアでも、上下水道整備はいち早くとりかかった公共事業の一つだった。
2万個以上の積み石が使用されているが、それぞれをつなぐ接着剤のようなものは使われず、形を整えることでバランスをとって積み上げられている。167か所にも及ぶ難しいアーチの部分には、木の仮枠をはめてそこに石を組みんでから取り外したとか。石には小さな穴が開けられているが、それは固定のためではなく、高所へとつり上げるためのものだったそうだ。
一見不揃いに見える直方体の石が美しく積み上がっている様を見ると、1つ2つ、だるま落としのように抜いても大丈夫なのでは、といたずら心が湧き上がってくる。もちろん現実には、それは致命的な倒壊のきっかけになるのだろう。
後世、イスラム教徒に占拠された際、重要なアーチ35カ所が破壊され、一時的に使用できなくなったが、修復された。その後も、生活の中心としての役割を果たすため、大切に保全されてきたのだろう。
橋の中央部分には、守り神としてかマリア像が飾られている。
見学は、橋脚部分から見上げたり、脇に作られた長い階段を上がって横から眺めたりできる。日本の眼鏡橋のように歩いて渡ったりはできない。
白雪姫やルパン三世が登場? アルカサル
ディズニーが白雪姫をアニメ映画化する時に、モデルとしたのがアルカサルだといわれている。実際の姿をみると、シンプルながらとんがり帽子のついた塔を持ち、窓が少ない石造りのお城はまさに「おとぎの国のお城」のイメージそのものだ。また、日本の人気アニメ、ルパン三世の「カリオストロの城」のモデルではないかとの説もある。
アルカサルは、2つの川が合流する地点の丘の上に建てられた城で、3方を高さ100メートルほどの断崖絶壁に囲まれた天然の要塞でもあった。
その立地から、古くからケルト・イベリア人の居城が置かれていたが、ローマ帝国軍が侵入占拠すると、街は破壊され、新たに作りなおされた。それが今に残るセゴビア旧市街地である。
防衛を重視した街づくりから、旧市街地を巡る城壁が作られ、城門や城塔も設置された。
難攻不落な要塞は、外から中へだけでなく中から外への通路も少なくなる。アルカサルには、吊り橋のほか、川まで下りて市街にある秘密の隠れ家などにつながる地下通路もあるという。
歴史の中では、スペイン王室に愛された期間もあれば、牢獄として使用されていたこともある。近代には、砲学校としても活用されていた。現在は、博物館として公開されていて、きらびやかなステンドグラスや王座、牢獄の鉄格子などを見学できる。
内部の装飾は、外側の美しいが質素な趣とは異なり、豪奢だ。壁や天井の絵画や細工の見事さと保存状態の良さに目を見張るが、19世紀に火事で大部分が焼失し、修復されたのだそうだ
庭の迷路のようにキレイに刈り込まれた植木が、ますますお城のイメージにぴったり。一方で、シンプルな中庭には、継母と継姉妹のために朝からお茶の用意をしているシンデレラとネズミの友達が現れそうだ。
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セゴビアの貴婦人・セゴビア大聖堂(カテドラル)
水道橋とアルカサルの中間地点にあるゴシック様式の大聖堂は、16~18世紀に建てられたもの。それ以前は12世紀に建てられたカテドラルがアルカサル広場にあったが、カスティージャ市民の氾濫によって破壊されてしまった。旧カテドラルからは、破壊を免れたステンドグラスや回廊が移設されている。
外装は、小振りな塔が何本も建つ繊細さをもつ。その姿から貴婦人とのあだ名がついているほどだ。しかし、周囲に大きな建造物が少ないせいもあり、目の前にすると、遠景からの繊細な美しさとは違った威厳を感じる。
カテドラル内には、写実的な彫刻が多くあり、十字架にかけられて血を流すイエスの像などは、少し怖いくらいだ。
カテドラル周辺は、古い街並みや教会などが残っているので、散策が楽しい地域だ。
セゴビアの歴史
セゴビアはスペイン中央部にある古都で、古代ローマ時代から中世にいたるまで、生活に密着した歴史的遺物が多く残っている。
ケルト・イベリア族、古代ローマ帝国、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒など、民族や宗教が混じりあって豊かな芸術的文化が生まれ遺された。
中世に全盛期を迎えたセゴビアは、首都として発展を続け、繊維業を中心とした産業によって豊かな市民が増加し、芸術家も流入。
日本の奈良や京都のような古都であり、街を歩けば史跡にあたるほどに、さまざまな文化遺跡を見ることができる。
その他の見どころ
「ラ・ベラ・クルス」は、13世紀にテンプル騎士団によって建築されたロマネスク様式の教会。12角形の構造を持ち、世界遺産の一部として登録されている。
中央広場の「砂除去場」は最近発見された、長い道のりを流れてきた水に含まれる不純物を取り除くための井戸。上水道を管理するための当時の工夫の後が見られる。
「エル・アソゲホ」は、水道橋の一番高い部分のある広場。水道橋からアルカサルへと向かう途中にあり、今も昔も街の中心となっている。お土産物屋が店からはみ出るほどの商品を並べている。
食べるなら名物料理
街に、軽食やコーヒーを楽しめるカフェは多数ある。旧市街地周辺のあまりに素朴な街並みに、かなりの田舎街のような気がしてくるが、新市街地へと出ると、日本食や中華の店もあり、都市であり観光地であることを思い出させてくれる。
セゴビアの名物料理は「丸焼き」。子豚や子羊を、皮がパリパリになるまで丸ごと焼いたものが大皿に載ってドンっと登場する。これを切り分けて食べるのだが、その見慣れない姿にちょっと食欲が落ちる可能性もある。
最後に
世界の城の中で訪れたいものとして、高ランクにリストされるというアルカサルの城を抱くセゴビアの地は、水道橋、カテドラル、ラ・ベラ・クルスとともに、世界遺産に登録されている。
都市から日帰りが可能な距離であること、素朴な郊外の街の雰囲気を味わい、古都としての歴史を堪能できる場所として、地元スペインからの旅行客も多く、リピーター率も高い。
スペインに多い、派手で巨大な世界遺産とは一線をひいた、生活密着型観光地といったところだろうか。遺跡と普段の生活場との間に境界がなく、互いに自然に溶け合っているのが特徴だ。
日帰りがほとんどだが、できるだけ朝早く出発し夕飯まで街に残るプランを立てて、ゆっくりと雰囲気を味わうことをおすすめする。
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