学生も社会人も昼も夜も楽しみいっぱい~オクスフォード(Oxford)/イギリス
どこなのか何があるのかよく知らなくても聞いたことは必ずある名称「オクスフォード」。少し前までは文学好きがいつか訪れたいと憧れる地、今は映画好きがきっと行こうと心に誓う地だ。
ロンドンから1、2時間ほどに位置する学園都市は、偉大なる歴史や文学を支えとする大観光都市でもある。
ツアーの多くはオクスフォードを訪れても、街の見どころをスーパーダッシュで通り過ぎるばかり。時間がなくても前知識があればそれなりに楽しめるが、時間と前知識の両方があるなら、さらに楽しめるはずだ。
オクスフォード構成内容
オクスフォードの半分は「大学」で、残りの半分は「歴史」と「文学」で構成されているといっていいだろう。
オクスフォード大学は英語圏最古の総合大学であり、世界に知られるトップレベルの名門校だ。当然、多くの有名卒業生たちを排出していて、日本からも、皇族、企業や有名大学からの留学生が多い。
オクスフォード大学は計画的に創設されたのではなく、学ぶ場所と教科が徐々に膨れて巨大化していき、集まる学生のための寮「カレッジ」が作られていった。
現在このカレッジは、学生たちの住居であるだけでなく教養を身につける場となっている。歴史ある建造物であることと憧れの大学のカレッジでもあることから、以前より見学者は多かったが、その一部が小説や映画のシーンに登場したことから、観光客数は大幅に増加している。そのため、一部のカレッジは見学禁止となったり、時間制限や高い入場料を支払う形をとって入場者を制限している。大学が観光地化しているのだ。
クライスト・チャーチ(Christ Cathedral)またはオクスフォード大聖堂(Oxford Cathedral)
オクスフォードで一番の観光名所である。司教座聖堂であり大学の聖堂でもあるが、大学内最大でもっともリッチなカレッジとしても知られている。
「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロルは数学教師だったことから、ホールにアリスのステンドグラスが1枚だけあるので探してみたい。
また、「ハリー・ポッター」シリーズで必ず登場する食堂ホールのシーンもここがロケ地。なんども目にする印象的な場所やシーンだけに、本物を目にするとファンならずとも「おお!」と声を上げたくなる。
クライスト・チャーチは入場料を支払うことで見学が可能だが、現在も学生たちの「The House(家)」として使われているため、入場時間制限がある。テーマパークではないため、マナーを守って見学させてもらう感謝の気持ちを持って訪れたい。
また、夜遊び帰りに近くを通ったなら9時5分に鳴る鐘の音の数を数えてみよう。クライスト・チャーチ創設当時の学生数の回数分鳴り響くといわれている。
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クライスト・チャーチ・メドー(Christ Church Meadow)
クライスト・チャーチ前の芝生エリア。大学内は完璧なまでに整備された芝生の庭が各地にあるが、学生たちが寝転んでいる場所は進入可能、人の気配がない場所は観賞用であって進入不可だと考えよう。
クライスト・チャーチ・メドーは並木の下を歩いて散歩するコースがおすすめ。近くを流れるテムズ川では多くのボートが貸し出されている。「バンド」と呼ばれる小さな平底の船は一見不安定そうだが、慣れると立ち漕ぎもスイスイできてしまう楽しい乗り物だ。
暖かい日には是非挑戦してみたい。
聖マリア教会(The Church of St Mary the Virgin)またはユニバーシティ教会
美しい尖塔が目印の聖マリア教会もまた大学教会であり、大学創建の頃に中心となっていた建造物だといわれている。教会内は白い壁と明るい配色のステンドガラスに囲まれた開放的な雰囲気だ。
127段の階段を上って尖塔の上から周囲を見回すと、オクスフォードの見どころが一望できる。下から見上げるばかりの歴史的建造物を高みの見物しながら写真撮影できる絶好のポイントである。
ボドリアン図書館(The Bodleian Library)
日本にも巨大だったり豪奢な図書館はありますが、ボドリアン図書館は想像以上。建物自体は華やかさよりも城壁のような剛健さを持つが、内部はシンプルながら歴史ある本と木の重みと香りで充満していて、本好き、本屋好き、図書館好きにとっては一種の魔法の国だ。
内部は見学が可能で、ガイドツアーもあるが、図書館という場所がら、観光客の入場は制限されることがある。
ラドクリフ・カメラ(The Radcliffe Camera)
聖マリア教会の尖塔から見下ろすと真下に見えているのがラドクリフ・カメラだ。カメラという名前が不思議だが、もとはラテン語の「円天井の部屋」を意味する言葉だという。
理系専門書図書館として設立されたが、ボドリアン図書館と地下道で結ばれてからは閲覧室として使われている。現在は一般に公開されていないが、多くの小説に登場したりモデルとなっている丸いドーム型の建物だけでも見る価値がある。
シェルドニアン劇場(The sheldonian Theatre)
ボドリアン図書館の隣に位置する講堂。
内部の壁画や天井画の見事さが有名で、訪れる人の多くが口を開けて見上げながら階段を上っていく。
中央に頭を出している白と青の尖塔部分は上ることができる。
オクスフォード大学植物園(University Botanic Garden)
大学付属の植物園は、クライスト・チャーチなどに比べて訪れる人が少ないものの、コアな「指輪物語」のファンたちにとっては欠かすことのできないスポットとなっている。
指輪物語に登場する「エント」は、作者であるトールキンがお気に入りだったという木がモデルだといわれている。この木の下にはベンチが置かれていて座って見上げると、トールキン気分を味わえそうだ。
オクスフォード・カバード・マーケット
オクスフォードの街には学生向けの気軽な買い物ストリート、サンドイッチやお茶のストリート、本屋ストリート、飲み屋ストリートなどがあるが、地元の学生たちの一押しはカバード・マーケットだ。
大きな屋根付きの市場で、日用品・生鮮食品・お菓子・お土産・衣類・本などなんでもそろっている。長期滞在するなら何度も足を運ぶことになるだろう。
店のウィンドーや壁の飾りを見て歩くのもおもしろいし、掘り出し物のグッズやアンティーク風やレトロな絵葉書などの小物に出会えるかもしれない。甘いもの好きなら、鼻を頼りにうろつけば、ビスケットやケーキの種類の多さによだれが止まらないだろう。
イーグル・アンド・チャイルド「鷲と子ども亭」
オクスフォードの伝統を感じられるのは大学構内だけではない。「ナルニア物語」のCSルイス、「指輪物語」のJRRトールキンらが実際に議論を交わした席が残されているパブが「イーグル・アンド・チャイルド」。
お向かいのパブはその名も「ラム・アンド・フラッグ」。やはり多くの文学仲間たちがそれぞれの作品を見せ合い批評し合ってきたパブだ。このパブはオクスフォードのカレッジが経営し、その収益を学生の奨学金に回しているという真面目さがウリ。
オクスフォード最古のパブだとされる「ザ・ベア」の壁は、過去に訪れた酔客たちのネクタイで覆われている。
もう一つ、三角屋根の「ターフ・タバーン」も近年有名になった。それというのも元アメリカ大統領が「違法薬物を試したものの吸い込まなかった場所」だからだ。夜中には幽霊が出没するという話もあり、話題に事欠かないパブだ。
オクスフォードのパブは何件もハシゴするパブクロールよりも、1軒に通い詰めていろんな秘密のニオイをかぎ取ることに楽しみがあるようだ。
最後に
昼間は学生たちの明るい健康的な街を装いながら、夜には音楽とパブ、そして多くのコンサートが開催されるという別の顔を持つ街、オクスフォード。
大学に入るため留学するために行く場所のように考えがちだが、立派な観光地。ロンドンからの距離も遠すぎず近すぎず、また町のサイズも大きすぎず小さすぎず、居心地のよさを肌で感じられる街だ。
さらに、周囲にはテムズ川沿いに歴史ある町が点在し、オクスフォードを拠点に足を伸ばして観光する場所にことかかない。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか?あなたの旅の話を聞かせてください。