カオダイ教総本山とクチトンネル

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ベトナム戦争を背景に持つ宗教の総本山と地下道~カオダイ教総本山(Đạo Cao Đài/道高臺)とクチトンネル(Củ Chi tunnels)/ベトナム・クチ

世界中に信者を持つベトナム有数の新興宗教であるカオダイ教の総本山が、観光地として脚光を集めている。

近くには、ベトナム戦争の勝利のシンボルであるクチトンネルもあり、この2か所がセットとなったツアーも多い。

実はこの2つの観光地、全く異質なようで、実は共通する歴史を持っているのだ。

ゴ・ミン・チェウとカオダイ教

「ゴ・ミン・チェウ」という人物がある時突然、最高の存在である神の顕現に遭遇する。続いて巨大な目玉という神の啓示も受けた。これが「カオダイ教」の始まりとされる。

ゴ・ミン・チェウは、同じく「カオダイ」の影響を受けていた人物たちとともに「カオダイ教」を組織化していった。

日本ではほとんど知られていない宗教だが、ベトナムでは有名。特に本拠地であるタイニン省の人口の7割が信者であり、世界に300万人の信者がいるとされている。新興宗教としてはかなり大規模な教団の一つに数えられる。

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※投稿記事とは無関係です。

カオダイ教の特徴

絶対の存在である「カオダイ」を信仰するが、世界5教である「儒教」・「道教」・「仏教」・「キリスト教」・「イスラム教」の教えを土台として、古来精霊崇拝を取りこみ、多くの聖人や預言者らを教祖として祀ってもいる。

門戸の広さと複雑さの両方を持つカオダイ教は、ベトナム戦争中には巨大な武装集団として発展し、ベトナム独立のために戦った。一時は、国を舞台とする権力争いの渦中の中心集団でもあったほどだという。

戦後、植民地統治を行ったフランス、協力関係にあった時期もあるベトミン(ベトナム独立同盟)、ベトナム共産党などから弾圧を受け、兵力や政治面での権力ははぎ取られた。現在のカオダイ教は、ベトナムでも有数のおだやかな新興宗教として位置付けられているらしい。

カオダイ教のシンボルは「眼」

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大きな球体の中心に開いた一つの眼、それが「天眼」と呼ばれるカオダイ教のシンボルだ。

ゴ・ミン・チェウが神からの啓示として受け取ったのが「天眼」の登場。カオダイ教徒にとっての「天眼」は、カオダイの眼であり、「宇宙の原理」と「至上神」の象徴である。

「見られている」という感覚は、人にある種の緊張感を与えるものだ。カオダイ教が崇拝する巨大な「天眼」に見つめられると、やはりなんらかの畏怖を感じるような気もする。

総本山では、ご本尊として中央に祀られているほか、本堂内のいたるところに「天眼」があり、「見られている」感覚をたっぷりと味わうことになる。

色で分かる階級

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カオダイ教徒たちは、礼拝のために1日4回集まってくる。0時・6時・12時・18時に行われる礼拝の様子は信者以外も見学することができる。

礼拝に集う信者たちはみなアオザイを身にまとっているが、その色によって信者たちの「階級」が分けられているので観察してみよう。

一般の信者は純白のアオザイをきっちりと着込んでいる。ほかにも赤青黄の3色があり、道教・仏教・キリスト教の僧侶が着ることになっているという。

一つの宗教に多宗教が混じっていることはほかでも例があるが、混ざり合って一つの宗教として成立しているのが普通。カオダイ教の場合には、それぞれがその宗教を保ったまま一つの宗教の枠の中に同時に存在している。不思議な宗教観だ。

総本山見学

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ホーチミン市から100kmほど離れたところにある総本山教会堂は、中国寺院のような明るい装飾が特徴だ。自由に内部見学ができるが、信者によるガイドツアーもあり、英語で丁寧な解説を受けられる。

1日に4回ある礼拝の時間には、本堂部分は一度人払いが行われた後、入堂する信者たちによって埋め尽くされてしまうため、見学者は回廊からその様子をうかがわせてもらうことになる。見学者も礼拝前には本堂前で並んで待つ。

白赤青黄に色分けされた信者たちはキレイに列を作って、あるグループは座り、あるグループは立って礼拝に臨む。全身を白いアオザイで包んだ女性たちが胸の前で手を組んだ立ち姿はキリスト教の修道女のようだし、頭に白い布を巻いて座り、深々と頭を下げて祈る様子はイスラム教徒のようだ。

礼拝は、声明(しょうみょう)と読経の混ざったような祈りが唱えられることで始まる。もちろんその言葉は理解ができないが、堂内に響き渡るそれは、太鼓や弦楽器などの伴奏とともに歌われる独特の宗教歌の合唱と重なって不思議な調和を作りだす。信者たちはその音に酔ったように祈りの言葉や動作を繰り返す。

クチトンネルは何のために?

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ベトナム独立の戦いを経験したカオダイ教は、現在は平和で華やかな新興宗教となり、総本山は観光客に人気のスポットとなった。そしてクチトンネルは、ベトナム戦争の悲しく苦しい過去を平和な現代へと伝える遺物としての役割を果たしている。

カオダイ教総本山から車で1時間半ほど、ホーチミンからも1時間半ほどの場所にあるクチトンネルは、ベトナム戦争の民族解放戦線の中心地地下に掘られた地下壕だ。

少ない予算・兵力でゲリラ戦を戦うには、正面対決ではなく、まず敵から姿を隠して欺くことが必要だった。そのため、何の変哲もない農村の野原の地下に250kmにも及ぶ地下道を掘って生活の場を作り、ゲリラ戦を支えていたのだ。

手掘りの地下隠れ家のクチトンネル

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クチトンネルは天然の洞窟や塩や炭の坑道を再利用したものではなく、ゼロから手で掘られた穴である。

戦いのための穴と聞くと、日本の硫黄島を思い出す。硫黄島の地下に掘られた地下道は、その広さや設備は部分的に整っていたものの、天然の洞窟を利用してさらに人口で掘り進めたもので、完成したのは18kmにすぎない。クチトンネルの250kmがいかに大規模なのかよく分かる。

また、クチトンネルは戦闘員だけでなく、村人の生活をそのまま地下へ移動させたものだ。倉庫や避難所としてだけでなく、住居・炊事場・学校・医療施設までが備わっていた。

戦いの場面に合わせて、クチトンネルのあちこちの出口から神出鬼没に現れるベトコンたちが、軍事大国アメリカを翻弄したのだ。

クチトンネルでの生活

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村がそのまま地下へと移住したようにさまざまな環境が整えられてはいたものの、ほとんどのトンネルは人が一人すり抜けるのがやっとの小さく狭いものばかり。

ベトナムの高温多湿な気候の中、地下も決して快適ではなく、蒸し暑さはかなりのもの。内部は迷路のようになっているうえ、出口は小さく目立たないところに設置されていて、地下住民たちは地上へと外出することが制限されていた。

また、緊急に備えた非常通路や非常出口も掘られていたという。

今のクチトンネルで見ることができるのは

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トンネルに入る前に、ビデオでクチトンネルとベトナム戦争についての説明を受け、展示を見て予習する場所が設けられている。トンネルのジオラマ展示もあって、地下を蟻の巣のように掘り巡らせたトンネルの様子を知ることができる。

現在観光見学用に公開されているのは、250kmに及ぶクチトンネルのほんの一部だけだ。観光用の入り口は、実際の大きさから数倍に広げられたというがそれでも、全身に圧迫感を感じる狭さだ。腰をかがめ這うようにして進むのがやっと。

小柄なベトナム人だからこそ通り抜け、生活もできただろうが、完全装備のアメリカ兵ではほふく前進したとしても厳しかっただろう。そこにも難攻不落だった理由がありそうだ。

トンネル内では、炊事場、爆弾製造室などの見学ができる。またトンネル周辺では、竹や鉄の棒が隠された落とし穴や排気口を兼ねた隠れ穴などを見ることができる。

クチトンネルそのものは、内部が戦場となったこともなく、凄惨なイメージはない。どちらかというと、戦いを勝ち取った英雄的シンボルとして扱われている。

最後に

政治的安定を得てまだ日が浅いベトナムだけに、カオダイ教もクチトンネルも新しく生々しい歴史を抱えている。

こうして観光で訪れることができる平和を噛みしめながら、過去50年ほどの間にベトナムを翻弄した戦いを知るよい場所である、きっかけになりそうだ。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか?あなたの旅の話を聞かせてください。

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