7つの公立公園から成る カナディアン・ロッキー山脈自然公園群
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群(Canadin Rocky Mountain Parks)は、カナダにあるユネスコ世界遺産です(1984年登録、自然遺産)。
当初は、ブリティッシュコロンビア州のバージェス山付近にある「バージェス頁岩」のみが世界遺産として登録されていました(1980年登録)。しかし、のちに周辺も含めて現在の形で世界遺産となったため、現在はバージェス頁岩単独での登録は削除され、置き換えられています。
世界遺産として登録されている範囲は、4つの国立公園と3つのブリティッシュコロンビア州立公園におよび、総面積は23,400平方キロメートルにもなります。
世界遺産としての登録物件名にあるとおり、この遺産は北米を象徴する山脈であるロッキー山脈のカナダ側を中心に、周辺の自然環境も取り入れて自然遺産としたものです。
そのため、この自然公園群には、氷河や鍾乳洞といったカナダを代表する自然の美しさや、生態系の豊かさがぎっしりと凝縮されており、まさしくカナダを代表する大自然のスポットだといえるでしょう。
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群の構成
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群に含まれている7つの自然公園は、以下のとおりです。
【国立公園】
・バンフ国立公園(Banff National Park)
カナディアン・ロッキーの南東部に位置する国立公園で、ルイーズ湖やペイトー湖といった氷河湖が有名です。特にルイーズ湖は「カナディアン・ロッキーの宝石」との異名まで持っているほど美しい湖で、季節を問わず観光客で賑わいます。
・ジャスパー国立公園(Jasper National Park)
カナディアン・ロッキーの最北部に位置する国立公園です。世界遺産登録範囲の約半分を占め、なんとその7割以上の部分はいまだに人類未到の地となっています。コロンビア代表限などで有名です。
・クートニー国立公園(Kootenay National Park)
カナディアン・ロッキーの最南部にある国立公園です。氷河湖や氷の谷など、氷河ならではの地形がみどころです。
・ヨーホー国立公園(Yoho National Park)
バンフ国立公園の西側にある国立公園です。ヨーホー渓谷、タカッカウ滝、スティーブン山などの存在が知られています。
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【ブリティッシュコロンビア州立公園】
・ハンバー州立公園(Hamber Provincial Park)
フォートレスレイクで有名な州立公園です。釣り好きの人にはたまらないスポットとなっています。
・マウント・アシニボイン州立公園(Mount Assiniboine Provincial Park)
カナディアン・ロッキーで最も美しいとされるアシニボイン山を中心とした州立公園です。車でのアクセスができないため、自然の美しさがそのまま残っています。また、アシニボインロッジは登山客に人気です。
・マウント・ロブソン州立公園(Mount Robson Provincial Park)
カナディアン・ロッキー最高峰であるロブソン山(標高3,954メートル)があるのはこの州立公園内です。
カナダならではの自然環境
やはりカナディアン・ロッキー山脈自然公園群の魅力は、氷河に彩られ、削られてきた独特の自然環境でしょう。
3,000メートル級の山々が連なるロッキー山脈はかつて先住民たちに「光り輝く山々」と呼ばれていました。
抜けるような青空と青々と茂る森と澄み切った色の氷河湖とをまとめて写真におさめることができるのは、世界広しといえどもカナディアン・ロッキー独特のものですね。
そのほか、滝や鍾乳洞などの自然の壮大さを見られる場所もあれば、山々には古生物の化石が埋まっている場所もあります。
なかでも、最初に世界遺産となったバージェス頁岩は歴史の積み重ねと生命の神秘を感じることのできる地層でしょう。
バージェス山の付近は、古代は海の中だったそうです。そのため、そこで最初に発見されたバージェス頁岩の地層には、5億年以上昔の海生生物の化石が無数に閉じこめられているのです。
ほかにも、グリズリーやアメリカライオンといった稀少種の哺乳類が生息していたり、多種多様な植物が生育していたりなど、手つかずの自然ならではの生態系の豊饒さを楽しむことができるでしょう。
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群へのアクセス
カナディアン・ロッキーは広範囲が公立公園として保護されていますので、訪れる際には周辺の街に一度入ってから山脈方面を目指すという形になります。
また、これだけ広い公園ですから、目的地がどこであるかによってもどのルートが便利であるかは違ってきます。あらかじめ下調べをしたうえでルートを検討するようにしたいものです。
まず基本的には、カナダの2大都市であるバンクーバーかトロントのいずれかに入ることになるでしょう。
その後、好みや目的に応じてルートを選ぶことになります。
山脈方面へのアクセスとしては、以下の3パターンを挙げることができます。
【カルガリーからのアクセス】
カルガリーは、1988年に冬季オリンピックが開催されたことでも有名な都市ですが、カナディアン・ロッキーへの玄関口としても最もポピュラーです。バンクーバーから飛行機で1時間半、トロントからであれば4時間で到着します。
カルガリーからバンフまでは、自動車で2時間弱です。人気の観光スポットであるルイーズ湖までも2時間半といったところですし、主要ホテルからはシャトルバスも出ています。
個人旅行者にとっては最も利便性の高い経由地となるでしょう。
【エドモントンからのアクセス】
ジャスパー方面へ行く場合には、エドモントンが最も近いです。バンクーバーから飛行機で1時間半、トロントからは4時間程度と、主要都市からのアクセスではカルガリーに引けをとりません。
そのため、パッケージツアーのルートとしてもしばしば利用されています。
ただし、個人旅行の場合はレンタカー以外の交通手段がありませんので、注意が必要です。自動車でも4時間以上はかかりますから、旅慣れた人向けだといえます。
【バンクーバーから直接のアクセス】
バンクーバーから直接カナディアン・ロッキー方面へ行ってしまうとうい手段もあります。電車で移動するのです。
所要時間は18時間以上という長旅になりますが、電車に乗るのが好きという人にとっては、大陸を横断するこのコースもオススメです。
こちらも冬季オリンピックの開催地として知られていますが、カナダ最大の
都市でもありますので、必要なものは出発前に揃えられますので、時間に余裕がある人であれば不自由はないでしょう。