パリ、セーヌ川沿いに建つ「オルセー美術館」に行って見た感想

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カマボコ屋根の旧駅舎内にあふれる印象派絵画~オルセー美術館

パリ、セーヌ川沿いに建つ「オルセー美術館」は、1986年に開館した、比較的新しい美術館である。そこで展示されているのは、印象派の絵画が中心だ。

展示作品は、美術の授業で見聞きするものや、日本で展覧されたことのある作品が多いため、どこか親しみが感じられ、不思議な感覚を覚える。

美術館になるまでの歴史

現在オルセー美術館が建つ場所には、ナポレオンの計画によって建てられたオルセー宮があった。オルセー宮は、政府庁舎として使われたが、パリ・コミューン末期に焼失。放置されていたその跡地を使って建設されたのが、オルセー駅だった。

オルセー駅は、1900年のパリ万国博覧会に合わせて、オルレアン鉄道によって建設され、パリとオルレアンやフランス南西部を結ぶ長距離列車のターミナルとして使用されていた。。ヨーロッパでよく見られる、大きなカマボコドーム型の屋根の下に、建設当時は10線以上のホームが並んでいたが、鉄道網の発展にともなって手狭となり、近距離専用駅舎として使われるようになった。

しかし、それも長くは続かず、一時は取り壊しの話もあったというこの建物は、20世紀後半に入って、フランス政府によって保存されることとなった。その後、さまざまな活用方法が検討されたが、最終的に美術館としての役割を与えられたのだ。

オルセー美術館は、オルセー駅の駅舎とホテルを兼ねた建物を再使用。旧駅舎の構造をうまく活用しつつ、美術館として改造されたオルセー美術館は1986年にオープン。パリの主要美術館の一つとしての地位を確保している。

さらに2011年には、大幅な改装が行われ、館内は展示作品にとっても観賞者にとっても、さらに快適な場所へと生まれ変わった。

しかし、高いカマボコ型の天井のほか、建物のあちこちには、駅舎だった頃の面影が残されている。

明るい印象派を中心とする所蔵作品

19世紀の美術品を展示することを目的とする美術館であり、多少の前後はあるが、原則として1848年の2月革命から1914年第1次世界大戦勃発までの間の作品が所蔵されている。

パリの前衛芸術を代表する印象派絵画が主要展示とされているが、彫刻、写真、グラフィック・アート、工芸、家具にいたるまで、広いジャンルの作品も目を楽しませてくれる。

全体的に明るい題材、色彩のものが多く、美術に詳しくなくても、楽しく観賞できるのが特徴だ。

例えば、ジャン=フランソワ・ミレー「落穂拾い」、ピエール=オーギュスト・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」、フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」、エドゥアール・マネ「オランピア」、エドガー・ドガ「踊りの花形」など、美術の教科書に載っているような有名な作品が目白押し。

加えて、美術館の歴史を紹介するコーナーもあり、鉄道好きの興味をも引きそうだ。

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見学方法

ルーブル美術館に比べて小規模だといわれるオルセー美術館だが、実際にはかなりの規模。目的の絵画だけを見るのなら時間はかからないが、美術館全体を見学するのなら、それなりの時間を取る必要がある。

また、入場口が複数ある上それぞれが離れていること、チケットの種類によって分けられていることから、下調べしてから出掛けたほうが無難だ。

大きく分けると、チケット未購入一般個人/予約済みグループ/チケット購入済み一般とミュージアムパス保持者/予約済み学校等団体の4グループがそれぞれ別の入り口に並ぶことになる。

月曜定休で、毎週第1日曜日は無料。そのほかの日は、18歳未満は無料、さらに、日本人の場合、18~25歳までは夕方以降割引料金で入場できる。

チケットでおすすめなのが、パリミュージアムパス。パリ内の美術館を複数見学する予定なら、金額的にも、入場券購入や入場のために並ぶ時間を短縮するためにも有効だ。

パリ市内の美術館とのペアチケットや割引券などもあるので、訪れた先々でチケットデスクやカウンターをチェックしてみよう。

オルセーに限らず、パリの観光名所の多くで注意したいのが終了時刻。彼らのいう終了時刻とは、電気を落としカギを閉め終えて帰宅の途につく時刻だと考えておこう。

ギリギリの時間にかけ込むことはもちろん避けたいし、限られた時間を有効に使うためにも時間に余裕を持つよう心がけておかないと、見学の途中で追い出されることになりかねない。

また、館内の設備、例えばトイレなども、早めに閉鎖されてしまうことが多いので要注意だ。

もう1点、オルセー美術館の入り口付近には、子どものスリが出没することがある。荷物に注意を払うのはもちろんだが、かなりしつこいので、強く心の準備をしておこう。

オルセーとパリ市内美術館の楽しみ方

パリを代表する3大美術館は、それぞれに年代ごとに作品を分担所蔵している。ルーブル美術館は1848年以前を中心とした作品、オルセー美術館は1848年~1914年の作品、そしてポンピドゥーセンターはそれ以降の現代美術を担当している。

美術館巡りをする場合、年代の順に巡っていくと、美術の歴史を追いながら観賞できるわけだ。

ガイドブックやオーディガイドがあり、日本語にも対応している。ただし、常に在庫があるとは限らないので、日本語のガイドブックなどを持参するとよい。

オルセー美術館の姿は、対岸に立つルーブル美術館やチュイルリー庭園に合わせ、鉄骨建築の表面を化粧石で覆い、美しい景観が保たれるよう工夫されている。

オルセー美術館の名物の大時計や周囲の美しい建造物は、すぐ隣を流れるセーヌ川の遊覧船からじっくりと眺めることができる。

アクセス

RER・C線のミュゼ・ドルセー駅がすぐ近く、もっとも便利。

ほかにも、地下鉄、船、タクシー、自転車、徒歩など、アクセス方法はいろいろ考えられるが、先に述べたように、自分の入口の位置を確認してから最適なアクセス方法を考えよう。

改築後のオルセーに加わった見どころ

2011年の改築で、オルセー美術館のほぼ半分がリニューアルされ、作品の展示方法が大きく変更された。

特に、以前は明るい色合いが使用されていた壁・床・天井などが、光を吸収する暗めの色、グレー・ダークパープル・アイビーなどに変更され、そこへ日中の光を再現できるとされる人工照明が取り入れられた。その結果、暗い背景によって、絵画の持つ色彩が強調されたといわれている。

特に壁の色は、展示室ごとに異なる複数の色が組み合わされ、それぞれの展示作品とともにその効果のほどを観察してみたい。

名物である時計塔にも、新たに何層ものフロアーが作られ、より多くの作品が展示されるようになった。ここでは、異なった芸術作品たちが同じ空間の中に組み合わせて展示されているのが特徴だ。

日本人デザイナーによるベンチ

気になるのが、美術品としての印象派ギャラリーに置かれたベンチ「Water block」。日本人デザイナーによる作品だ。

印象派絵画にもっとも合う現代的なデザインとして認められたこのベンチは、透明度の高い特殊なガラスで作られていて、ベンチとしての実用性とともに、美術品としての価値もある。

そのことは、ベンチにスポットライトがあてられていることや、見学者たちがベンチに注目していること、誰もが座り心地を確かめている様子からも分かる。

ほかの展示室にも、モダンなベンチが置かれ、どれもじっくりと座り心地を確認したくなる出来栄えだ。

残念ながら、館内は全て撮影禁止となってしまったので、じっくりと自分の目と体と記憶に焼きつけてこよう。

館内の食事やお土産屋

館内には2件のカフェと1件のレストランがある。特にこのレストランは、オルセー駅内のレストランとしてオープンして以来、伝統的なフランス料理を提供し続けている。

このほかに、野外の売店もあり、テイクアウトのクレープやワッフルなどと飲み物が購入できる。

お土産やオルセーグッズの購入には、ブックショップかギフトショップを利用する。

美術関連の本、子供向けのゲーム、文具やカード類などはブックショップで。ギフトショップで扱っているのは、オルセー美術館のコレクションに関連したアクセサリーやグッズだ。

最後に

美術愛好家にとっては夢のような場所であるオルセー美術館。日本で展覧された作品も多いが、その際には何時間も並び、わずかな時間食い入るように見たであろうそれらの作品が、目の前にずらりと勢ぞろいしている様は壮観だ。

また、改装後の美術館に加わった楽しみとして、近代の印象派作品と現代のモダンアートとのミスマッチな組み合わせが館内のいたるところで見られることが挙げられる。

残念ながら、写真撮影が禁止されてしまい、作品はもちろん、そんな内装も写真として持ち帰ることはできなくなったが、その分、しっかりと目に焼き付けてきたい。

オルセー美術館は、伝統はあっても古く不便な建築物を、いかに現代生活に馴染ませて利用していくか、保存するだけでなく、身近に使い続けるという意味で、考えさせられる建築物だ。

パリが誇る美術館の歴史は、少し日本の東京駅の変遷を思い返させる。

訪れる者をどことなく懐かしませる不思議な力を持つオルセー美術館。そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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