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「エグルモント林檎祭りと変顔選手権」(Egremont Crab Fair and The World Gurning Championships )/イギリス・カンブリア
この祭りの写真を見て思い出されるのは「クシャおじさん」の存在。顔の要素である目鼻口をムギュっと中心に集めてクシャクシャの顔を作ることでお茶の間の話題をさらったおじさん、彼らが大集合して、クシャ加減を競う祭りがあると聞き、これは要チェック! とばかりに早速調査に乗り出しました。
祭りそのものは林檎が主役なのですが、その中のアトラクション的イベントの一つだったはずの「変顔選手権」がいつの間にか林檎の座を脅かすほど注目されるようになりました。
奇妙でブサイクで大笑いできて、ちょっと気味が悪い、そんな祭りの様子をご紹介します。
エグルモント林檎祭りと変顔選手権の特徴
「Crab」という言葉からは「蟹」を連想しますが、この祭りは蟹の大漁を祝ったり願ったりするものではありません。祭りの中心となるのは「Crab apple」と呼ばれる野生種に近い林檎。小ぶりで苦みがあり酸っぱい林檎です。
この林檎が収穫される秋に町を上げての大イベントが開催されます。林檎をたっぷりと積んだ馬車が林檎を配りながら町を通り抜け、その林檎を食べた時の顔の醜さを競うのです。
見た目の奇妙奇天烈さでは世界でも類を見ない祭り。近年になってニュース番組などで紹介されたことから、イギリス全土さらには世界にまで知られつつある奇祭の一つです。
エグルモント林檎祭りと変顔選手権の開催会場・開催日
林檎祭りとその中でも人気を集めるイベントである変顔選手権が開催されるのは、イギリス北部に位置するカンブリア。海あり湖あり山ありの自然豊かな地域で、スコットランドとも境界を接しています。古くはケルト系民族が独特の文化や言葉を持って暮らしていた地域であり、今もロンドンなどのイギリス都市部とは違った雰囲気を持つ地域です。
このカンブリアの西の海近くの町エグルモントが会場となります。
開催日は毎年9月の第三土曜日、町をあげてのイベントであり、町の中心部は車両通行止。マーケットが開き、さまざまなイベントが一斉に開催されます。
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エグルモント林檎祭りと変顔選手権の歴史
エグルモント林檎祭りは奇祭であるだけでなく、1267年から開催されている非常に古い歴史を持つイベントでもあります。1267年といえば、日本では鎌倉時代です。その古さに驚かされますね。
林檎の収穫を祝うという意味では歴史が古くてもおかしくありませんが、その頃から変顔選手権もあったという説があるというから驚きです。
この林檎はエグルモントが産地であり、秋の収穫の代表格として収穫祭の主役を担ってきました。古くは、ヘンリー三世がこの地域に大きなマーケットの設置を認めたことを祝い、町の領主が町民に収穫物である林檎を配ったことから祭りが始まったとも言われています。
これがどう変顔につながるかというと、その苦くて酸っぱい林檎をほおばった時の顔をgurn(下唇を上唇にかぶせるようにしたり、口をすぼめて鼻に近づけようとする変顔)と表現したのがきっかけだったとか。後から考えられた「こじつけ」のような気がしないでもありませんが、町の自慢の収穫物である林檎を食べて、その苦さや酸っぱさに顔をしかめ口元をすぼめる顔を競い合うという発想がこの国らしい「ブラックジョーク」です。
エグルモント林檎祭りと変顔選手権のパレード
町の中心となる通りでは、朝から林檎をたっぷりと積んだ荷馬車がパレードしていきます。沿道に集まった人は荷馬車から配られる林檎を受け取り、祭りのスタートを祝うわけです。
また、ローカルなイベントらしく、地域の子どもたちによるダンスや演奏のパレードが行われてにぎわいます。
エグルモント林檎祭りと変顔選手権のイベント
当然一番人気は変顔(ガーニング)選手権ですが、エグルモント林檎祭りは、本来林檎の収穫を祝うもの。そのため、町の広場にたつマーケットでは林檎をはじめとした秋の収穫物がたくさん並べられます。
農産物だけでなく、加工食品や手工芸品もならび、近隣から訪れた観光客たちが、食材だけでなくかっこうのお土産物として買い込む姿が見られます。
またこの祭りの日は地域のスポーツデーもかねているようで、カンバーランドとウェストモ―ランドスタイルのレスリングの試合が市内のグラウンドで開催され、こちらも人気を集めます。
このほか、パイプ・スモーキングやグリージー・パイプ・クライミングといった、笑いを誘うイベントも盛りだくさんで、町中が笑いに包まれます。
エグルモント林檎祭りと変顔選手権の食べ物
林檎をはじめとした農産物だけでなく、海産物にも恵まれた地域なので、町のマーケットでは豊富な食材を生かした美味しい匂いが漂っています。
でもやっぱり一番目につき人気を集めるのは林檎。日本のように皮をむいて一口サイズにして楊枝を刺すなんてことはしません。丸ごと皮ごと手づかみでガブリ。
アチコチで小ぶりな林檎をズボンでゴシゴシとこすったかと思うとかぶりつく姿が見られるでしょう。でも、その顔が「変顔」にならないところを見ると、現在のCrab apple は甘いようです。
用意するもの
クシャ顔技術とそれを人前にさらす勇気。
参加できること
ほとんどの競技(?)に参加が可能です。世界でも最も古い祭りの一つといわれるものの、その知名度はまだそれほどではないこと、またイベント内容的に誰でも参加できるものでも、したいと思うものでもないため、参加者はそれほど多くありません。
毎年優勝争いに残るのは似たような顔ぶれ。最近世界各地の祭りで日本人の活躍が報道されますが、この変顔祭りにいたってはまだ日本人の優勝者はいません。
一番の見どころ
もちろん変顔(ガーニング)選手権でしょう。
いかにして苦さや酸っぱさを顔いっぱいに表現するかが、このイベントの正しい参加方法のはずですが、今ではひたすら変顔をすることに意味があるという方向へと流れています。
イギリス人が「ガーニング」と呼ぶ変顔のコツは、下唇を上唇に大きくかぶせること、できれば鼻にまでかぶせることにあります。試してみると分かりますが、歯抜けのおじいさんが大いに優位に立つ競技です。実際、優勝者には歯抜けが多いような。勝つために歯を抜いたというツワモノもいるそうです。
参加者は馬のカラーを額がわりに顔を突っ込んで、その中で「そら見ろ!」とばかりに「変顔」を作ります。さて、みなさん、挑戦してみたいかどうか。
まとめとして
日本でのイギリスという国の対する認識がどんなでどの程度なのかを測る手立てはないものの、イギリス人と接していると、「ブラックジョークはイギリスのものに違いない」と感じる瞬間によく出会います。
マジメそのものの顔で急に、「聞き間違い?」と思わず頭を傾げるようなドギツイジョークを飛ばし、紳士然とした服装と立ち居振る舞いができるのに、突然驚くほどお道化た行動を取ったりして、それでも飄々。
この林檎祭りの変顔選手権の存在を知った時、これこそ彼らのジョークそのものだと思いました。そのジョークを700年に渡って引き継いできたという史実、そしてそのジョークのために歯まで抜いてチャレンジをしてしまうところ、いくら祭り好きであってもなかなか真似できるワザではありません。
祭りの様子を見ていても、あまりの醜さに「これ、笑っていいんだろうか?」と思わずためらう瞬間があります。でも、出場している本人たちも観客たちも大うけ。
参加するのは躊躇しますが、笑うことをためらう必要はなさそうです。
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