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聖母マリアの奇跡を守る世界一美しい教会~サントゥアリオ・デ・ラス・ラハス/コロンビア・ナリーニョ県
コロンビアとエクアドルの国境近くに、世界一美しいという噂の教会がある。
確かにその教会は美しい。しかしそれだけではなく、聖母マリアの奇跡が起きた場所であり、深さ100mを超える渓谷をまたぐように建てられた絶景地でもある。
中南米を代表する巡礼地でありながら、その場所柄訪れる人はさほど多くないサントゥアリオ・デ・ラス・ラハスの魅力を探ってみよう。
聖母マリアが現れた岩
1754年のこと、先住民女性と聾唖の娘が谷で嵐に見舞われ、巨大な岩の隙間で雨宿りをしていたところ、娘が突然、稲光が岩に映し出した陰影を指さして、「女の人が私を呼んでいる!」と叫んだ。
現れたのは聖母マリアであり、聾唖の娘に奇跡を起こしたのだ。
この伝説的な出来事から、この岩は「奇跡を起こす聖母マリア」への信仰の対象となっていったという。
教会内の祭壇となっているその岩を現在も見ることができる。
スペイン統治とキリスト教化
奇跡が起こったのは、スペインがインカを滅ぼし征服して150年ほど経った頃のこと。
現在も原住民たちが多く暮らすこの地は、都市部からは遠く離れた高地であり、スペインからの文化が到達するのは都市部よりも遅れていたのかもしれない。
そんな場所で、キリスト教が浸透していく段階で起こった奇跡。そしてその奇跡の起こり方も、なにやら西洋的にも感じられる。
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現地住民に守られた祠
教会の名となっている「ラハス」とはこの辺りの岩盤を意味する。もともと洞窟があり、現地住民たちが祈りを捧げる祠が作られていたという。
そこへ聖母マリアが現れ、キリスト教の信仰の場へと変わっていったようだ。
岩と祠を守り固める教会の建造
最初の教会は、原住民の信仰対象であった祠と聖母マリアが現れた岩とを、覆うようにして建てられていった。この最初の教会が建てられたのは、ちょうど18世紀半ば。それは、藁や木材で建てられた質素なものだったという。
1802年には、新しくより強固な建物に建て替えられ、岩とそれを守る祠のある崖と、反対側の崖とをつなぐ橋も付け加えられた。
スペインフランシスコ会の修道士は、18世紀半ばからこの地が観光や巡礼の地となっていたと書き残していることから、奇跡の噂はあっという間に南米中に知れ渡っていたのだろう。
現在のサントゥアリオ・デ・ラス・ラハス
渓谷の間、空中に浮かぶかのように立つ美しい教会が建てられたのは、1916年のこと。1949年までかけて、渓谷の底から100mの高さにネオゴシック様式の瀟洒な教会と対岸へとつなぐ橋が建設された。
高い位置から見ると分かるが、この辺りは渓谷と岡とが混在してデコボコしている。教会は、そんなデコボコの中でもひときわ抉れた深い渓谷の隙間にある。
聖母マリアの岩や祠がある渓谷の片側に張りつくようにして建てられた教会は、渓谷に作られた足場を頼りに中央付近までのび、そこから対岸までが橋でつながった状態だ。
渓谷に渡された橋の半分が教会になっているというと想像しやすいだろうか。
教会建設は地元からの寄進で
30年以上かかった建築のための費用は、地元の信者たちの寄進によってまかなわれたといわれている。
過去も現在も、サントゥアリオ・デ・ラス・ラハス周辺に、それほど裕福な街も住民も見かけることがない。信者たちの小さな寄進だけではとても賄いきれないであろうこの教会の費用は、聖母マリアの奇跡を信じ、そして実際に救われた中南米中の信者たちから集められた寄進が利用されたのだ。
奇跡を起こす聖母マリアの教会として
「聾唖の少女を癒した奇跡を起こした聖母マリアの教会」であるサントゥアリオ・デ・ラス・ラハスは、コロンビアはもちろん中南米中、そして世界でも注目される「奇跡の地」となった。
18世紀以来現在に至るまで、その奇跡を頼って訪れ、実際にその恩恵に触れた人も多いらしい。
しかし、周辺に際立った観光地があるわけでも、整ったリゾートがあるわけでもなく、アクセスに恵まれないために、平日は閑散としているほどだ。
プレートの参道
奇跡を信じ、奇跡に恩恵に預かった人がいるという事実は、教会へと下って行く参道の壁に埋められた無数のプレートが物語っている。
訪れた日や名前を書き込み、願い事や奇跡の内容を記したさまざまな形のプレートが、壁に埋め込まれている。
感覚としては、絵馬のよう。全ての願い事が叶ったわけではないかもしれないが、奇跡を信じて訪れている人が多いことは伝わってくる。
聖母マリアが現れた岩の祭壇
サントゥアリオ・デ・ラス・ラハスの教会は、細い柱とアーチを多用した繊細な作り。聖母マリアを祀る教会である印の丸いステンドグラス「バラ窓」もある。
岩レンガで作られた外側の繊細ながらもシックな雰囲気とは違い、内部は柔らかい色調を持つ。
教会最奥の祭壇へと進むと、むき出しの岩に描かれた聖母マリアと幼子イエスを中央に見ることができる。この岩こそが、聖母マリアが現れて奇跡を起こしたその現場である。
岩の祭壇には、一般見学者は近寄ることができず、少し離れたところから見学または祈りを捧げる。
国境の町「イピアレス」
サントゥアリオ・デ・ラス・ラハスは、「ラス・ラハス村」にあるが、この村には参拝客向けのお土産屋と休憩所程度しかない。
そこで、多くの観光客や巡礼者たちは、近くにある町「イピアレス」に向かう。
イピアレスは、コロンビア側からだと、ボゴダからバスで丸1日、ポパヤンからだと8時間。エクアドル側から訪れることもできるが、同様に長距離バスに揺られる必要がある。
そうして到達するイピアレスだが、宿と食事はあるが、観光するものはあまりない。あくまで、サントゥアリオ・デ・ラス・ラハスへの足掛かり的な町だ。
ただ、先住民率が高いため、建物の壁に描かれる壁画はより原始的でカラフルで興味深い。
イピアレスからサントゥアリオ・デ・ラス・ラハスまで
イピアレスからサントゥアリオ・デ・ラス・ラハスまでは7km。
バスやコレクティーボ、タクシーが便利。歩けない距離ではないが、標高3000m近い高地であるため、かなりの体力を必要とする。
また、乗り物を利用して行っても、崖の上で下ろされ、そこからは歩いて教会まで下りていく。当然、帰りはその道を登らなければならない。これがけっこう大変。
体力さえあれば、教会からさらに下の渓谷まで下りることもできる。地元の若者たちは、川に飛び込んで水遊びをしたり、周りに木陰で涼んだりして過ごしている。
グイタラ川渓谷トレッキング
教会見学を終えて、体力にも時間にも余裕があれば渓谷の下へと降りてみよう。
渓谷沿いにはトレッキングコースが作られていて、軽い高山病でのぼせた頭と体を静かな気で癒してくれる。
高地なので息切れ注意
この辺りは標高が2500~2900mというかなりの高地。比較的標高の低い都市部から移動してくると、息切れや頭痛、発熱などの症状に見舞われることもある。
標高の高さが極端ではないために油断してしまうことが多いのと、体も高山病とは分かりにくい微妙な反応をすることがあるが、ちょっとした無理がたたって数日寝込むようなことにもなりかねない。
サントゥアリオ・デ・ラス・ラハスへの道はアップダウンもあり、見かけ以上に体力を消耗する。時間や日程に余裕を持ち、こまめに休憩をとるように心がけよう。
最後に
中南米でもっとも美しい教会を持つもっとも重要な観光地であるといわれながら、今も国境付近の渓谷にひっそりと建つサントゥアリオ・デ・ラス・ラハス。
観光バスが乗りつけるような騒がしさがなく、緑と水がもたらす清浄な雰囲気も助け、奇跡の存在を身近に感じられる場所だ。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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