ジュネーブの独立を祝う市民の祭りエスカラード祭に行ってみた

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ジュネーブの独立を祝う市民の祭り「エスカラード祭」(L’ Escalade)/スイス・ジュネーブ

平和を愛するスイスの都市ジュネーブで400年に渡って続いてきたエスカラードの祭りは、スイスが独立を守り抜いた記念日であり、そのための戦いの犠牲者を悼む日でもあります。

祭りの名である「エスカラード」とは梯子または梯子をよじ登ることを意味します。梯子を使った敵の夜襲からジュネーブを守った史実を記念しての命名だといいます。ジュネーブ市民たちにとっては、イースターよりもクリスマスよりも大切だというエスカラード祭りの楽しみ方をご紹介します。

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エスカラード祭の開催会場・開催日

ジュネーブ市内の公共施設や大小の道路、また普段は閉鎖されている路地などでさまざまなイベントが行われます。イベント会場や内容、パレードなどのコースはその年ごとに変わるので、市の観光案内所やホームページなどでチェックしてから出かけましょう。市内の非常に広い範囲で繰り広げられるイベントの数々。場所と日時をしっかりと把握していないと狙ったイベントも見逃してしまいます。

毎年12月第一土曜日から翌週の日曜日までの9日間にわたる長期間の祭りですが、大きなイベントは最初と最後の週末を中心に開催されます。また、この間学校は休みになったり半ドンになったり、特別授業だったり、お店や会社もお祭り気分で、イベントに参加する人々は練習や準備に追われます。普段はツンとした雰囲気を持つジュネーブの町と市民たちがソワソワと浮足立っているのを感じることができるでしょう。

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エスカラード祭の歴史

ジュネーブはスイスですが、文化的には国境を接するフランスに近い部分を多く持っています。それというのも、長い中世の歴史の中で常に領土争いに巻き込まれてきたからなのです。

中世中期、北イタリアから南フランスまで一帯を治めていたサヴォア公国は、虎視眈々と当時のジュネーブ共和国を政治的にも宗教的にも支配下におくべく狙いをつけていました。ジュネーブの発展を横目にその恩恵を自国内に組み込みたいという野望を持っていたこと、サヴォア公国はカトリックであり、宗教革命によってプロテスタントの聖地ともいわれていたジュネーブはまさに目の上のたんこぶだったことが、その背景にありました。

そして時は1602年12月12日の夜のことでした。サヴォア公国はジュネーブへと夜襲を仕掛けてきました。その時の作戦がエスカラード、梯子を使ってジュネーブ市街をぐるりと囲んでいた城壁をよじ登る奇襲だったのです。

ジュネーブ市民たちは、一丸となってこの攻撃に立ち向かいました。その際に一人の婦人が大釜いっぱいに煮込んでいた煮えたぎるスープを城壁の上から梯子を使ってよじ登ってくるサヴォアの兵に向かって落とし流して撃退したという故事が残っています。

市民たちはこの婦人の快挙に続けとばかりに意気をあげ、とうとうサヴォア兵たちを撃退したといいます。

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エスカラード祭のパレード

エスカラード祭では街を練り歩くパレードに参加したり見たりするのが一番の楽しみです。当時の民族衣装をまとった市民・職人・農民・兵士などがそれぞれに馬車を設えたり、仕事道具を担いだり、羊を連れたり、槍や鉄砲を担いでパレートします。メインパレード参加者はその多くがなんと世襲制だといいます。

音楽隊も来ます。子どもたちのかわいい仮装や大人の本気の仮装も続きます。動物たちのパレードもあれば、巨大な鍋の山車も通っていきます。

ジュネーブ市民や観光客たちは、このパレードを一目見ようと、ある者はその道すがらに立ち、ある者は出発や最終地点となるモラド広場で数時間前から場所取りをして臨むほど。

パレードのコースや内容は毎年変わります。見逃さないためには事前にしっかりと情報を集めておく必要があるだけでなく、参加するなら早めに申込み、見るだけであっても計画的に場所取りしておいたほうがいいでしょう。

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エスカラード祭のイベント

イベント内容もその年によって異なりますが、近年は最初の週末に年齢や距離別、そして仮装の有無で分けたマラソンが行われることが多いようです。こちらは誰でも参加できるので、お祭り気分を盛り上げるのにはもってこいでしょう。

市内の教会や公共施設では、コンサートや当時の故事を紹介する展示や演劇などが行われます。市街地の店舗では、故事に登場する鍋をかたどった商品を限定販売し、店先をデコレーションしているので、街歩きをしていても普段のジュネーブとはまったく違った顔を見ることができます。

そして最後の週末には待ちに待ったパレード。そして、1年にこの時にしか通ることのできない「モヌティエール通り」が開放されます。モヌティエール通りは城郭へと入るための通路で、幅広の城壁を抜ける洞窟のような細く暗いトンネルです。大人がすれ違うのがやっとの広さしかなく、万一敵が押し寄せてきても一度に大勢が侵入できないように工夫されています。

普段は一般集合住宅の入り口として使われているため、関係者以外は立ち入り禁止。この日だけ開放されていて、市民たちが列を作って抜けていきます。

市街地に残されている当時の城壁の一部では、実際に梯子がかけられ、エスカラードの様子が再現されていたりもします。このように大小のイベントがあちこちで開催されているのです。

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エスカラード祭の食べ物

サヴォア兵を撃退したスープにちなみ、街角ではぐつぐつと煮込まれた野菜スープの寄付制炊き出しや販売が行われています。旧武器庫前では、エスカラード祭のロゴが入ったノベルティグッズである鍋ごと販売していて、記念品としても寒空で体を温めるスープとしても人気を集めています。

また、ヴァン・ショーと呼ばれるハーブと果汁入りのホットワインは、この時期のジュネーブでは欠かせない飲み物です。こちらもやはり通りのあちこちで寄付制の配布や販売があり、あたりに赤ワインとハーブの匂いを漂わせて人々の鼻を誘っています。

このほか、子ども向けには鍋の形のチョコレート「マーミット」が販売されています。チョコレート屋だけでなく、パン屋やスーパーなどでも売られ、中にはさらにチョコレートや砂糖菓子で作られたミニチュアの大砲やお城や梯子などが入っています。ジュネーブ市民たちは、このチョコレートの鍋を11月のうちに購入しておき、互いにプレゼントし合います。そしてエスカラード祭当日に鍋ごと割って、鍋も中身も食べてお祝いします。

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まとめとして

11月というと、キリスト教系の地域ではハロウィーンが終わりクリスマスへとお色直しされる時期です。ところが、ジュネーブではクリスマスはまだお預け。11月はエスカラード祭への準備期間なのです。

エスカラード祭が近づくと、ジュネーブの町にはチョコレートの鍋と中世の衣装があふれます。子どもたちはピーターパンのような、ハーメルンの笛吹男のようなスタイルの衣装を仮装のために買ってもらいます。そして自分がもらったり買ったりしたチョコレートの鍋のサイズと中身が日々の会話の中心となっていきます。

市をあげてのエスカラード祭が終わると、ジュネーブは大急ぎでクリスマスへと衣替えを行い、賑やかだった街は一転して静けさを取り戻します。

エスカラード祭は世界どころかドイツ全土でもそれほど知られた祭りではなく、あくまでジュネーブ市民が祝い楽しむ祭りとして根付いています。そのため、この時期を狙って訪れる観光客は少なめ。

この時期にジュネーブを訪れるなら、イベントのほとんどが旧市街地なので、宿泊先は旧市街地を選ぶといいでしょう。運が良ければ、ホテルの部屋の窓やバルコニーからパレードを眺め、ホットワインやスープの匂いを嗅ぎ、人々の唄うエスカラードの歌をきくことができるかもしれません。

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