スペインのトレドにある全ての教会に行った。迷宮の迷い方

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2000年のスペイン史が凝縮されたラビリンス~トレド/スペイン

トレドは、スペインが辿った歴史をその街の中に宿し続けている古都だ。

タホ川に囲まれた旧市街地は世界遺産に指定され、古代から中世を経て現代にいたる2000年を超える歴史が息づいている。

旅人は、タイムマシンに乗ることなく、歴史の間を歩き、休み、触れるという貴重な体験ができる。

トレドが抱える2000年の歴史

先史時代から人が生活していたことが知られているが、歴史上にはっきりとその名を現すのは、415年建国の西ゴート王国がローマ領地であったこの地を支配した頃からだ。560年には首都に定められている。

711年には、イベリア半島に起こった「後ウマイヤ朝」支配下となる。アラブ・イスラム系の支配は、後ウマイヤ朝が滅んだ1031年以降も「タイファ」と呼ばれる小国の1つ「トレド王国」として続いたが、キリスト教勢力「カスティーリャ王国」によって征服された。この「カスティーリャ王国」は、後のスペイン王国の核となった。

ローマ領地、イスラム勢力支配下、キリスト勢力支配下へと1000年以上をかけて、争いの中心となったトレドは、スペイン王国の宮廷を持つスペイン屈指の大都市だったが、1561年に首都がマドリードに確定されると同時に、徐々に衰退していき、今日に至っている。

ミックスカルチャーが作りだしたもの

トレドにキリスト勢力が定着した後も、「トレド翻訳学派」と呼ばれる学者たちが存在し、古代ギリシアやローマの貴重な文献がアラビア語からラテン語へと翻訳されていった。この作業は、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒に協力の下で行われたとして、歴史上特記されている。

そして、このミックスカルチャーの成果は、12世紀以降の西ヨーロッパのルネサンスに大きな影響を与えたとされる。

トレドの旧市街には、ミックスカルチャーの生き証人ともいえる建造物が多く残されている。特にイスラム様式を残す街並みは、キリスト教による「レコンキスタ(国土回復運動)」が成功しイスラム勢力が撤退した後も、「イスラム」が文化としてこの地に融合して残されたことを教えてくれる。

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迷宮都市「ラビリンス」トレド

Labyrinth

トレドの旧市街地はタホ川に3方を囲まれた小高い丘の上だ。天然の要塞として機能していた城壁内は、狭い路地が隅々まで入り組んでいて、まるで迷路のよう。

古いレンガ造りの家、石畳の狭い路地、曲がりくねった道の向こうにチラチラ姿を見せるカテドラル。

地図を持っていても迷ってしまいそうな街並みは、世界遺産として保護されていて、建物を修復するにも許可がいるという厳重な保存体制を取っている。

迷宮の歩き方と迷い方

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迷路を作る細い路地には全て名前がついている。そして通りの名前は通りの入り口や出口、交差点の角の壁に必ずタイルで記されている。

ようするに、細かい路地の名前が記載された地図を手に入れることが大切なのだ。適切な地図と通りの見つけ方さえマスターすれば、トレド観光は急に親しみやすいものになる。

小さな街なので、観光名所を見て回るのにそれほど時間はかからない。一通り見学するだけならば、半日から1日で可能だろう。

でも、もし十分な時間を持つことができるなら、地図はバッグにしまいこんで、好奇心と足の向くままに進んでみよう。路地の先を行く猫を追いかけてもいい、走っていく子供たちの姿や声を追いかけるのもいいだろう。地図とにらめっこしている観光とは違った景色が見えてくるはずだ。

理想的観光ルート

Cathedral

トレド観光のスタート地点は「ソコドベール広場」。インフォメーションもあり、地図や情報を仕入れることもできる。

観光案内ツアーに参加すれば楽ではあるが、トレドは小さな街。路地の人波に流されていっても、「カテドラル」には間違いなく流れ着くはず。

石畳の道を歩き回る自信がない場合には、ソコドベール広場から出ている「ソコトレン」を利用するといい。この列車の形をした観光バスは、約40分間のトレド「車窓の旅」を楽しませてくれる。

本数が少ないので、早めのチケット購入がおすすめ。

カテドラル

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スペインのカトリック総本山である大聖堂。

13世紀から15世紀にかけて200年以上かけて建築された、派手さよりも重厚さが特徴の教会だ。

多くはないが、ステンドグラスからこぼれる明かりも柔らかく、石と木を使った内部は落ち着いた雰囲気を持つ。

エル・グレコの「聖衣剥奪」、「十二使徒」などが収められた聖具室も見逃せない。

サント・トメ教会

Ayuntamiento

元はモスクだったものを教会に改装した。そこここに異文化が融合したスタイルを見ることができる。

入り口を入って右手の壁には、エル・グレコの「オルガス伯爵の埋葬」がある。

エル・グレコの家

HouseofElGreco

サント・トメ教会のすぐ近くにある建物で、エル・グレコが住んでいたといわれているが、実際に住んでいたかどうかは不明。当時の画家の生活ぶりを復元した博物館となっている。エル・グレコの作品だけでなく、縁りある品々も展示されている。

エル・グレコは、現在では有名画家として広く世界に知られているが、その才能は長く埋もれていた。

エル・グレコの才能が再発見されたのは、19世紀に入ってからのこと。実に、エル・グレコが亡くなって200年が経っていた。

現在、エル・グレコは、ルネサンス期のスペインを代表する画家として認識されている。

トランシト教会

ユダヤ教シナゴーグ。内部はユダヤ教関連の書籍や宗教具が展示された博物館になっている。

ユダヤ人やユダヤ教徒特有の生活や風習が紹介されていて興味深い。

アルカサル

Alcazar

3世紀にローマ帝国の宮殿として建てられたが、その後のイスラム統治下で廃墟のまま放置されていた。

現在見ることのできる建物は、スペイン王国時代になって修復・復元されたもの。

パラドール

トレドの街を見下ろす絶好のポイントとして「地名」のように使われているが、ホテルのこと。

ホテル前の駐車場や道路脇には、昼間は景色をカメラに収めようという旅人が、夕方になると夜景を眺めようというカップルが場所取りをしている。

ホテルからの眺望はもちろん最高だが、宿泊しなくてもカフェを利用すればゆっくりとスペクタクルな展望を眺めることができる。

ここからの眺めでは、2000年分の歴史を見下ろしているような気分、または、エル・グレコの絵画の中に迷い込んでお茶を楽しんでいる気分が味わえる。

鉄製武具屋さん

トレドは、鉄製品である剣やナイフなどの生産地として知られている。

物が物だけに、どちらかというとマニア向けの店が多く、お土産にはあまり適していないが、中世の人々の武具やゲームの世界で使われていそうな武器などをウィンドウ越しに眺めるのは、トレドの街だからこそ、それなりに情緒がある。

トレドへの行き方

マドリードから1日10便程度の高速列車が出ている。所要時間は40分程度だが、トレドの駅が郊外にあるため、ソコドベール広場など街の中心まではバスでアプローチするといい。

マドリードからはバスでも1時間程度なので、時間や予算に合わせて選ぶことができる。

最後に

「スペインで1日しかないなら、トレドへ行け」と言うくらい、スペインの歴史や文化の全てを持つ街がトレドだ。

首都こそマドリードに移ってしまったが、だからこそ、トレドの良さが今まで残っているともいえる。

マドリードから日帰りできる距離であり、年中国内外からの観光客であふれている街だが、夕方以降は急に静かな歴史の中に沈み込んでいく。

時間が許すなら、日帰り観光客が立ち去った後のトレドを味わいたい。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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