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地上に残る最後の楽園か異世界か~ソコトラ島/イエメン
古くは、貴重かつ特殊な資源の存在によってヨーロッパから遠くアジアの中国にまで知れ渡っていたが、海上交易が廃れたことによって、その存在は徐々に薄れ、忘れられていった。その島の名がスコトラ。
スコトラは、長い眠りから揺り起こされ、今戸惑いながら旅人たちを迎え入れ始めている。
どこにあるのか
中東アラビア半島のイエメンに属するインド洋上の島だが、周辺にある小さな島々と合わせて「ソコトラ群島または諸島」と呼ばれる。
アラビア半島の南300km地点に浮かぶ島だが、歴史的にもアフリカにより近い部分を持ち、地理的にもアフリカ東端の岬から240kmとより近い。住民もイエメン本土の住民よりも色の濃いアフリカ系がほとんど。
地質学的にも、アフリカ大陸から分離したと考えられていて、過酷な気象条件の下、動植物は独自の進化を遂げている。
その特殊性とは
ガラパゴス島やタスマニア島と比較されることがあるように、ソコトラ島もまた、周囲から隔絶された環境下、特殊な生態系を持つに至っている。
生態系はイエメン本土とは大きく異なり、比較的アフリカに似た部分がある。しかし、ソコトラ島固有種とされ、他の地域では見られない動植物の割合はとび抜けて高い。
スコトラ島固有の植物に群がるのはスコトラ島固有の虫で、その虫を捕食するのはスコトラ島固有の鳥、といった感じだ。
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スコトラ島の歴史的背景
アフリカとアラブを結ぶ海上貿易の中継基地として、古代からギリシャ人・アラブ人・インド人らの寄港地として栄えたが、現在の産業の中心は農業。牧畜のために放牧された山羊は野生化して島中で繁殖している。
また、スコトラ島固有種である「竜血樹」の赤い樹液「竜血(シナバル)」は、古代ローマ・中世を通じたヨーロッパ諸国や中国で珍重され、現在も島の外貨収入手段だが、人工的な生育が難しく、需要に供給が追い付かない状態になりつつある。また、無計画な搾取による環境破壊も報告されている。
竜血樹
離れたところから見ると、大きな傘のようなユーモラスな形、木の陰に入って見上げると、何十本もの手で丸い緑の円盤を支えているようなホラーチックな形、どちらも竜血樹の姿だ。
竜血樹が特別なのは、まずソコトラ島にしかないこと、そして、真っ赤な樹液を持っているところにある。
古くは古代ローマ時代から、船による交易によってこの樹液は各地へともたらされ、その色から「竜の血」として薬や呪いなどに使用されていたという。
やがて、交易地として利用されることがなくなっても、竜血だけはヨーロッパや中国向けに輸出されていた。現在は、そこへお土産としての需要が加わっている。
しかし、この竜血はゴムの樹液のように、幹を傷つける程度では搾り取ることができず、樹皮を大きく抉って採取するため、見かける竜血樹のほとんどは、満身創痍状態。
需要の増加と共に、竜血樹の林を歩くとその足元には竜の屍ともいえる、枯れて白く乾燥した骨のような竜血樹のなれの果てがゴロゴロしている様子を見るようになった。
近年になって、竜血樹の苗木の栽培も行われるようになったらしい。
ボトル・ツリー
太い三角錐また円錐の幹から同じく太い枝を数本伸ばし、先端にわずかな葉と花をつけるのがボトル・ツリー。ずんぐりむっくりした瓶のような幹の形からそう呼ばれている。
しかしまたの名は「デザート・ローズ」。どこに土があるのか? と思うような岩場や砂場にも張りつくようにして成長し、ピンク色のキレイな花を咲かせるところからつけられた別名だ。
乳香木
古代ローマをはじめとした地中海沿岸都市では、乳香は儀式などに使われる貴重な香木として需要があった。
本土イエメンや周辺地域にも乳香木はあるが、ごくわずかしか残っておらず、スコトラ島にはまだ乳香木の森も残っている。
スコトラでは8種の乳香木を見ることができる。
動物と鳥
スコトラでもっとも大きな動物は山羊。山羊には天敵がいないため、当然人口よりもずっと濃い密度で島全体に繁殖している。
スコトラ島で有名なのは鳥類。その種類は200種ともいわれ、世界的にも絶滅の危機にあるとして注目される「エジプトハゲワシ」や、島の固有種、渡り鳥などの姿をウォッチングすることを目的に訪れる旅人も増えている。
ドライブ
島に道はある。しかし、舗装されているのは中心街「ハディボ」内の数百mだけ。しかし、竜血樹の林も乳香木の森も美しいビーチも、街から数時間以上のドライブが必要だ。
すなわち、悪路を延々と走り続ける覚悟が必要だということ。さらには、走れど走れど街はおろか村もない。たまに見かける集落は多くとも10件程度であり、宿泊することも食事にありつくことも難しい。
そのため、レンタカーもあるが、路を良く知る運転手兼料理人兼ガイドのついたツアーで回る方が効率も安全性も高いだろう。
キャンピング
ホテルや旅行代理店でアレンジされるツアーには、キャンピングが組み込まれている場合が多い。
それというのも、ハディボを離れたらホテルもゲストハウスもまずないからだ。
川のそば、海のそばは格好のキャンプ地。大きなアウトドア用の車にはキャンプ用品がしっかりと積まれているので、個人で用意する必要はない。
肉食獣に襲われる心配はないが、蜘蛛や小さな虫たちの攻撃はまれにある。また、トイレなどは露天が当たり前なので覚悟しておこう。
ハイキング
いくら道なき道を走れる車であっても、山を登っていくことはできない。そこで、麓で車を降りて、ハイキングすることになる。
車が走るような道沿いにも、竜血樹やボトル・ツリーはある。しかし、それらの群生している場所へ行きたいなら、数時間のハイキングが必要だ。
シュノーケリング&ダイビング
島の周囲にはまさに手つかずのビーチがあっちにもこっちにもある。
他の見どころとの兼ね合いや、キャンプのしやすさ、バンガローの有無などによって、寄り道できるビーチが変わってくるが、どこのビーチもプライベート使用。
見かけるのは、蟹や鳥たちばかり。しかし、油断は禁物。ごくまれに、どこに住んでいるのか? 海からモリを片手に現れる漁師もいる。
彼らからは、新鮮な魚介類を買い取るという嬉しいサプライズを受けることができるが、油断して裸でいると、慌てふためくことになる。
注意事項
スコトラ島はモンスーンの影響を強く受ける位置にあり、6月から9月の夏は、あまりの強風で船はもちろん、飛行機も頻繁に欠航となる。
そのため、ツアーを組んでいても、フライトがキャンセルになることはよくある。そのあたりの事情は踏まえておこう。
さらに、よほどの時間と根気がなければ、島を自分の足で観光するのは非常に難しい。当然、現地の人々のリズムはかなりゆっくりであり、天気やその他の事情に左右されやすい。
そのため難しいツアー行程や注文を行っても、その通りに運ぶことは少ないと思っておいた方がいい。
島にはコンビニはおろか、スーパーや土産物屋もほとんどない。必要なものは、島へ来る前に用意しておくこと。どうしても島で調達する必要のあるものは、見かけたらその場で買っておくことが大切だ。
最後に
1999年まで外国人の入島が原則禁じられていたため、その存在は歴史上の記録にチラっと現れるばかりで、一般人の耳や目に触れる機会はほとんどなかった。
「世界遺産」に登録され、航路整備によって外国人も手軽に訪れることができるようになった今、スコトラ島独自の生態系は大きな変化期を迎えているといわれている。
島民に自然保護の概念がないため、また、急激な観光客の増加で設備や整備が不十分なために、多くの固有種が絶滅の危機にあるのだ。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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