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過疎化と観光化が同時進行中の世界遺産~チンクエ・テッレとリオマッジョーレ/イタリア・リグーリア州
世界遺産にも登録されているチンクエ・テッレとコムーネの中心集落であり、チンクエ・テッレ内最大の人口を持つリオマッジョーレは、イタリア有数の景勝地であり観光地だが、その孤立性の高い地形から要塞都市だった歴史を持つ。
岩盤ばかりの急斜面を削って作りだした土地は痩せ、わずかにワイン用のブドウを育てることができるだけ。
特殊な地形と土壌とが、独特の文化や気質を生み出している。過疎化が進む中で残っている住民たちは誇り高く、土地を愛しているのが伝わってくる。
チンクエ・テッレとは
「5つの島」を意味し、岩壁と海に挟まれた険しい海岸沿いの小さな集落のことをさす。「ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群」として世界遺産にも登録されている。
孤立した天然の地理を生かして要塞都市が建設されてから1000年。人々は、岩の崖を切ったり削ったりしてできた狭いスペースに家を建て、畑を作り、道や線路を通してきた。
今でこそ、歩道や鉄道が一部通っているものの、チンクエ・テッレ内の集落間の移動は原則船だった。
リオマッジョーレはどこのどんな場所か
イタリアのラ・スペツィア県南部、地中海の一部であるリグリア海のリグリア海岸に面している。沿岸は、ジェノヴァ、サンレモ、コートダジュールなどにもつながる景勝地であり、「リヴィエラ」と呼ばれて古くからリゾート地としても知られていた。
しかし、リオマッジョーレの住民は2000人足らず。とても有名観光地とは思えない規模だ。
住民の多くは、ブドウ農家や漁師、観光業などに細く長く従事している。世界遺産に登録される前から観光客はちらほら訪れていたが、現在も週末や観光シーズンこそ小さな集落が人であふれるものの、普段のリオマッジョーレは静かな日常の中で過疎と戦っている普通の田舎の港町といった感じ。
ブドウとワインと石垣と過疎とボランティア
リオマッジョーレを含むチンクエ・テッレの村々の生活の中心は漁業とブドウだ。
岩盤と海しかなかったチンクエ・テッレでは、岩を砕いて土地を作り、その際に出た砂を土壌とした畑が精いっぱい。痩せた土地でようやく育つようになったのがブドウ。それもワイン用だったのだ。
16世紀時代から、地中海沿岸のみならず、ヨーロッパ各地の王家や貴族たちも認める高品質のワインはここで生まれ、現在も特産物として作られ続けている。
丘に作られた段々畑は、砂が流れ出さないように石垣でしっかりと囲まれている。1000年に渡って積み上げ、延長し、修復されてきた石垣はなんと総延長6700kmという途方もない長さとなっている。
しかし、決して豊かとは言い難い暮らしに、各集落では過疎が問題化し、ブドウ畑にも十分な手が入らない状況になりつつあるという。近年では、世界遺産としての知名度アップと整備の必要性から、ボランティア団体などにより環境保全を兼ねた作業が定着化しつつあるようだ。
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鉄道で船で歩いて
東南端に位置するリオマッジョーレから合計5つの集落を巡るには、鉄道や船、そして歩きをうまく組み合わせるといい。
隣接する都市部から乗ってきた鉄道から鈍行各駅停車に乗り換えての鉄道の旅もぜひ味わいたい。
鉄道は、海岸沿いの低いところをトンネルをくぐっては顔を出し、再びくぐるの繰り返し。リオマッジョーレの駅などは、トンネルとトンネルに挟まれていて、電車が駅に停車していても、先頭部と最後部はトンネルの中だったりする。
また、古くからの交通手段である船は今も人気だ。なんといっても景観が素晴らしい。海は青く、岩場は太陽の光を受けて鉱石のように光り、カラフルな家とブドウ畑の緑や石垣の白が青空とコントラストを作りだしている。海からだけ、それらをまとめて視野にいれることができるのだ。
そして、忘れてはならないのが徒歩。5つの集落全てを徒歩踏破しようとすると5時間ほどかかる。観光時間を入れると丸1日以上は必要だろう。実はチンクエ・テッレは有名なハイキングコースであり、観光客だけでなく登山客たちの姿も多い。とにかく坂が多いので徒歩のみでの移動は健脚向けだ。
愛の小道
しかし、「愛の小道」だけは歩いておくべきだろう。「愛の小道」は、リオマッジョーレからマナローラまでの約1kmをつないでいる。
イタリアといえばアモーレ「愛」。坂道や階段が当たり前のチンクエ・テッレの中で、平坦で比較的歩きやすいのと、海岸の崖沿いに作られているために景観が素晴らしいことから大人気のコースだ。
もともと、地元の恋人たちのデートコースだったといわれ、遊歩道の途中には「愛を語らうためのベンチ」や「カフェ」も完備。30分ほどで歩ききってしまえる距離だが、途中で景色に見惚れ、休憩して喉を潤し、愛も語る余裕を持って歩きたいものだ。
街の中心コロンボ通り
レストラン、カフェ、バーなどの飲食店、お土産屋さんや特産の果物屋などが立ち並ぶ通り。数百メートルの短いものだが、必要なものはなんでもそろう。
通りから店を覗けば陽気な店番さんに声をかけられ、食事をしていれば、通りかかった住民に「おいしいか?」と声をかけられるだろう。
サン・ジョバンニ・バティスタ教区教会
1340年建築のゴシック様式の教会。丘をせっせと登っていくと住宅地の向こうに見えてくる。
砂岩の灰色を貴重としたシンプルな教会だが、内部は深みのある色調が用いられていて落ち着いた雰囲気だ。見学は自由。
リオマッジョーレにはほかにも、16世紀に建てられたという小さな礼拝堂や、15、16世紀ころの城跡もあり、ハイキング気分が盛り上がれば歩いて登っていってみよう。
海水浴とダイビング
鉄道でも船でもリオマッジョーレの最初の進入口は海側。集落の中心へと向かうなら、リフトかトンネル、坂道や階段を使ってせっせと登っていくことになる。
しかし、坂は上るだけでなく下ることもできる。美しい海は見るためだけにあるわけではない。
岩場が多く砂浜のビーチはほとんどないものの、住民や一部の観光客たちは敷物とピザとビールやワインを用意して、海べりの岩場でのんびりと日光浴を楽しむ。暑くなったら、そこからジャボンと海へ飛び込めばいい。
そして意外に知られていないが、チンクエ・テッレ沿岸の海は透明度の高さからダイビングスポットともしても有名なのだ。観光客のほとんどは世界遺産となったこの街の風景を堪能して満足するが、イタリア人たちは山へ登り、海に潜ってその自然をしっかりと体感している。
チンクエ・テッレカード
チンクエ・テッレ内で便利な「チンクエ・テッレカード」は、電車でも観光施設でも使える便利な存在。
1日券から7日券まであり、電車・バスはもちろん、「愛の小道」やハイキングコースの入場料も含まれている。年齢ごとに料金設定があり、家族割引カードもある。
チンクエ・テッレ近辺の駅で購入可能だ。
散策でチェック「カラフルハウス」と「壁画アート」
リオマッジョーレの街歩きで楽しいのは、その建物のカラフルさとあちこちの壁に描かれたアート。
ピンクや緑、水色など、パステル調の家々は、漁師たちが港へ向かって帰ってくる時に自分の家がどこかすぐ分かるように塗り分けたといわれている。
近くで見ると塗装も剥がれて雑な作りの建物が多いが、少し離れた位置から見ると、猫の額のような窮屈な場所にカラフルなビルがギュっと身を寄せ合う姿はかわいらしい。
また、町おこしの一環か、街の至る所で壁アートを見かける。トンネル内の壁、カフェの壁や駅近くの壁にも、本格的な壁画が登場している。有名人によるものではないらしく、特別な案内はないが、どれも見ごたえある作品ばかりだ。
最後に
世界遺産となったことで、観光客は多く訪れるようになったものの、集落の間をぶらぶらと歩いていると、観光が産業として十分に街を活性化させるには至っていない様子も見えてくる。
立ち崩れていくばかりの空き家や、立ち枯れに近い姿のブドウ畑などもある。美しい景観だけでは食べていけないこの小さなコミュニティの過疎問題は、日本の各地で起きている現象と同じなのかもしれない。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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