トランシルヴァニアの要塞教会の村落を観光した感想、教会巡りをしてみた感想とか

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分厚い防壁で守られた村と籠城に備えた教会~トランシルヴァニアの要塞教会の村落(Villages with fortified churches in Transylvania)/ルーマニア・トランシルヴァニア

ラテン語で「森のずっとむこう」を意味するという「トランシルヴァニア」。書物や映画の影響で、「吸血鬼ドラキュラ」ゆかりの地としての名ばかりが知られているが、多くの世界遺産を持つ歴史と文化の色濃い地域だ。

トランシルヴァニアとは

歴史によってその境界線を変えてきたトランシルヴァニアは、もちろん地図上の境界線はあっても、今もその地域名がどこからどこまでを示しているかを明言するのは難しい。

13世紀にドイツ系の入植者によって作られた村がトランシルヴァニアの始まりで、農業にも工業資産にも恵まれた豊かな土地だったこの地方は入植者によって開発され、そして、それを妬んだ周辺の遊牧民族たちに常に狙われていた。

さらにはその後、アジア側から押し寄せてくるオスマントルコの軍勢とそれを押しとどめようとするヨーロッパ勢とがぶつかり合う地点ともなった。トランシルヴァニアには、ドラキュラのように徹底的に抗戦した者もいたが、それぞれの村や街は徹底した「守り」を固めることで抵抗したのだ。

要塞教会の誕生

植民者たちによる新しい村は、ヨーロッパや世界各地の入植地と同様、宗教と教会を中心によりどころとして発展していった。

そして、村は遊牧民族の攻撃から村と村人と村の財産を守るため、村そのものを要塞へと徐々に作り変えていったのだ。さらに、中心となる教会はいざという時に籠城できるよう生活物資を備蓄し、村人を収容できる構造になっていた。

日本の城下町で見られるように、町が敵に攻められた時には、城内に閉てこんで、略奪や殺戮といった嵐が去るのを待っていたわけだ。

このような要塞教会は、17世紀初めまではトランシルヴァニア地域に大小合わせて600か所以上あったとされる。しかし、その後の革命の影響で半数以上が破壊され、また形が残った多くも自然な風化によって崩れるままに放置されてきた。

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世界遺産「トランシルヴァニアの要塞教会の村落」

1999年に6村落まとめて世界遺産として登録されたのが「トランシルヴァニアの要塞教会の村落」。トランシルヴァニア全体に散らばって残っている要塞教会とその周囲の村の中でも、中世前後のおもむきを持つ保存状態が比較的良いもの、そして大型なものが選ばれているようだ。

実際には1993年にビエルタンの要塞聖堂だけが世界遺産に登録されたのだが、国の安定によって地方にまで目と金が回るようになり、修復が進んだのだろう。登録箇所を拡大する形となっている。

日本の山間にあるどうしようもなく過疎化が進んでいるような田舎の村と変わりない規模の村落が、地味ながら強固な石作りの聖堂とともにやはり頑丈な防壁を巡らせている様子は、一見過剰防衛のようだが、入植以来常に外敵に脅かされてきた彼らにはそれだけの必要性があったのだろう。

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ビエルタンの要塞教会

トランシルヴァニアのシビウ北部にあるビエルタンは、ローマ帝国の影響も及んでいた地域であり、ドイツ系入植者の初期の入植地でもある。

そのため、ビエルタンはただの村落ではなく都市的な機能を持つ大きな町へと発展していった。

12世紀には最初の聖堂が建設され、その周囲に防壁が造られた。現存している聖堂は15世紀のものだが、周囲を囲む3重の防壁は12世紀からのものも残っている。

要塞そのものの保存状態の良さと、周囲にも観光資源となる建物があることなどから、要塞教会めぐりの中心地となっている。

ドイツ系の植民者たちが手に高度な職を持っていたことを証明するような「鎖の鍵」や「大きなシャンデリア」、「ゴシック式聖壇タペストリー」などがみどころ。

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プレジュメル要塞教会

プレジュメルの要塞教会はキレイに修復され、遠目にも白さの目立つ建物となっている。要塞を取り囲む防壁は厚さが3~4m、高さは12mという大きさ。トランシルヴァニア地域でも美しさと重厚さを合わせ持つ要塞教会だ。

内部には、聖堂以外に、数百人の村民が暮らすことができる集合住宅とその生活物資を蓄える倉庫、学校などの施設が整備されていて、要塞の中は一つのコミュニティとなっていたのが分かる。

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ヴィスクリ要塞教会

厚さ9mという門の重たい扉を抜けたところにあるヴィスクリの要塞教会は、広いホールのような形をしていて、逃げ込んだ村人を匿うことができるようになっている。教会周囲にも住宅や倉庫が立ち並び、村民を2か月は養うことができるよう、常に備蓄が整えられていたという。

教会そのものは小さくかわいらしい姿だが、内部は白い壁と天井にロマネスク様式のアーチを持ち、芸術的にも素晴らしい彫刻や聖壇といった見どころも残されている。

建築当時の建物や芸術作品が残されているほか、地道ながら、各所の修復作業が続けられていて、観光に力を入れていることが分かる。

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クルニク要塞教会

クルニクの要塞もまた、壁で囲まれた中で多くの村人が暮らせるように設えられている。しかし、ここでは質実や強固さだけでなく、ある程度のゆとりも見られるのが特徴だ。

それは、壁で囲まれた内部が広く感じられることからくる錯覚かもしれないが、現在の要塞内には、文化的な中心となるホールや展示室などが設けられ、定期的にコンサートや展覧会などが行われている。

11世紀前後に建てられ、徐々に要塞として建て増しされていったクルニク要塞教会は、現代の修復を終えて、新たな息を吹き込まれているように見える。

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ダルジュ要塞教会

13世紀から18世紀の長い年月の中で、さまざまな様式の建造物を建てて加えていった要塞。それぞれの時代の流行がそのまま残されていて、ちょっとした建造物博物館のようだ。

必要以上に高い防壁に囲まれていなければ、田舎ののどかで古いお城のような雰囲気を持っている。

現代に入って大きく修復された部分がないため、古めかしさがいい味となっている。

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サスキズ要塞教会

サスキズの防壁は厚いところで11mを超え、高さは10m近いという。石でしっかりと組まれたその壁は、確かにそう簡単には打ち破ることができかっただろう。さらに、周囲には見張り塔が立てられて鐘を置き、敵の侵入の音・結婚式の音・葬式の音などと使い分けていたという。

この要塞の特徴は村と教会が離れた位置に立っているところにある。要塞教会は村近郊の小高い丘の上にあり、いざという時に村人が逃げ込む避難所的な役割を果たしていた。

この地域は中世以前にも町があり、古代から近世へと続く多くの遺物が発掘されている。残念ながら、それらの文化財のほとんどはシギショアラの歴史博物館まで行かないと見ることができない。

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ヴァレア・ヴィイロル要塞教会

古さを感じさせる大きな要塞は13世紀以降に建てられたものだ。防壁や見張り塔は15~16世紀に建て増されたものだという。

ほかの要塞同様に、外に対する警戒と内に籠るための備えは整えられているものの、必死さはあまり伝わってこない。それはこの村が比較的裕福だったことにも関係があるのかもしれない。

教会は聖ペテロを祀ったもので、地味な外観とは違った美しくも優しい色と雰囲気を持つ内部を持っている。また、要塞内には、当時の生活道具や家具などの展示もあり、それらは決して華美ではなくどちらかといえば質素だが、人々が味わいのある生活を送っていただろうことが想像できる。

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最後に

ヨーロッパとアジアに挟まれて戦った歴史を物語る世界遺産「要塞教会群」、世界に取り残されたかのような「農村」、手つかずの「自然」は、不思議なほど日本人にとって心のどこかが痛くなるような懐かしさを持っている。

堀があり、分厚い防壁があり、見張り塔があり、天守閣があり、生活の場と大きな倉庫に祈りの場もある。まったく日本の城下町そのものだ。

出来上がった姿のその色合いや形は違っていても、必要とされた守りのための機能は同じだったのだとこの遠く離れた地で感じさせられる。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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