ナポリ・ポンペイ遺跡を歩き旅してみた

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Pompeii

2000年の時を超えて現れた奇跡の街~ポンペイ/イタリア・ナポリ

火山の噴火によって街が丸ごと埋まってしまった地として知られる「ポンペイ」。

遺跡として発掘されたそこを訪れると、夫婦が、恋人同士が、親子が、商才に長けた人々が、奴隷が、動物たちが暮らす活気あふれた都市だったことが分かる。

数メートルの灰に覆われていた2000年前の暮らしと、「その日」のドラマを見に訪れたい。

ポンペイはいつどこに?

紀元前1000年頃には既に人が暮らしていたポンペイ。都市としての「ポンペイ」も紀元前6世紀には建設されていたとされる。

ナポリからほど近くに位置するポンペイは、多くの地中海沿岸地域同様、紀元前後にはローマの影響を強く受けるようになり、地中海貿易の拠点の一つとして栄えていた。

2000年前のポンペイの姿は?

計画的に整備された路、それに沿って建てられた家々や商店のほか、風呂、スポーツ施設、劇場などの公共娯楽施設が軒を連ねていたほか、商人の出入りが多いこともあり、市場が発達し、ホテルやバー、そして娼館などもあった。

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ポンペイと周辺地域を呑み込んだヴェスヴィオ火山

Vesuvius

ヴェスヴィオ山は、ヘラクレスによって創造されたとして信仰の対象にもなっていたという。火山活動が休息期だった紀元前後は、山の斜面はブドウ棚で埋まり、ワインの鋳造が主要産業の一つとなっていた。

激しい火山活動を繰り返していることは歴史上記録が残されていて、地震や噴火によって周辺地域は何度も被害を受け、その都度復興してきた。

ポンペイのXデー

紀元62年に起きた大地震の復興作業が進んでいたポンペイに、その日は突然やってきた。

79年8月24日昼過ぎ、大規模な水蒸気爆発を起こしたヴェスヴィオ山は、1時間に15センチ以上という軽石の雨を降らせ、街のあちこちでは屋根が落ち、建物が崩れるなどの被害があった。

その後、小規模な火砕流が起き、人々は先を争って逃げ出していった。しかし、翌朝に起きた大規模な火砕流は、街を逃げ遅れた人々ごと丸呑みしてしまったのだ。

密封保存されたポンペイ遺跡

早朝に襲った超高温超高速の火砕流に一瞬にして飲み込まれたため、2000年前の街はそのままの形や色で封印される結果となった。

火砕流によって、木や生物などは一瞬で燃えつきたが、石や土などは一部の隙もなく細かい土砂で密封された状態となり、18世紀に本格的な発掘作業が始まるまで密封保存されたのだ。

ポンペイ遺跡の入り口「マリーナ門」

MarinaGate

街そのものとその周辺地域の全てが遺跡だが、その一部が有料の観光施設として整備されている。

最寄りの「ポンペイ・スカ―ヴィ駅」から歩いてすぐのところに、チケット売り場がある。入り口のゲートを抜ければ、そこは「マリーナ門」だ。

ポンペイを囲む城壁の海側の門。当時は海から500m程度の距離だった。歩行者用と荷車用に分けられた2つのアーチが残っている。

ポンペイ中心「ファロ広場」

Faro2

門を入ってすぐに大きな柱が連立する広場「ファロ」に出る。この高い柱も発掘前は灰に完全に埋もれていた。

バシリカ、議会や行政のための建造物、神殿、市場、浴場などが立ち並ぶ、ポンペイ随一の中心地であり、現在も観光の中心となっている。

街の通りを歩きながら

ポンペイ市内の道路は、平らな石でキレイに「舗装」されている。その上、車道と歩道が分けられ、横断歩道まで設置されている。

特に横断歩道は、規定外の車輪を持つ馬車止めの役割とスピードの出し過ぎを防ぐ役割も果たすため、道路にボコっと飛び出す飛び石タイプ。

文字や絵ではなく、半強制的な当時の交通ルールの守らせ方に興味しんしんだ。

大体育場と円形闘技場(コロッセオ)

Colosseum

ポンペイで発掘された運動場は周囲を壁で囲み、プールや公衆トイレまで備えた本格的なもの。

当時のローマの影響を受けた都市では、青年たちの鍛錬の場として「体育場」が多く造られていた。シンプルな構造だけに現存しているものが少ないが、ここポンペイではほぼ完全な姿で発掘されている。

隣接する円形闘技場は、当時の市民たちの娯楽でもあった奴隷や捕虜たちによる戦いを鑑賞するほか、演劇などにも使われた。

各地にコロッセオは残っているが、それらの廃墟に近い状態と比べて、ここの保存状態はかなり良い。グラディエーターたちが戦ったアリーナも観客席も、実際に歩き座ることができる。

「避難者の庭」と石膏で固められた人型

hito

ポンペイで逃げ遅れた人々のほとんどは一瞬で火砕流に巻き込また。そして、埋もれた人々の体は1700年の間に朽ち果て、堆積物の中に空洞だけが残った。

発掘の最中、あまりに多くの不思議な形の空洞が現れることから、石膏を流し込んで固めてから周囲の堆積物を取り除くと、人型が現れた。

「避難所の庭」と呼ばれる場所は、3家族が避難途中で火砕流に襲われた現場。倒れこむ親子、それを助けるかのように体を起こす男性。その瞬間の生々しい様子を目にするのはつらい。

このほかにも、手をつなぐ男女や、もがき苦しむ飼い犬などの空洞が各地で発見され石膏で固められ、瞬間の様子を伝えている。

秘儀荘

当時の南イタリアで流行していた「ディオニュソス秘教」の儀式のための巨大な館。

秘儀荘の壁には、秘教入信のための儀式の様子が、「ポンペイの赤」と呼ばれる濃紅色を多用して描かれている。ポンペイでは多くの壁画が残されているが、ここの壁画は保存状態も神秘性も魅力もトップクラスであり見逃せない。

その壁画は、当時の多神教が認められていたポンペイにとっては異教の一つに過ぎず、現代人の目には神秘的に映るばかりだが、この秘教が現存していないという事実から、後のキリスト教によって淘汰・破壊されたのだろうと考えられている。

ポンペイでは灰に埋もれたからこそ、そのまま残ることになったのだ。

ポンペイ娼館

brothel

世界最古の職業である娼婦は、このポンペイにもかなりの数がいたようだ。それは、路を歩いていて見かける「男性のシンボル」が掘られた石畳や石像から知ることができる。なんとこれらは、看板代わりであるだけでなく、道しるべにもなっていたという。

個人または少人数の娼館もあれば、大規模なものもあった。その中の一つが、「ポンペイ娼館」として開放されている。

言葉が通じなくても営業が行いやすいよう、受けられるサービス内容が壁画として描かれている。当時のセックス産業の工夫と奥深さに思わず感心してしまう。

Faro

「猛犬注意」と「熊注意」

「猛犬注意」のモザイクは、「悲劇詩人の家」で見ることができる。当時のポンペイではよく見かけたモザイクだったらしい。

お土産としてのミニチュアレプリカが人気で、ヨーロッパの都市部では、玄関先にかかっているのを見かける。

日本の「熊注意」よりも実用的かも?

発掘品の数々と保存状態

壁画などの取り外しが不可能なものは、ほとんどがそのままの場所に残されている。

石像やモザイクなど移動可能なものは、ナポリ国立考古学博物館に収蔵されている場合が多く、現地には精巧なレプリカが置かれている。

ポンペイ遺跡の保存状態は、発掘された段階では奇跡だといわれた。しかし、それは灰の中に埋もれていたからこそであり、掘り返して外気に触れたその瞬間から止まっていた針はハイスピードで時を刻み始めてしまった。

そのため、現在のポンペイでは、建物の倒壊や壁画などの色落ちが指摘されている。

最後に

発見されたばかりに、風化が進んでいる「ポンペイの奇跡」。

ポンペイとその周辺の世界遺産地域は、約7~8割が発掘済みだが、現在は中止されて、現状保存へと目が向けられているという。

発掘によって発見された数々の奇跡を目の当たりにしているだけに、残る遺物たちへの好奇心を抑えるのは難しい。しかし、2000年分の風化を留める方法が見つかるまでは仕方ないのかもしれない。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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