緑の風が吹くニューヨークのとっておき~セントラル・パーク/アメリカ・ニューヨーク
ニョキニョキと高層ビルが生え、中小ハウスがぎっしり道の両側を埋め、その道には車、歩道は人種のるつぼ。そんなアメリカ・ニューヨークのど真ん中にぽっかりと緑の空間が残されている。それが、「セントラル・パーク」だ。
大都会ニューヨークで働く人、暮らす人、旅をする人、誰もが都会の喧噪から離れて、緑の風で一息つきに訪れる。
南北4km東西0.8kmの巨大な長方形の公園内とその周囲にある見どころ遊びどころをご紹介しよう。
セントラル・パークは自然? 人工?
公園内には段差があり大きな池があり林もある。まるで、自然そのままの森や林や草地のような感覚だ。
しかし、セントラル・パークは自然の地形を生かして人工的に計算しつくして造られた公園である。見た目を重視して設計されたアメリカ最初の都市公園であり、その姿は、パリのブローニュの森やロンドンのハイドパークといった歴史ある公園にも劣らない。
1876年に現在に近い形に整備されたセントラル・パークは、その後150年近くを人々や渡り鳥、そしてリスたちの憩いの場として経てきた結果、人工的でありながら、一つの自然な形として定着したのだ。
何ができる? よりも何ができない? と聞きたい
セントラル・パークは世界一の広さを誇るわけでも、世界一の設備を誇るわけでもない。しかし、訪れた人が楽しみたいと考えるほとんどを叶えてくれる夢のような場所なのだ。
普通の公園として散歩や日向ぼっこを楽しめるのはもちろんで、朝から夕方まで、多くのニューヨーカーや観光客が自然な色と空気を味わっている。
散歩道やジョギングトラックだけでなく、乗馬道が整備されている点は日本の公園との大きな相違点だろう。ベビーカーや車いすがゆっくりと散歩をする道、ハイスピードのジョガーやサイクリング隊が疾走していく道、そして馬たちがギャロップしていく道が互いに干渉しないように設置されている。
芝生エリア、池や湖などの水エリア、温室、ステージなど、多くの公園で見かける施設に加え、アイススケートリンク、お城、カルーセル、彫刻エリア、ふれあい動物園などもあり、1日いても飽きないどころか、毎日通っても飽きることのない充実度が自慢だ。
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園内の設備~公園として
公園感覚を満喫するには、「エサ」の持ち込みが欠かせない。公園内では鳩やリス、そして池には渡り鳥たちがエサを待っている。
公園内を流れる川ではカヤック、池ではボートのレンタルが可能なほか、ベネチア風のゴンドラに体験乗船できる時期もあって、ニューヨークのそれもセントラル・パークにいることを忘れてしまいそうだ。
冬にはアイススケートリンクがオープンし、雪が降れば、そこかしこの丘がソリゲレンデに早変わり。スノーシューハイクも楽しめる。
自分の足で歩く以外の手段として、自転車・馬などの貸し出しもあり、レッスンを受けるという選択肢もある。
園内の設備~テーマパークとして
冬のスケートリンクは、夏にはミニ遊園地に変身する。ミニとはいってもアメリカのこと。それなりのアトラクションが揃っていて、大人も十分楽しめる内容になっている。
「カルーセル(メリーゴーランド)も」すぐ近くにあり、いつも行列ができている人気アトラクションだ。このカルーセル、公園オープン当初は、実際に馬が歩いて回ってくれていたという。残念ながら、今は人形。
「ベセスダ噴水」は大道芸人が集まるポイント。彼らはもちろんお金を稼ぐことを目的の一つとしているが、何より自分も観客も楽しむことに一生懸命。見ているだけでなく、巻き込まれて楽しむところに意味がありそうだ。
「ベルベドーレ城」は、セントラル・パークが造成された頃に建てられた小さなお城。アメリカにはヨーロッパのような歴史を持つ城こそないが、それを模倣して建てられた城は各地にたくさんある。しかしその多くは個人所有で内部に入ることはできない。ベルベドール城は城内部も塔の上にも登ることができる、貴重なアメリカの城だ。
園内の設備~屋外博物館として
公園施設や設備の中には、記念碑や屋外劇場もある。一つや二つじゃないところがさすがのセントラル・パークだ。
絶対に見逃せないのが、「ストロベリーフィールズ」。ジョン・レノンの死後に作られた、ビートルズのヒット曲の名を持つメモリアルだ。セントラル・パークのすぐ西側にあるダコタハウス前で殺害されたジョン・レノンのメッセージともいえる「IMAGINE」の文字が、円形のモザイク碑の中央にかきこまれている。絶えず花が捧げられている場所でもある。
同じく人気なのが、「不思議の国のアリス」の像。物語の登場人物や動物たちではあるが、大きなキノコの上に座るアリスと時計ウサギ、マッドハッタ―らは、写真を撮る隙がないほどの人気ぶりで、子供たちのジャングルジム替わりになっている。
他にも、童話作家のアンデルセン、大航海時代のコロンブス、南北戦争の北部軍将軍のウィリアム・シャーマンらの像もあり、待ち合わせや目印に利用されているほか、映画やドラマの撮影でも頻繁に使われるスポットとなっている。
園外の設備~各種博物館の中庭として
セントラル・パークの周囲には、まるでセントラル・パークを借景としているのか、中庭として位置付けているのかといった感じに博物館や美術館が立っている。
その一つ「メトロポリタン美術館」は世界を代表する美術館であり5本の指に入る存在だ。
巨大な柱と重たい石作りの建物の中には、紀元前後合わせて5,000年に及ぶ歴史の中から集められた美術品・工芸品を所蔵している。その総点数300万を超えるといわれ、13万平方メートルの敷地の200を超えるギャラリーを持ってしてもその4分の1さえ展示できていないという。
メトロポリタン美術館に比べると知名度は落ちるが、その内容は負けないのが「アメリカ自然史博物館」だ。地球を対象とする博物館は最先端の技術を駆使した展示やショーが見もの。観光客以上に地元ニューヨーカーたちに大人気で、いつも混雑している。
公園内ガイドツアー
公園内にはいくつかの案内所があり、ガイドツアーも行われている。巨大な公園だからこそのアトラクションだ。
おすすめの一つは「バイクツアー」。自転車をレンタルし、ガイドを含めたグループでサイクリングを楽しみながら、公園内の見どころを回っていく。
馬車でのツアーは、御者にお任せのガイドツアーにすることも、行きたいところへと案内してもらうタクシー代わりにも使える。
セントラル・パークのグルメ
忘れてはいけないのが、セントラル・パーク内での食事。公園外から持ち込むことも可能だが、園内には小さなキオスクやフードカートがたくさん店を出している。アメリカらしい大きくシンプルなホットドッグやサンドイッチ、ポップコーンやプレッツェルなどで軽い飢えをおさめることができる。
「ローブ・ボート・ハウス」は、湖のほとりに建てられた高級レストラン。ニューヨーカーたちのちょっぴりリッチでロマンチックなデートコースとして、また結婚式にも使われることの多いロケーションとなっている。
もう一軒のレストランは「タバーン・オン・ザ・グリーン」で、最高級レベルの食事を味わえる。総ガラス張りのクリスタルルームでは、パーティーやリサイタルが開かれることも多い。
最後に
まだまだ見どころいっぱいのセントラル・パーク。紹介しきれないアトラクションがたくさんある。
旅行者として訪れる場合には、公園に何日も割くのは難しいかもしれない。しかし、もしニューヨークにしばらく滞在することができるなら、是非一度といわず何度も足を運び、ニューヨーカーたちが愛するセントラル・パークをいろいろな角度から楽しんでみたい。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。