プラスチック・ディストピアで始まる4R活動

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ユートピアの反意語である「ディストピア」。反理想郷を意味する不名誉な名をいただく都市が、アジアには複数あります。今回ご紹介するカンボジアのシハヌークビルもその一つです。

プラスチック・ディストピアで始まっている4R活動は、アジアを、世界を、海を、地球を救うことができるでしょうか?

使用中は街に、使用後は海に

世界で排出されるプラスチックごみのうち約90%は海へと流出しているといいます。さらには、その大半がアジアから出たごみ。町や村で使われ捨てられたプラスチックごみが川を経由して流れてくるのです。

私たちの生活はプラスチックであふれています。スーパーやコンビニへ買い物に行き、プラスチック製品ゼロで会計を済ませることが難しいほど。また、身の回りにプラスチック製品ゼロ生活もほぼ不可能に近いでしょう。それくらいプラスチックは私たちの生活に浸透しています。

ところが、プラスチックは製造・使用における汎用性が非常に高く使い勝手が良いという長所を持つ一方で、基本的に有害物質であり、使用後の始末が大変だという短所もあわせもちます。きっちりとした収集・リサイクルが行われない限り、プラスチックはプラスチックのままで存在し続けます。

このように、使用中のプラスチックは人のいる街で生まれて使用され、その後は彷徨うごみとして人のいない海に流れ着いているのです。

プラスチック・ディストピア「シハヌークビル」

今回、プラスチック・ディストピアの例としてあげるカンボジアのシハヌークビルは、カンボジア南部の港湾都市で、近年はカジノのあるリゾートとして観光地化が進み、観光客と労働者の流入もあり、急激な発展が続きました。その後、カジノバブルがはじけたこともあり、急発達途上の状態が長く続いている都市といえます。

シハヌークビルは、カンボジア国内でトップクラスではないものの、それなりの都市といった位置づけです。人口は多く、消費も活発。ところが、ごみの収集を含めた公共サービスの構築はそれに追いついていません。集めきれず、処理しきれないごみは街に散乱し、川に流れ込み、海へと流出しているのです。

プラスチック・ディストピアの現状

たった20年ほどの間に急成長を遂げた都市では、プラスチックの使用も同じ時期に始まり、その有害性やリサイクルの必要性などを知る間もなく、生活の中に浸透させていきました。

ごみ収集車・収集人の不足、大規模なごみ焼却場の不足、リサイクル施設の不足。すべてが不足する中、プラスチックの使用量はどんどん増えていきます。街の中には、プラスチックごみの山ができているのが当たり前。邪魔になれば近くの川に蹴り込むこともあり、時には道端でそのまま有害ガスを吐き出しながら燃やされることもあります。

発展途上にある地域では、今の生活、今の発展に注目しがちで、プラスチックごみが起こすさまざまな問題、海洋汚染などにさほど関心が向けられません。その間にもごみは排出され、汚染は続いていきます。そして、汚染される海は世界とつながっています。

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魚よりプラスチックごみのほうが多い海?

2019年に大阪で行われたサミットでは深刻なプラスチックごみによる環境汚染について論議され、「2050年までに海洋プラスチックによる新たな汚染をゼロにすること」を目標とする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意にいたっています。

途上国の現状を把握した上で課題を一つ一つ解決していく必要があること。その解決には、途上国自身の努力だけでなく世界の強力が必要であること。このままでは、今後30年以内に海は魚よりプラスチックが多くなってしまう危険があること。

これらの現実と課題、研究報告をもとに、世界の海に大量のプラスチックごみを流出させているエリアへの積極的な働きかけがスタートしました。

カンボジアで始まった4R活動

4Rは、「Refuse・Reduce・Reuse・Recycle」の頭文字から取られています。よく知られる3RにRefuseを加えた4Rは、使用の拒否・使用料の削減・再使用・再生利用の4点に絞り込んだもので、大量消費が当たり前のシステムを、環境にやさしい循環型システムへと転換させようという活動のスタートです。

カンボジアではまず、国の政策としてのごみ対策が発動しました。そのうえで、長期的視野をみすえ、次代を担う若者の教育を通じてごみ啓もう活動を進めています。また、具体的なシステム導入やネットワークの構築には自国だけではなく、世界規模のサポートが必要であるとして、世界銀行、多国籍民間企業・NGOなどとの提携や協力も積極的に進めています。

日本もまた、関係の深いカンボジア各地で、公民両面からのサポートが活発に行われています。

地域の若者を通じた啓もう活動

海外ボランティアとして現地入りしたある環境教育の専門家は、高校や大学で、日本の環境問題の歴史や現状、そして取り組み内容を紹介することで、自国のごみ問題を直視することの大切さを伝えました。

リサイクルボックスの設置と分別教育では、そこから得られる資源ごみの売り上げによって、ごみが資源であることを知るきっかけを作っていきました。

環境を守るためのごみ拾いや分別収集が、美化だけでなく収入にもつながると知った若者たちの行動は、新たなリサイクルボックスの製作・設置へとつながり、目に見えるこれらの行動は、大人たちへも影響を与えていくと期待されています。

悪循環から好循環へ

●悪循環
プラスチックは安くて使いやすいからたくさん使う
たくさん使うからたくさんごみが出る
ごみ箱がないからポイと捨てる

そんな悪循環が当たり前だった街でも、ごみ箱を設置するだけで、ポイ捨てが減るといいます。また、プラスチック袋の有料化を導入したことで、流通量が半数になったという報告もあります。さらには、分別して集めることで、現金になったりポイントがたまったりと自分に直接的な利益があることは、プラスチック量の減少にはつながらなくとも、プラスチックごみの減量にはつながっていき、好循環を生み出す助けになるでしょう。

●好循環
プラスチック袋は有料だから、マイバッグを使う
分別すればお金になるから分別する
ごみ箱があるからごみ箱に捨てる

まとめとして

急激な発展を見せるカンボジア。その発展の裏では、街にプラスチックごみの山ができ、有名観光地の遺跡にごみが転がり、遊覧を楽しめる大河川にも、リゾート気分を盛り上げるはずのビーチにもプカプカとプラスチックが漂う、そんなごみ環境問題が起きています。

同じような問題は、アジア各地やアフリカや南米の一部などでも起きています。その多くは環境問題よりも経済発展を優先したい途上国。発展の途を先に進み、環境破壊の危険を知る日本をはじめとした各国は、自分たちが犯してきた失敗をいかすチャンスでしょう。積極的に協力活動を行っていくことが、自分たちを含む世界・地球の環境保護へとつながっていきます。

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