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修復されず苔と木々に埋もれたままのジャングル遺跡~ベンメリア遺跡/カンボジア
カンボジアを代表する遺跡である「アンコール・ワット」に先行して建造されたといわれているヒンドゥー寺院。
周囲のジャングルにほとんど飲み込まれた状態で発見されたものの、その後の戦乱と戦後の地雷処理の遅れから、現在も修復はほとんどされていない、手つかずの遺跡だ。
ベンメリア遺跡とは
アンコール・ワットの東40キロに地点に位置するアンコール・ワットによく似た構造を持つ寺院遺跡。ほとんど修復の手がつけられていないのが長所であり短所でもある。
ほとんどの建造物が崩壊しているが、アンコール・ワットのように上下左右に広がった建物の集まりではなく、平面上に三重の回廊を持ち、要所に複数の施設が設置されている。規模は若干小ぶりだと考えられている。
建造物の配置や刻まれた装飾様式など、類似点の多さから東のアンコール・ワットとも呼ばれている。
アンコール・ワットのモデルとして
造営されたのは11世紀末から12世紀半ばと考えられていて、これはアンコール・ワットに100年ほど先駆けている。建築の命を下したのもアンコール・ワットと同じ王だろうといわれている。
アンコール・ワットは計画的に造営された大規模寺院であり、このベンメリアはアンコール・ワットを建てるにあたって実験的なモデル事業として建設された可能性もあるらしい。
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ベンメリアの名の由来
ベンメリアの「ベン」は池を、メリアは「花の束」を意味しているとされ、ベンメリアで花が咲き乱れる池を表現している。
ベンメリア遺跡周囲の環壕では、季節になると水連の花が咲き乱れるといい、往年は水連の花に囲まれた寺院だったのかもしれない。
しかし現在のベンメリアでは、崩れた石のブロックは苔に覆われ、残された柱は熱帯の木々に飲みこまれてしまっている。
ベンメリア遺跡の歩き方1:トレイルに沿って
ベンメリア遺跡内は、今世紀に入ってから観光客の受け入れを開始した。それに伴い、最低限の危険を取り除くための修復と、安全な見学路が設置された。
ほとんどの見学者は木の板で作られた階段や歩道を歩きながら、遺跡を「見学」していく。これがもっとも安全な方法である。
ベンメリア遺跡の歩き方2:フィールドアスレチック的に
ベンメリア遺跡は特に進入方法に制限があるわけではない。ただ、安全のためにトレイルを利用するようすすめているだけだ。
そのため、体力や運動神経、そして注意力や運にも自信があるならば、好きなように歩き回ることも許されている。
廃墟となった石の遺跡たちは、崩れ落ちた石のブロックに囲まれるようにして立っている。これは、いつか修復する時にその石がその建物のものが分かるよう、動かさないルールがあるためだ。
いくつかの建造物に近づくには、この乱雑に放置されたままの石ブロックによじ登り、またぎ、足場にしていく必要がある。
人が歩くことを想定したコースではないため、グラグラした岩も多く、安全性は保障されない。
ベンメリア遺跡の危険
ベンメリア遺跡自体が、その見学方法によっては危険な存在となる。先に述べたように、石ブロックが乱雑に放置され積み上げられているため、その上を歩けばいつ崩れ挟まれ下敷きになるか分からない。
また、トレイル沿いの内部見学可能な遺跡は、明らかに危険だと思われる個所だけが取り除かれ修復されている。しかし、それはあくまで最低限でしかない。常に崩壊の危険があることを認識しておこう。
さらに、ここはジャングルの真っただ中。蛇やサソリといった命に係わる毒を持つ生き物が多く生息していることも危険の一つ。
もう一つ、人間の落し物である「地雷」もまた大きな危険として残っている。
ベンメリア遺跡内は地雷撤去が終了している。しかし、一歩敷地から踏み出せば、そこは地雷エリアであることを忘れないように。
天空の城ラピュタ効果
ベンメリア遺跡は、アニメ映画「天空の城ラピュタ」のモデルとなったといわれている。
しかし、「天空の城ラピュタ」が公開されたのは1986年。ベンメリア遺跡は発見されたのが1990年代。さらに、2001年以前は一般非公開だった。
果たしてベンメリア遺跡が本当に「天空の城ラピュタ」のモデルとなったかどうかは不明だが、確かに似た部分はあり、ロケ地気分を味わえる。訪れた人がそれを感じ取って伝聞していった可能性も高そうだ。
現時点で、この遺跡を訪れる人の大半が日本人。これは間違いなく「天空の城ラピュタ」効果だろう。
ベンメリア遺跡内の見どころ
寺院は東を正面として建造されているが、多くの見学者は南からアプローチする。
参道を抜けた南門周辺には非常に保存状態のいい「ナーガ」と呼ばれる蛇神の像がいくつも残されている。遺跡の壊滅的な状態と比較して、細かい装飾まで残っている蛇神のパワーを感じずにはいられない。
回廊は3重に巡らされているが、外側の回廊はただの石ブロックの塊と化している。
十字型の中庭を持つ回廊部分は、苔むした石の壁に囲まれた空間として残されていて、ここで「天空の城ラピュタ」体験をする人が多い。
もっとも原型をとどめているとされるのが「図書室跡」。確かに壁や入り口、窓が残ってはいるが、天井は抜け、周囲にはやはり石ブロックが積み上げられている。
美しいレリーフたち
また、ベンメリア遺跡で姿を留めているものに、レリーフがある。
「ラーマーヤナ物語」、「インドラ神」、「シヴァ神」などをテーマとする装飾は、建造物そのものの破壊度合に比べて損傷が少なく、細かい細工や神々の表情まで観察することができる。
今後のベンメリア遺跡
ベンメリアは、現時点では「発見当時の姿をそのまま見せる遺跡」として一部が開放されている。遺跡は崩れたままでほとんど放置され、ジャングルが今にも遺跡もろとも飲みこもうとしているかのようだ。
しかし、非公開となっている部分の安全性の確保が進めば、徐々に修復が進むのではないかとも考えられている。
今は苔とガジュマルに埋もれているベンメリア遺跡だが、今後どんな発見があるか楽しみだ。
ベンメリア遺跡への行き方
プノンペンからベンメリア遺跡最寄りの街シェムリアップまではバスで6時間ほど。シェムリアップはアンコール・ワット観光の基地としても有名だ。
シェムリアップからは60キロほどの道のりとなる。車かトゥクトゥクをチャーターして1時間半から2時間。舗装されず、まったく道案内もなき田舎をレンタルバイクで自力で行くのはかなりキツイ。
遺跡の入場料を支払う入り口周辺には、飲み物やちょっとした民芸品を売る店があるが、水や軽食は自分で用意しておく方が無難だろう。
また、親切に腕を引いて案内しようとする人々はガイド。ついていけばチップを要求される。
最後に
ジャングルを切り開いてみたら、なんと遺跡が出てきた、そんな印象をそのまま残すベンメリア遺跡。修復されていないがために、探検家のような気持ちで、想像力をたくましく働かせながら、ワクワク見て回ることのできる遺跡だ。
ただし、観光施設としての設備は整っていないので、それなりの覚悟と準備をして臨もう。
いつの日か修復され、遺跡の全貌が明らかになった時にもう一度訪ねたい、そう思えるだろう。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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