広大な土地、寒冷な気候。シベリア鉄道にバイカル湖、ピロシキ、ボルシチ――世界一の面積を誇ることで有名なロシアという国に皆さんはどんなイメージを持っていますか?
『名前も位置も国旗も勿論知っているけれど、どんな国なのかあまりイメージがない』という方が多いのではないでしょうか。
これを読めば、きっとあなたの中のロシアのイメージが変わること間違いなし!?
おもちゃ箱から飛び出したようなメルヘンチックな建造物!
玉ねぎ型のドームに、細部まで隅々と細かなモザイクの装飾が施されたこの建物。
これが、ロシア西部の観光都市、サンクトペテルブルクにある『血の上の救世主教会』という、ロシア正教会の聖堂。
ロシア語では「Храм Спаса на Крови(スパース・ナ・クラヴィー教会)」と表されるこの聖堂ですが、その物騒な名前の響きとは裏腹に美しいこの外観は、きっと一度見聞きしたら忘れないはず……!
様々なニックネームを付けられた背景。本名とは?
1881年、ロマノフ朝皇帝アレクサンドル2世の暗殺がきっかけで、その弔意を表すため、1883年に皇帝が暗殺された場所に建立されたのがこの教会。
『血の上の救世主教会』というおどろおどろしいニックネームの由来もそこから来ているよう。
街を流れる美しいこのグリボエードフ運河。この運河のすぐ脇に、『血の上の救世主』は建っています。
この運河が、皇帝暗殺の事件現場だったのですね……。
そして時は流れてソビエト連邦時代――無神論を唄うその政権下では、ロシア帝国の国教であった正教は多数の教会や修道院の閉鎖、財産の没収という弾圧を受けることになります。
ロシア正教の聖堂であるこの建物も勿論例外ではなく、その弾圧を受け閉鎖させられてしまいます。
教会としての役目を果たさなくなったこの建物は、第二次世界大戦中には、なんと野菜を保管する倉庫として使用されたそう。
そのことから、人々はこの建物を『ジャガイモの上の教会』や『ジャガイモの救世主』などと揶揄するようになったのです。
さてさて、そんな様々なニックネームを付けられてきたこの聖堂の本名は『ハリストス復活大聖堂』。
イエス・キリストの復活を記憶する大聖堂であり、「ハリストス」というのは、正教会においてのキリストのことを指します。
外見だけじゃない!驚く程に綺羅びやかなその内装
入場チケットは、正面入口のすぐ隣にあるチケットカウンターで購入することが可能です
《入場料》
大人:250ルーブル
7〜15歳:50ルーブル
正面のこの広場はスリも多いことで有名なので、チケットを買う際はひときわ注意が必要。
それでは、いよいよ聖堂の中へ入ってみましょう!
柱、壁、天井、床……隙間なく所狭しと描かれたモザイク画の数々が、まず訪れた人々の度肝を抜くこと間違いなし。
青色を中心に使用された極彩色が彩るこの空間はまさに圧巻で、どこか異空間にでも迷い込んだかのような錯覚に、人々を引き込みます。
一番高いクーポラの部分には、全能者ハリストスのイコンが訪れた人々を見守ります。
主祭壇部分には、ロシア正教の建築物によく見られる聖所と至聖所を区切るための壁――イコノスタシスが置かれています。
当時のロシア屈指の芸術家達によって作られたこのイコノスタシスは、厳密なルールのもとに配置され、中央にハリストス、その脇にマリアとガブリエル。
そしてマルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの福音書記者が描かれているのだそう。
詳しいことはわからなくても、何はともあれ一見の価値は十分にあるこの聖堂。
外見も内装も期待を一切裏切らず、そしてロシアっぽさをふんだんに感じることができるこの『血の上の救世主教会』。
皆さんもこの教会を見学するために、是非サンクトペテルブルク……そしてロシアを訪れてみてはいかがでしょうか?
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これだけじゃない!ロシアのメルヘンチックな建造物の数々
勿論、美しい建造物は『血の上の救世主教会』だけではありません。
ロシアにはまだまだカラフルでメルヘンチックな建造物がたくさん!
『スモーリヌイ修道院』
淡い水色と白がなんとも可愛らしいこちらの建物は、サンクトペテルブルクにある、女子修道院。
『エルミタージュ美術館』
宮殿として使用されていたこともある、この豪華で鮮やかな建物は、世界三大美術館の一つとも言われ、尚且つ世界最大規模を誇るエルミタージュ美術館。
レオナルド・ダ・ヴィンチの聖母子画なども所蔵しており、美術ファンには垂涎ものであること間違いなし。
『クレムリン』
そして、ひときわ鮮やかさが目立つこの建物は、世界遺産にもなっている旧ロシア帝国の宮殿クレムリン。
玉ねぎ頭、カラフルな装飾……こちらもロシアらしさがいっぱいに詰まった建築物ですね。
広大な土地、寒冷な気候。シベリア鉄道にバイカル湖、ピロシキ、ボルシチ。
――そして、メルヘンチックな建築物、豪華絢爛な教会。透き通った青い空と極彩色のコントラスト。
この記事を読んで、ロシアのイメージは変わりましたか?
広いロシアには、まだまだ素敵な場所がたくさんあります。
皆さんも是非、自分の足で行って、自分の目にその景色を焼き付けて来てはいかがでしょうか。