はじめに
ミュージアムと名はついていても、その内容がグロテスクだったりアダルティだったりすると、入館できる人が限られてしまいます。子どもはもちろん、心臓の弱い人は要注意。
でも、このパート2に集めたミュージアムは変わりものとはいっても、思わず笑っちゃったり、あきれちゃったりするような変わりもの。主に食品に関するミュージアムを集めてみました。
食品に関しては、小さなメーカーから超大手メーカーまでが競ってミュージアムを作っているのでその数もかなりのものです。その中でも、行ってみたい、食べてみたいと思えるものをピックアップしています。
スパム博物館「SPAM Museum」~アメリカ・オースティン
日本では沖縄名物のような存在になっているスパム。その名称があまりに有名過ぎてメーカー名は逆に知られていません。ホーメル社は、アメリカのオースティン発祥の肉の缶詰会社で、スパム博物館の運営ももちろん同社が行っています。
この博物館の目的は「豚肉を心ゆくまで楽しむ」ことにあります。博物館内にはスパム缶でできたスパムの壁、スパムについて学ぶコーナー、スパムの製造過程を見学できるラインもあり、アメリカ文化の一つでもあるスパムをこってりと味わえる仕掛けになっています。
見学中、館内のあちこちの展示には真面目かつ脳内メモリーを最大限に活用して憶えておきましょう。なぜなら、最後のコーナーでスパムテストが行われていて、これが難しく、「たかがスパムのくせに!」と地団駄を踏みたくなること確実だからです。
キノコのミュージアム「Musee du Champignon」~フランス・ロワール渓谷
キノコって芸術的かも? そんな感想が湧いてきそうなミュージアム。山の斜面に掘った巨大な洞窟のような横穴で数百種のキノコが育てられています。シャンピニオン博物館とも呼ばれるだけあり、野生の珍しいキノコがたくさん展示されているのが、食通にはかなりの魅力だとか。
見て触ってその感触や香りを楽しめるほか、調理されたものを食べることもできます。普通の旅行者がわざわざ足を向けることはないかもしれません。コックさんかよほどの食いしん坊くらいでしょうか?
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キウイフルーツミュージアム「Kiwi360」~ニュージーランド
ニュージーランドにあるキウイテーマパーク「Kiwi360」は、キウイが好きでも特に興味がなくても普通に楽しめる行楽型農園です。
キウイ型のカートに乗り、巨大キウイの展望台に登り、キウイ自然製品のショッピングをし、もちろんキウイをたらふく食べられます。
キウイである必要性はあまり感じられませんが、ニュージーランドにはキウイしかないんだな…という感慨とキウイだけでよくぞここまでという感動は受けます。
塩胡椒入れミュージアム「Museum of Salt and Pepper Shakers」~アメリカ
塩コショウ入れを集めている人を個人的に知っています。あちこちへ出かけるとお土産として購入しているのを承知しているので、周りの友人知人も外出先で珍しいものを見かけるとついつい目で追い買ってプレゼントしたりもしているうちに、飾り棚が一杯に。
それのもっとはるか上を行く夫婦がアメリカにはいて、約2万セットの塩コショウ入れをコレクションし、博物館として運営しています。16世紀のアンティークものもあれば、蒐集品として正しい世界各地のお土産らしきペアーも勢ぞろい。
塩胡椒入れに限らず、何かをコツコツと集めている人ならきっとシンパシーをいっぱい感じてしまうミュージアムだと思います。
魔法ミュージアム「Museum of Witchcraft and Magic」~イギリス・コーンウェル
ハリー・ポッター博物館と勘違いする人も多いというこのミュージアムは、イギリスに実在していた魔女たちの歴史を紹介しています。
魔女といってもビビデバビデブーと星を降らせていたわけではなく、ハーブなどを使った「おばあちゃんの知恵」的な方法で病気などの治療を行ったり、おまじないをしたりしていたレベル。でも、医療も宗教も確立していなかった時期・地域の人たちにとっては、それがまさに「マジック」だったわけです。
ハリー・ポッターと直接関係はありませんが、世の中に魔法使い好きが増えたため、入館者が急増しているそうです。古い石づくりの家や魔女をかたどった飾りなどがかわいらしいものの、内側はキャッチーではなく真面目そのもの。流行に誘われて興味半分で訪れると逆にガッカリするかもしれませんが、ある意味本格的なので本当に魔女に興味を持っている人にはおすすめのミュージアムです。
トイレシート博物館「Toilet Seat Art Museum」~アメリカ・テキサス
アメリカにあるこのミュージアムはトイレシート、いわゆる便座カバーのデザインにこだわっています。
1000体を超えるトイレシートはどれもオーナーがデコったもので原則として非売品。個人の趣味と実益を兼ね備えた施設で、もともとは営業目的ではありません。地元の変わりもの有名店だったのですが、テレビなどで紹介されたため、全米はもちろん世界でも知名度がうなぎ上り。行っておくと話のタネにも自慢のタネ(?)にもなるかもしれません。
カウガールミュージアム「Cowgirl Museum and Hall of Fame」~アメリカ・テキサス
カウボーイミュージアムはきっとアメリカにはいくつもあるのでしょう。だからこそ、カウガールミュージアムは珍しいとして注目されているはず。
アメリカにあるのはニューヨークやロサンゼルスのような都会ばかりではありません。その大部分の地域は大草原や荒野といった田舎。そして、西部劇に出てくるようなカウボーイ&カウガールは今もちゃんと存在しています。
カウガールミュージアムは、そんなカウガールたちの歴史とファッションなどについて紹介するなかなかオシャレなミュージアムです。
バッドアートミュージアム「Museum of Bad Art」~アメリカ・ボストン
超有名ミュージアムがゴロゴロしているアメリカで異彩を放っているのがこのバッドアートばかりを集めたミュージアムです。
ゴミ捨て場で拾った一枚の絵がきっかけで、作者も作風もそして出来も問わない、それどころかバッドな(悪い)ものだけを集めることにしたという創設家はある意味先を見る目があったのでしょう。
どの絵もいい加減に描かれたものではありませんが、その出来はというと「??」。アート分野に疎い人間なら、これってひょっとしていわゆる「イっちゃった系のアート?」と思い込んで大枚を払う可能性もありそうな完成度があるのに、どこか間が抜けていたり、「おいおい」と突っ込みたくなる下手くそさがあったりといった共通点を持っています。
今ではいくつかの分室も持つようになり、あちこちから持ち込むアーティストもいるというバッドアートミュージアム。日々、「絵がうますぎるからダメ」と断るので忙しいのだとか。
まとめとして
有名飲料水や酒蔵、お菓子、ソース、瓶詰缶詰など、食べ物メーカーのミュージアムはたくさんありますが、超有名どころは外して、「え、こんなのも?」的なミュージアムにライトをあててみました。
また、そのほかのミュージアムも生活に密着したものばかりで、親近感が湧くミュージアムです。興味を持たずに訪れれば「つまらない」かもしれませんが、「どうして?」という疑問を持って臨めば、それなりのおもしろいものばかり。
これらのB級ミュージアムは、是非好奇心を丸裸にして訪れてください。