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霧の中に三仙人が座す仙境~三清山/中国・江西省
仙人が暮らすといわれる道教の聖地「三清山」。現地では「サンチンシャン」、日本語では「さんせいざん」と呼ぶ。
世界遺産に登録されて日が浅いことや、その立地条件の悪さ、公共交通手段の整備の遅れなどから、森閑とした空気を保っているといわれる中国では珍しい観光地だ。
訪れれば必ず、その仙境ぶり、奇岩をものに例える能力のすごさ、遊歩道の完成度に驚かされることだろう。
三清山はどこに
上海の南西480km、江西省上饒市からは約80km、玉山県からは約50kmに位置する、懐玉山脈の中の「玉京峰」、「玉虚峰」、「玉華峰」の三峰を「三清山」と呼ぶ。
三峰中では、「玉京」が最高峰であり約1820m。続いて「玉虚」の約1770m、「玉華」の約1750mが連なっている。
三清山の歴史
古くはこの地で「不老不死の薬」が作られていたとの言い伝えがある。
王鑑という唐代の信州太守がこの三清山の地で隠棲生活を送り、その末裔の「王霖」によって道教寺院が建てられた。
その後も末裔たちによって、三清山は道教の聖地である「洞天福地(どうてんふくち)」として整備されていった。
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道教とは
三清山は「道教」の中心の一つである。
道教は中国における三大宗教(三教)の一つで、道教のほかには、儒教と仏教がある。
もともとは、漢民族の土着的な宗教であり、「道」は宇宙と人生の不滅の真理を指しているという。
道教では、その修行の中で「道」と一体化することを理想とし、「不老不死の霊薬」である「丹」を練る「丹錬術」を用い、仙人となることを目指すのだ。
三清(三仙人)とは
三清とは、道教で最高神である三天尊「元始天尊」、「霊宝天尊」、「道徳天尊」のことだ。
三清はそれぞれ、道教の天上界にあたる「玉清境」、「上清境」、「太清境」に暮らしているとされる。
三清山の三峰は、この三神柱が暮らす仙境に例えられており、それぞれの頂には三清が座していると考えられている。
三清山の自然造形美
太古の地殻変動や風雨により、花崗岩が奇岩・奇観を形成している。
現地の発表によると、「奇峰」は48、「奇岩・奇石」は52、建造物などの景物や景観は500を数えるという。
中国国内では、「国家重点風景名勝区」、「国家地質公園」として、世界的には、「世界遺産(自然遺産)」として認定されている。
巨蟒出山の大蛇(おろち)
三清山のシンボル的な景観の一つとして人気の石柱。
岩山に張り付くように生える低木の間から鎌首をもたげた大蛇の姿に例えられる花崗岩だ。
司春女神
同じく三清山を代表する景観なのが、峰にたたずむ少女のような姿をした岩。春の女神が地上を見下ろしていると考えられている。
確かに長い髪の女性の後ろ姿に見える。
透明台
中国各地の高所に設置されている、足元がガラスでできた展望スペースが、ここ三清山にもある。
絶壁と崖が、足元の薄いガラス1枚の下に広がっている。高所恐怖症でなくとも、足がすくむ場所だ。
確かに360度の展望を楽しめるが、落ち着かないような気もする。
西太平洋一美しい花崗岩の山を巡る回廊
断崖絶壁に張り付くようにして作られた回廊もまた、足がすくむアトラクションの一つといえるだろう。
大迫力の景観に見とれつつ、続く階段や激しいアップダウンに笑う膝をなだめながら行き来する狭い回廊は、忘れがたい思い出になりそうだ。
吊り橋・展望台・回廊などには全て手摺や柵がついてはいるが、大人の胸程度の高さであり、高さに弱い人にとっては景観の素晴らしさに対する胸の高まりなのか、恐怖心からくる鼓動の高まりなのか、判断がつかないだろう。
もしここで出会いがあれば、体が感じるドキドキのせいで心に恋が生まれるという「吊り橋効果」が発揮されそうだ。
どうやって行くか
ツアーであれば、上海や広州から観光バスを使用するのが一般的。鉄道の駅から遠く、最寄りの玉山駅から現地までのバス便は少ないため、個人でのアプローチは難しい。
もう一つの最寄り駅は上饒(シャンラオ)で、駅の規模も街も大きく、バス便も多め。三清山の麓までバスで2時間の道のりだ。
三清山のふもとからはロープウェーが出ていて、崖や峡谷を見ながら20分ほどで山頂近くに到達する。
観光情報
ロープウェーは東側と南側にあるが、故障や修繕のためにどちらか片方が運行していないこともよくあるようだ。
現地でよく聞き込みをした上で、山に入るようにしよう。
また、入山料やロープウェー代金は中国の物価で考えるとかなり高価。
健脚であれば、半日程度かけて登山すれば、「露天道教博物館」とも呼ばれる景観を堪能できる。道がよく整備されたハイキングコースとしても楽しめる。
生きた自然の宝庫
岩や山が作りだす自然だけでなく、野生動物や植物の宝庫としても知られている。
動物は800種以上、植物は1000種以上見ることができるとされる。三清山の観光用歩道近辺まで動物が近づいてくることは少ないが、人の近づけない岩場や低木林からは、鳥たちのさえずりをはじめとした生き物たちの気配が伝わってくる。
周辺観光
三清山周囲に、徒歩で回れるような見どころはないが、バスを使用したツアーでは、数時間のドライブでつながる見どころを組み合わせていることが多い。
代表的なのは「景徳鎮(けいとくちん)」。四大名鎮の一つであり、日本でも名の知れた磁器の郷だ。三清山からは3時間程度の道のり。
「ウ源(うげん)」は、中国で最も美しい田舎風景を残す、生きた博物館的な地域。独特な古い建築様式を散策しながら見学できる。すぐ近くには「江沢民」の故郷として知られる「江湾(こうわん)」もある。三清山から2時間、景徳鎮へ向かう途中にあたる。
気候
雨の多い土地として知られている。山は霧の発生率が高く、全山の様子をくっきりと見渡せる日は少ない。
湿度が高いため、夏場は蒸し暑く、冬場は体の芯まで凍えるような冷え込み方をすることがある。
通年、雨具の用意は必須だ。
トイレや食事処などは、山中にもあるので安心。
注意点
雨が多いこと、階段や滑りやすい歩道も多いため、滑り止めのついた靴を履くことをおすすめする。
ロープウェーはあるが、見どころである奇岩、景観を見ると同時に、三清山周囲の歩道を歩くこと自体が観光の醍醐味。ツアーのほとんどは往路か復路のどちらかは徒歩だ。
1万段以上あるといわれる階段と断崖絶壁に張り付く道に、覚悟をして入山したほうがいい。
最後に
中国人の旅行への関心の高まりは過激なほどで、少し前までは道教聖地としてお参りに訪れる人や地元の人しか知らなかったような場所も、「世界遺産」になった、テレビで紹介された、などのきっかけがあると、瞬く間に一大テーマパークのように大混雑となる。
三清山も、数年前までは森閑とした山の中の仙境のムードが漂う地だったが、現在は、そこに拡声器を持ったガイドとグループツアーのメンバーのにぎやかな声がプラスされつつある。
しかし、変わりやすい天候の中、霧の隙間から覗く奇岩や独特の岩の景観は、今も水墨画の趣を残している。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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