住宅アート世界遺産~ルイス・バラガン邸と仕事場を見学してみた

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色彩と光線あふれる住宅アート世界遺産~ルイス・バラガン邸と仕事場「Casa Estudio Luis Barragán」/メキシコ・メキシコシティ

設計家やデザイナーの作品が世界遺産に登録される例はいくつもある。有名なところでは、ガウディの作品が知られている。ガウディはその作品も本人自身も歴史の既に歴史の一部となり、「遺産」にふさわしく感じられる。

一方で、20世紀後半に活躍した現代のアーティストたちの場合は、才能や作品の素晴らしさと「遺産」のイメージがどうにも結びつきにくい。

しかし、今は新しいものも、いつかは「遺産」になっていく。今から守ることで未来へ遺そうという意味合いを持つ現代アートの世界遺産の一つ、メキシコを代表する建築家である「ルイス・バラガン」と彼の作品である住宅たちを紹介しよう。

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ルイス・バラガンって誰?

20世紀を生きた建築家であり設計家であり、都市計画家でもあった。

彼は大学で土木工学技士となるべく学んだものの、建築やデザインの分野は全て独学で身につけたという。ただし、裕福な家庭の出であったことから、アジアやヨーロッパの広い範囲を遊学する形で、さまざまな建築やデザインに触れ、その作り手たちともつながりがあった。それが、彼の後の成功に大きく影響を与えたと考えられている。

一般住宅からその集合体である住宅地開発を手掛け、地元メキシコの業界では非常に知られた存在だったものの、世界的にその名が知られるようになったのは晩年になってからだ。

アメリカ・ニューヨークで、世界的なデザイナーのエミリオ・アンバースのサポートのもとで開催された彼の作品展が世間から大きな反響を得たことがきっかけだった。

1902年生まれのルイス・バラガンは、1976年の作品展で世界デビューを果たしたが、1982年には病気のため引退、1988年に自邸であるバラガン邸で亡くなった。そしてバラガン邸と隣接するアトリエとは2004年に世界遺産に登録された。

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彼の作品の特徴

直線や平面を多用したすっきりとしたフォルム、シンプルなのに居心地のよさと適度な高級感を醸し出すデザインが特徴だといわれる。

実際に彼の作品へと足を踏み入れ、目にすれば、「なるほど」と納得できるだろう。ただ、それだけではない。南米の文化に十分親しんでいる人以外は必ずその「色」が気になるはずだ。

彼の作品の色合わせの奇抜さに目と奪われる。オレンジとピンクの大きな壁を直角に組み合わせて囲んだ中庭、そこに置かれるのは金や銀の壺や塑像。室内に目を向けると、白い壁が途中から真っ青にかわり、中央に立つ大きな柱は真っ赤というコントラスト。

日本ではお目にかかることのない色彩のオンパレードだ。モダニズムと一言で括ることもできず、かといって、メキシコの伝統建築とも言い切れない。どちらからも少しずつ要素を取り込み、そこへ彼独自の3Dと色彩の間隔をプラスした空間が、メキシコの青い空と乾いた赤い土とに見事に調和している様子は驚きさえ感じさせる。

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世界遺産に登録された自宅バラガン邸と仕事場

メキシコシティ郊外、タクバヤに建てられたルイス・バラガンがその人生の大半を過ごした自宅がバラガン邸、それに連結した形で立つのが仕事場。二つの建物は別々の玄関を持つものの、内部ではつながっている。

近代的なコンクリート建築だが、レンガを積み上げて色づけしたような雰囲気を作りだしている部分もある。室内外に使われている色は、ピンク、黄色、オレンジなど。それぞれが、メキシコの強い日差しが差し込んだ時の反射を考えて配置されているらしい。

また、平面と平面を直角に組み合わせる方法は、彼が敬虔なクリスチャンであることから、「クロス」の形をあちこちに取り入れた結果だともいわれている。

現在は住宅として使われていないが、内部には家具などのインテリアが配置されたままで、モデルルームのようだ。少しでも「家」、「色」、「デザイン」などに関心を持つ人であれば、その奇抜なのに落ち着いた、反発し合う色合わせが美しい空間に感銘を受けるだろう。

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世界遺産の見学方法

ブラリと立ち寄って、気軽に足を踏み入れることはできない。
まず、場所がごく普通の住宅地の中であり、個人で辿りつくのが難しい。さらには、原則として見学は予約制になっている。

タクシーを利用するか、現地の地理に詳しい人にガイドを頼むのがベスト。予約は前日までに公式ホームページからメールで申し込みを行う必要がある。

先着順になるが、通常それほどの混雑はない。1グループに1人のガイドがつき、説明を受けながら見学ができる仕組みになっている。

または、メキシコシティから出ているツアーに参加すると、面倒な手続きなく、送迎付きで訪れることができるので、おすすめだ。

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オルテガ邸

オルテガ邸もルイス・バラガンの自邸の一つ。ただ、現在もそこに住む人がいるため、普段は一般公開されていない。

バラガン邸のすぐ隣にあり、バラガン邸に先駆けて建築された。住居内は見学できないが、週に1回、中庭が予約者に開放されている。

中庭は苔むした壁、鬱蒼と茂る緑、テニスコートになりそうな芝生の広場などが建物やテラスなどでパーテーションされつつ、つながっている。

アルテガ邸は、ルイス・バラガンの生まれた農村地帯の地主の屋敷を部分的に再現しているらしい。

専門家以外に訪れる人が少ないことから、情報が少ないが、バラガン邸内の見学でついてくれるガイドに相談してみると、おまけで案内してくれることもあるという。ダメもとで聞いてみよう。

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ヒラルディ邸

ルイス・バラガンの晩年の最高傑作といわれるヒラルディ邸は、玄関を入ると黄色いすりガラスを潜り抜けた太陽光線が空間をキラキラと金色に染めている。

そんなキラキラの廊下を抜けるとその先はダイニングエリアのはずなのに、真っ青なプールが出迎えてくれる。壁は白、柱は赤だ。

とても70才を超えた人物の作りだしたものとは思えない。

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トゥラルパンの礼拝堂

メキシコシティ南部のトゥラルパンにある修道院の礼拝堂は、ルイス・バラガンによって再建・改修が行われたことで知られている。敬虔なクリスチャンだった彼は、この工事に私財をつぎ込んだ。そのかわり、彼の独断的なデザインが認められたのだ。

一般に開放している教会ではないため、いきなり訪ねても見学できないことが多い。やはりあらかじめ連絡を入れて予約しておくのが安心だ。

内部はちょっと「禅」を感じさせるシンプルな空間になっている。黄色の格子がはまった壁、どこからともなく聞こえてくる水の音、白壁と緑の小さな落ち着いた庭。ただ白壁に作られた大きな十字架が宗教の違いを伝えてくれる。

礼拝堂内の壁はピンクとオレンジ。大きな十字架が立ち、そこへステンドグラスを抜けた光線があたって、十字架の影を作りだす。華美ではないが、華やかさと温かさを持つ祈りの場となっている。

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サテライト・タワー

彫刻家マシアス・ゲーリッツと共作したタワーは、オリンピックの新しいモニュメント? と誤解を招きそうな色合い。

サテライト・タワーが立ったころ、周囲は開発が始まったばかりでタワーの存在はまさに「異物」だったが、現在は都市化した街の中にしっくりと溶け込んでいる。

5本のタワーはその方向やサイズや高さが計算しつくされていて、見る角度によっては3本や4本に見える。タワーそのものは、まるで積み木を重ねていくように、1mごとにコンクリートの継ぎ目が見えるのと、変形三角柱であることから、切れ目がついた巨大なカッターの刃のよう。

実用面はゼロだが、その存在感は満点。

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最後に

ルイス・バラガン邸と仕事場は世界遺産らしくない。訪れにくく、そのデザインのすごさも専門家以外には理解しにくい。

それでも、何気なく訪れた非専門家の多くが、感銘を受けている。建築的に何がどうしたという理由ではなく、「光線がスゴイ」、「色がスゴイ」、「形がスゴイ」、そんなシンプルな感激を与えてくれる存在なのだ。

メキシコシティを訪れることがあれば、少しの時間をインターネットに割いて、見学日程を調べてほしい。それが面倒なら、ルイス・バラガンの作品群を巡る半日ツアーなどに参加してしまうといい。

決して落胆することのない、生きた現代アートを体験できるはずだ。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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