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女帝の隠れ家から世界屈指の美術館に変貌~エルミタージュ美術館と冬宮殿
ロシアの古都、サンクト・ペテルブルグにある「エルミタージュ美術館」は、ロシア女帝エカテリーナ2世が建てた王宮内に、個人的に蒐集した美術コレクションを鑑賞するスペースを設けたところから始まった。
当初、それらの作品を鑑賞できるのは皇帝一族のみ。エカテリーナ2世は「名画を鑑賞しているのは私とネズミだけ」と言ったらしい。
その後コレクションは膨らみ、建物は建て増されていき、最終的には国立の美術館として一般公開されるようになって現在に至る。
エルミタージュ美術館は、エカテリーナ宮殿などと共に、「サンクト・ペテルブルグ歴史地区と関連建造物群」として、ユネスコの世界遺産に登録されている。
ロマノフ朝の王宮としての歴史~エカテリーナ時代
まだ帝位についていないエカテリーナの命により、1754~1762に建設された、帝政ロシア帝国の宮殿の一つ。ロシア皇帝が冬を過ごす王宮として建てられたものだ。完成後、帝位についたエカテリーナ2世によって使用された。
建物の中央部に大きな中庭を抱えた正方形の建造物で、ロシアバロック様式の豪華な装飾が施されている。部屋数は460室以上だったといわれ、それぞれの部屋が異なるスタイルを持っていた。
エカテリーナがベルリンの美術家より絵画225点を購入したことから、王宮に美術館としての役割が加えられた。
小エルミタージュ・大エルミタージュ(旧エルミタージュ)・エルミタージュ劇場・セント・ジョージホール(焼失)が続けて建設され、エカテリーナは、ヨーロッパ各地から絵画や彫刻の購入を続け、コレクションを増やしていった。
ロマノフ朝の王宮としての歴史~エカテリーナ以降
1796年のエカテリーナの死後、息子のパーヴェル1世が帝位につき、1812年ナポレオン戦争を経て、さらに美術品のコレクションは増えていった。1837年には、冬宮が火災に遭うが復元される。
1852年、新エルミタージュが建築されるが、この頃ロシアはますます大帝国化していく。同時に民衆の力も増し、クリミア戦争・日露戦争・第一次世界大戦を経て、ロシア革命によってロマノフ朝は300年の歴史を閉じた。
ロシア革命後、この地には一時的に臨時政府が置かれたが、ソビエト崩壊後には国立美術館として公開されることとなった。
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美術館としての成り立ちと歴史
ロシア革命後、宮殿はソビエト社会主義共和国のものとなり、首都もサンクト・ペテルブルクからモスクワへと移った。
エルミタージュ内の所蔵美術品は、国内の個人コレクションの国有化によって膨大な量となり、国内のほかの美術館へ譲渡されたり貸与されたりするようになっていた。
第二次世界大戦中には、コレクションをウラル連邦管区へと避難させていたが、終戦後には再び集められ、美術館として再開した。
ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊すると、エルミタージュは近代化され、規模の拡大・復旧整備が行われていった。
美術品の修復、展示の見直しなどにより、世界屈指の美術館として充実した現在の姿となった。
エルミタージュに塗られた色
冬宮の外壁は、18世紀半ばの建設時には薄い黄色だった。これが19世紀半ばには薄いピンク色に塗り替えられ、20世紀に入ると赤茶色となった。
また、第二次世界大戦中には、空襲の的となることを避けるとして、灰色に塗られていたという。
戦後は、明るさを取り戻した世界を表現する薄い緑色に塗られて現在にいたるが、創設250年にあたる2014年に従来の薄い黄色に戻される計画もある。
美術館の構成
エルミタージュ美術館は、大きく分けて5つの建物からなり、それぞれが廊下で結ばれている。
冬宮殿(冬宮)・小エルミタージュ・旧エルミタージュ(大エルミタージュ)・新エルミタージュ・エルミタージュ劇場は、18世紀半ばから約100年かけて完成されていった。
戦禍による被害や、火災による焼失などもあり、途中で改装・復元作業も何度か行われている。
現在のエルミタージュ美術館は、展示室数1500以上、すべてを見て回ると20キロを超える長旅となる。
見どころばかりで絞り込むのが難しい上、各建物の各室に分散されている。さわりだけ見て、その壮大さを肌に感じようという目的なら半日程度。じっくりと見て回るなら少なくとも4.5日は欲しいところだ。
冬宮殿
エルミタージュ最大の建物。
正面玄関を入ったところが「大使の階段(ヨルダン階段)」で、多くの外国使節を迎えた幅広の長い階段は最初の撮影スポットだ。柱や壁はロシア・バロックスタイルの装飾で、彫刻や絵画によって華麗な空間が作り出されている。
階段を上りきると、そこは広い廊下とその両側に並ぶ多くの部屋。それぞれの部屋の装飾が異なる。
シックな赤色が目を引くのが、「小玉座の間(ピョートルの間)」。ピョートル大帝にちなんで作られた謁見のための部屋で、中央には玉座が据えられている。玉座の背後に描かれているのは、ピョートル大帝とローマの知恵の女神ミネルヴァ。
「紋章の間」は、両脇を円柱で囲み、ブロンズのシャンデリアが頭上にぶら下がる大ホール。現在も式典などで使用されている。
「ゲオルギーの間(大玉座の間)」は、イタリア大理石がふんだんに使われた壁、寄木細工の床、銅板装飾の天井という豪華さ。玉座の上部には、ロシア・ロマノフ朝の守護神とされた聖ゲオルギーのレリーフが飾られている。歴代の帝王たちは、この席から各国大使たちを迎えた。
小エルミタージュ
エルミタージュ美術館発祥の地ともいうべき建物であり、長廊下スタイルの美術ギャラリーと「パビリオンの間」からなっている。また、1階屋上部分に空中庭園がある。
パビリオンの間は、エカテリーナ2世のプライベートルームとして作られたもので、古代からルネッサンスまでの建築様式を複合的に取り入れた豪華な装飾が施されている。床にはローマ時代をモチーフとするモザイクがはめ込まれている。
中央に置かれているのが、からくり時計の「孔雀時計」で、エカテリーナの愛人ポチョムキン侯爵からの豪勢なプレゼントだ。小エルミタージュで最も古い展示である。
旧エルミタージュ(大エルミタージュ)
膨大に膨れ上がったコレクションの保管場所として増築されたのが、大エルミタージュ。現在は旧エルミタージュと呼ばれている。
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品をまとめた「レオナルドの間」では、「リッタの聖母」と「花を持つ聖母子」が展示されている。
また、2階の「ラファエロの回廊」は、新旧のエルミタージュをつなぐ長い廊下で、壁と天井がラファエロ絵画の模写で覆われている。11年の歳月を費やしたとされるこれらの絵画は、聖書をテーマとしたストーリー性を持ち、「ラファエロの聖書」と呼ばれている。
エルミタージュ劇場
宮廷人専用劇場として建築され、エカテリーナが制作・脚本を担当した演劇が上演されていたといわれている。円形劇場の床は大理石、壁や柱はマーブル模様、ギリシャ神たちの彫像のほか、音楽家や詩人の肖像画が飾られている。
現在は、オペラ・バレエ・クラシック音楽などのコンサートが開催され、もちろん一般人も観劇できる。
新エルミタージュ
エルミタージュの中では比較的新しい存在。エントランスのアトランティス像10体と12本の円柱が迫力だ。
「大イタリア天窓の間」、「小イタリア天窓の間」、「スペイン天窓の間」の3部屋から成る「天窓の間」は、赤い壁と白に金細工の天井が特徴。
旧参謀本部
ナポレオン戦争勝利後に、アレクサンドル1世の命で建てられた。中央門の上には、6頭引きの勝利の戦車像が飾られている。
当初は、その名の通り参謀本部や外務省・財政省などが入っていたが、現在は多くのスペースが展示用に一般公開されている。衛兵博物館には、肖像画や衣装が飾られている。
ミュージアム・ショップ
館内の何か所かにミュージアム・ショップがあり、ガイドブックのほか、ポスター・カードなどの定番土産物、Tシャツや食器・アクセサリーなど幅広い商品を扱っている。
ただし、店によって微妙に商品も価格も異なるので、時間が許せば、見比べてから購入したい。
ミュージアム・カフェ
詩人・プーシキンゆかりの「文学カフェ」では、プーシキン人形が出迎えてくれる。生演奏が流れる中、ボルシチやカツレツなど、しっかりと腹ごしらえができる。
カフェテリア形式のカフェもあり、ピザやサンドイッチなどの軽食と飲み物が楽しめる。
見学方法
とにかく広い、そして人も多い。
ウェブで前売りを予約することもできるが、前売り券を持っていてもなお、かなり並ぶと考えたほうがいい。何故なら、割り込みが激しいから。逆に、前売りチケットを持っていれば、列の前に割り込んでいいようだが、日本人にはこれが難しい。
チケットの種類によって列が分かれているはずだが、それも判別がつきにくい。
結果として、前売りを持っていようがいまいが、個人で訪れるなら、朝一番に行くのがベスト。まだ混雑が始まっていないので、スムーズに入館できる。
最後に
ロマノフ朝の繁栄の夢の跡とでもいうべき「エルミタージュ美術館」は、世界でも指折りの内容を誇る美術館として多くの観光客を集めている。
戦争や政治的な影響を受けつつも、文化遺産として多くの絵画や彫像、彫刻、そして建造物そのものが遺されたことに感謝したい。
華美・壮大・荘厳・威厳、さまざまな言葉で表現されるエルミタージュ美術館は、どの言葉も真実とするだけの美しさと重々しさを持つ。
帝政ロシアの歴史とヨーロッパの美術史の両方の粋(すい)を集めた美術館だ。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。
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