泥棒もテレビに釘づけ? アメリカ全土が熱狂する「スーパーボウル」(Super Bowl)/アメリカ
「孫の代まで待たなきゃ買えない」とまで言われるプレミアムチケットはアメリカの「スーパーボウル」のもの。
TV視聴率は40%以上で犯罪率はグっと下がり、スーパーボウル放映中にお決まりのように食べるピザの売り上げもこの日が1年でもっとも高いのだとか。
「スーパーボウルっていったい何?」「アメリカンフットボールなんて興味がないし」という人はひょっとしたら人生の楽しみの何%かを損しているかもしれません。アメリカ全土が大興奮するその理由をご紹介します。
スーパーボウルの特徴
スーパーボウルはアメリカのプロアメリカンフットボールリーグ「NFL」の最終的なチャンピオンチームを決める大会です。
日本ではそれほど知名度も人気もないアメリカンフットボールですが、アメリカでは超花形スポーツ。高校や大学ではアメフト選手とチアリーダーのカップルが最強の組み合わせです。
そんなアメフトの試合だからスーパーボウルは盛り上がるのかというと、それだけではありません。超一流アーティストによる国歌斉唱から始まり、白熱するゲームの間には華やかなチアリーダーたちによる応援、やはり超有名アーティストによるハーフショー、コアなファンが熱狂する歴代スーパーボウルのMVPが登場するシーンなど、スポーツイベントからはなれた楽しみも満載なのです。
そして、巨大な会場を包む「今日はハジけるぞ~~!」という一体感は、一滴のアルコールさえ体内に入っていなくても十分に酔っぱらえるだけの陶酔感をもたらしてくれます。
スーパーボウルの開催会場・開催日
開催地は毎年変わります。その経済効果の高さから立候補する都市が多いため、オーナーたちによる会議によって、数年前に決定するスタイルになっています。オリンピックのようですね。
開催日は現在、2月上旬の日曜日に固定されています。その日はスーパーサンデーと呼ばれ、アメリカでは祝日扱いになっているほどです。
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スーパーボウルの歴史
アメリカンフットボールそのものの歴史のスタートが1960年。いくつかのリーグが誕生したことから、1967年に第一回スーパーボウルが開催される運びとなりました。
当初はルールさえウヤムヤなスポーツでしたが、競技としての形は人気の高まりと同時に成長して今の形におさまったようです。
スーパーボウルのパレード
選手入場、歴代MVPの紹介、大会MVPの発表などが、スーパーボウル会場におけるパレードのようなものでしょう。
また、ハーフショーは毎年さまざまな趣向を凝らしますが、マーチング・バンドや吹奏楽隊などがその一部として参加したり、ファッションショーのキャットウォークのように、セレブたちが登場したり顔見世をしたりすることもあります。
観客席から見れば、そんなセレブの姿も「あれ、本当に××?」と疑いたくなるようなサイズではありますが、同じ会場の同じ空気を吸っているだけで、なぜか興奮してくるから不思議です。
スーパーボウルのイベント
まだ会場がざわつくばかりで、一体感が生まれていない試合開始前。その年の選ばれたアーティストが紹介されて、会場の中央に立ちます。国歌斉唱のアナウンスに、フリーダムを愛するアメリカ人たちが口を閉じ、手を胸にあて、一瞬にして会場が静まります。
独特の唄い回しで聞こえてくる国歌に合わせて口ずさむこともあれば、ただ聞き入ることもありますが、このシーンからは、アメリカ人がアメリカ人であることを誇りに思っていることがよくよく伝わってきます。
また、チームマスコットたちやチアリーダーたちによる応援合戦には、国歌斉唱のような厳粛さはなく、ハーフタイムショーのようなド派手さもありませんが、だからこそ、親近感をもって楽しめるイベントです。一緒に写真を撮れるチャンスなどもあり、男性陣は美人チアリーダーたちに、子どもたちはマスコットにと、たかる様子もまた見どころです。
スーパーボウルの食べ物
ピザ! スーパーボウルといえばピザなのは、アメリカ人なら誰もが知っている組み合わせです。ただ、これは主にテレビ観戦を決め込む人たちの常識。
スーパーボウルのチケットを手に入れた幸運な観客たちは、会場で売られる顎が外れそうなホットドッグやハンバーガー、巨大パッケージのポテトチップやポップコーン、チリソースやサルサソースにつけて食べる各種スナックなどと、子どもならコーラ、大人はビール。
どれだけのカロリーを摂取することになるのやら、などとは考えてはいけません。極端なほど健康志向に傾きつつあるアメリカ人であっても、スーパーボウルの当日だけは戒めから解放されて、ジャンクフードをたらふく食べるのも、楽しみの一つなのです。
スーパーボウルの記念品
会場内の売店では、贔屓のチームを応援するためのグッズが売られています。Tシャツやキャップはマスト・バイ・アイテム。その場でも着用しますが、知り合った敵対チームのサポーターと交換したり、染みだらけのまま持ち帰って擦り切れるまで着たおしたり、ベッドサイドにピンでとめたりして、大事な記念品として扱われます。
用意するもの
もし自宅のカウチでテレビ三昧を決め込むなら、ピザとチップスとビールがあれば十分ハッピー。
友人たちとパーティーをしながら楽しむなら、途中でテレビの前の席を離れなくてもいいように、招待客にいきわたるだけの食料をたっぷりとテーブルに並べておきましょう。
そして、現地で観ることのできるラッキーな人は、その身一つで十分!
参加できること
スーパーボウルに参加できるアメフト選手になるのも、国歌斉唱やハーフタイムショーに出場依頼がくるアーティストになるのも、残念ながらかなり難しいでしょう。
エキストラ的な参加方法はあるものの、これも多くても数百人規模でまず無理。
観るだけで十分参加にもなるとは思うのですが、強いてあげるなら、「賭け」はいかがでしょうか? イギリスやアメリカのスポーツの多くはブック(賭け)の対象になっています。スーパーボウルももちろんいろんな角度から賭けることができます。
試合の勝敗だけでなく、MVPは誰になるか? ハーフタイムショーの出演者が最初に歌う歌はなにか? などなどスーパーボウルならではのベッティングなので、参加することで、気分が盛り上がりそうです。
一番の見どころ
アメフトに、少なくともスポーツに興味を持つ人であれば、試合そのものが一番の見どころなはずです。応援しているチームが勝とうが負けようが、体ごとぶつかり、転がり、駆け回るアメフトは、ハラハラドキドキしながら、ウォーと叫び声をあげるのにピッタリです。ルールがよくわからなくても大丈夫。見ているだけで、十分ノルことができます。
また、会場に詰めかける観客の多くにとっても、テレビの前のカウチ派にとっても、欠かせないのがハーフタイムショーです。
2016年はColdplayの参加こそ発表されていたものの、直前になってブルーノ・マーズ、ビヨンセというスーパースターたちが加わっての競演であることが判明すると、プレミアムチケットの価格が一挙に跳ね上がったそうです。
20分程度の短い時間ではあっても、コンサートチケットを取るのも困難なスーパースターたちのステージを生で見聞きできる機会は貴重です。
まとめとして
スーパーボウルを特別室で観るには、30万ドル以上というから、3千万円以上に相当します。都会でマンションが、地方なら一戸建てが買える金額ですね。
通常でも3万円程度のチケットを争奪し、コネをたぐり、貯金をはたき、あの手この手でチケットを手に入れられればそれはもう1年分の運を使い果たしたような感覚です。
この感覚を日本のイベントに例えてみたいと思っても、相当するものがありません。アメリカという巨大な国のスーパーイベントの規模は、想像をはるかに超えています。その凄さも楽しさも、参加してはじめて分かるはず。
まずはチーズとピールを片手にテレビ観戦から入ってみてはいかがでしょうか?