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旅を仕事にするプロジェクトは、旅そのものが仕事です。しかし旅そのものが仕事ではなく、旅をしながら別の仕事をするスタイルもあります。
つまり旅とは関係ない仕事をこなしながら、移動を続けるというスタイルです。
今日は旅行ノマドワーカー以外のノマドを紹介します。
ノマドワーカー、その職種と仕事内容
ノマドワーカーはワーキングスタイルの名称でありながら、職種の一つとしても考えられるようになってきている。
例えば、名刺を作る場合、肩書部分に職業として「ノマドワーカー」と書くのは間違いではなく、多くのノマドワーカーたちが現実にそう自称・他称している。
しかし同時に、ノマドワーカーとの記載だけでは、仕事内容が不明であるという問題がある。
ノマドワーカーって何する人?
会社員たちの名刺には、社名・部署・役職が載せられているため、その名刺の持ち主が、企業の中のどんな部署でどのような仕事をしているのかが、大体想像できるようになっている。ノマドワーカーたちの肩書もこれと同様に、ノマドワーカーであることだけでなく、その仕事内容を明らかにする必要がありそうだ。
では、ノマドワーカーたちは、いったいどんな仕事で収入を得ているのだろうか?
ノマドワーカー向きだとされる職種とは
ノマドワーカーに向き不向きな職種はある。しかし、ノマドワーカーというワーキングスタイル自体がまだ発展途上であるため、かなり広範囲の職業で、ノマドワーカーへと転向することは可能である。
1)記者・カメラマン
記者・カメラマンなど、従来からオフィスを離れて活動する時間の多い職種は、当然のように現在もノマドワーカーの中で高割合を占めていると思われる。
彼らは、企業に所属し、オフィスを持っている場合も多い。また、フリーランスであれば、自宅をオフィス替わりに使っていることもあるようだ。ただし、オフィスワークはあくまでノマドワークの補助として行うに過ぎず、その時の仕事内容に合わせ、あらゆる場所で仕事ができる体制で移動を繰り返しているのが特徴だ。
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2)外回り中心の営業マンや技術者
営業マンといっても、足を使って外回りをしているとは限らない。電話一本、インターネット回線1本で、十分な営業成果を上げている例も、昨今では少なくない。技術者に関しても、電話やインターネット回線で、広範囲な技術的サポートを提供可能であることは、各種電子機器のサポート窓口やサイトを利用したことのある人なら、よくご存知だろう。
しかし、今も昔も同じスタイルで外回りをしている営業マンや技術者はいる。彼らは、企業に所属していたり、登録していたり、または自営業として、客先へ出向いて活動する。その活動先は、自分で開拓した場所である場合もあれば、紹介やルートサービスとしてあらかじめ組まれている場合もあるだろう。
会社員や自営業であっても、直行直帰スタイルが多く、1日の大半を自分と客先の都合に合わせて、移動しながら仕事をこなしていく点では、ノマドワーカーの範疇に加えることができそうだ。
3)各種コンサルタント業
また、各種コンサルタント業もノマドワーカーとなりやすい。コンサルタント業務は、本来、個人の知識を対企業・対個人に対して提供するものであり、個人プレーが可能な職種だ。
戦略系コンサルタント・IT系コンサルタント・総合系コンサルタントなどが良く耳にするコンサルタント業務だが、各業種間の線引きはあいまいなところも多い。
コンサルタント会社に所属し、派遣される形で働くコンサルタントもいるが、ある程度の実績と知名度を持つコンサルタントは、個人で事務所を構えている場合も多い。
彼らは、自身の持つ知識や経験、時には資産や人脈を使って、依頼主の相談役を務めるのが仕事である。その身の才覚だけで活動することが可能な職種であることが分かるだろう。
4)IT産業・ベンチャー系
近年そんなノマドワーカーの中で、インターネットを利用した、広くIT産業関連に携わる職種が加わり、その割合を大きくしている。
彼らは、ウェブ上に仮想オフィスを持って活動していることが多く、実際に活動する場所は自由に選ぶことができ、オフィスやデスクという立体的な形態こだわる必要がない。依頼主や同業者や下請け業者などの取引先も、同様に仮想オフィス経営者である場合が多く、打ち合わせも契約さえもネットワークを使用して行ってしまうというツワモノもいる。
5)ブロガー・ライター・サイト管理など
IT産業の片隅または隙間を埋める職種であると同時に、牽引役ともなっているのが、ブロガーやライターたち、そしてサイト管理者たちだ。その内容によっては、多くのPV(ページビュー)を獲得することで、社会に影響力を持つこともある。
ノマドワーカーとして、この業種に携わる人の中には、専業としては収入が十分でなく、複数のノマドワークやアルバイトを兼業している場合がある。
一方で、人気を得たブロガーやライターは、その他の下請け的な働き方をしているライターとは一線を画した存在となっていて、その収入額には大きな差が生じる。ただし、両者とも保障がない点では共通している。
サイト管理業も、稼働率の高いサイトを作り出すことができれば、サイト数を増やした分だけ広告収入も増えるが、むやみなサイトの乱開発が、必ずしも収入に結びつくとは限らない。
星の数より多いインターネットサイト、その構成に携わる人員は塵の数以上だ。その中で、ノマドワーカーとして自立できるのは、ほんの一握りである。
6)デザイナー・プログラマー
作り出す物や形は違うが、4)のブロガー・ライター・サイト管理者と似たスタイルの職種といえそうだ。
時間に縛られないというよりは、時間に縛られ過ぎて自由時間がほとんど持てないために、独立してフリーランスとなり自宅で作業をしたり、個人事務所を構えることも多いこの職種だ。最近の傾向として、一人の空間に引き籠って作業をするという「オタク」的な活動から、カフェなどの外で活動へと移行しつつあるようだ。
デザイナーやプログラマーは、4)のブロガー・ライター・サイト管理者に比べて、ベーススキルとして求められる技術水準が高いため、手軽に身一つでいきなり飛び込んで挑戦できる世界ではない。だからこそ、ある程度のスキルを持ってノマドワーカーとなったなら、仕事量や収入面における安定度は、確実に4)のブロガー・ライター・サイト管理者よりも上だろう。
7)企業経営者・管理職
高層ビルの最上階に広々とした専用のオフィスを持ち、そこから指示を出す、そんなイメージの企業経営者や管理職もまた、ノマドワーカーとして活動可能である。
彼らは会社組織に属しているが、そこに縛られるのではなく、その枠組みをノマドワーカーとしての活動をよりスムーズにするために利用している。
オフィスを構えていることもあれば、いないこともある。社員間のコミュニケーションは当然インターネットに頼り、会議も打ち合わせもSNSやインターネット電話回線等を使用して行うため、実際に体を運ぶ時間と手間を省くことで、効率を上げている。
ベンチャー系の複数企業を経営している経営者に多いスタイルで、社員たちにも自由なスタイルを認めていることが多く、遠隔操作的に指示を出し、報告を受けていくわけだ。
ノマドワーカーたちのワーキングスタイル
ノマド(遊牧民)と呼ばれていても、現代のノマドワーカーたちが衣食住・財産の全てを背負って放浪したり、転々と住居を変えているわけではない。
彼らは基本的に定まった居住空間を持ち、その生活圏もある程度定まっている場合が多い。その上で、自分の都合に合わせて、より集中できる場所へより情報の集まる場所へと移動したり、仕事相手の都合に合わせて移動したりを繰り返すことができる、フットワークの軽さを持っている。
もっとも一般的なノマドワーカースタイルは、街中のカフェのテーブルの上で1杯のコーヒーとパソコンとスマートフォンを並べて、カチカチと作業する姿だろう。彼らにとって、オフィスよりも自宅よりも、そのカフェが仕事の効率が上がる場所である。
お気に入りのカフェを数件持ち、気分や環境に合わせてハシゴしながら、アイデアを探し、プランを練り、売り物として形にしていくのだ。
今後のノマドワーカーたち
日本において現時点では、ノマドワーカーの数が劇的に増加したり減少したりすることは考えにくい。多くの社会人たちが、ノマドワーカーに憧れはしても、現実としてそれだけのリスクを負ってまで、企業の肩書を捨てる必要性に迫られていないからだ。
しかし、ワーキングスタイルの一つとしての認知度が上がるとともに、さまざまな職種でノマドワーカーを選択できる可能性は増えていくだろう。
その可能性を利用するかどうかは、ノマドワーカーというワーキングスタイルが、企業側にも働く側にも、そして社会全体にもプラス影響を与えると信じるに足るだけの、成功例がやはり必要なのではないだろうか。