暴れ馬と素手で格闘!「スペイン馬レスリング祭り」に参加

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暴れ馬と素手で格闘!?「スペイン馬レスリング祭り」(Rapa das Bestas/Spanish Horse Wrestling Festival)/スペイン・ガリシア州

生活の中で今も馬が大きく存在しているスペインの一部の地域では、祭りの主役も馬。野生の馬たちを追い込み、おさえ込み、そのタテガミや尾の毛を刈り取って烙印をいれるというこの祭りでは、普段は優しくおとなしい印象の馬たちの荒々しく激しい本質を目の当たりにすることができます。

逃げまくる馬と追いかける人、前後の脚、頭をふり乱して人の手を払いのけようとする馬としがみつき絡みつくようにして押さえつける人。どちらも真剣そのものですが、見ているとあまりの必死の形相に度肝を抜かれすぎて、笑いがこみ上げてきそうです。

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スペイン馬レスリング祭りの特徴

野生馬として普段は“放牧”されている馬たちですが、実は所有者がいるそうです。この祭りはその所有者が自分の馬の頭数を確認し、健康状態を確認し、新しく誕生した馬には烙印をいれるという「仕事」でもあります。

ガリシア州の各地で馬レスリング祭りが行われていますが、馬との格闘方法は村や町ごとに異なります。共通するのは、山間部にある馬の囲い場に野生状態の馬たちを集めること、そこで馬たちの毛を刈ること、烙印を押すことです。

ある村では、投げ縄のようなもので捕らえて口輪を噛ませ、ある村では完全に素手で立ち向かい、ある村では過剰なレスリング行為が行われることもあります。

いずれにしても、野生の馬と人の戦いの場となることだけは確か。牛追い祭りのような流血の惨事は滅多に起こらないものの、足の踏み場もないような馬で一杯の広場で繰り広げられる人と馬の決死の戦いぶりの迫力は異様な熱気と魅力満載です。

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スペイン馬レスリング祭りの開催会場・開催日

スペイン北西部ガリシア州の山には、野生で放牧されている馬と本物の野生馬とが多く生息しています。各地の村や町で野生馬を捕らえる作業や祭りは行われていますが、有名なのはサブセド村の「Rapa das Bestas」。これは「馬「野獣」の毛刈り」という意味ですが、英語で紹介される際には、「Spanish Horse Wrestling Festival」と呼ばれます。

サブセド村は、サンティアゴ・デ・コンポステラから40キロほど離れた山間の村。実際に祭りが行われるのは、村の中心から3時間ほど登山をして到達する山の中の馬の囲い込み用の広場です。

サブセド村で祭りが開催されるのは7月の第一土曜日を中心とした3日間ですが、近隣の村や町で行われる同様の祭りも、同時期に行われます。ただし、互いに日が重ならないようにアレンジされます。

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スペイン馬レスリング祭りの歴史

もともとは放牧している自分の馬の点検日だったため、この地域で馬が大々的に飼育されるようになった400年ほど前から伝わる伝統ある催しといえます。

現在では、山の馬追い広場には観客席も設けられ、立派な祭りの見世物として成立していますが、400年前は生活手段の一つだった馬の管理上避けることのできない「作業」だったはず。いくらほかの地域に比べて今も馬を所有する人が多い地域とはいっても、現代生活で交通手段が乗馬というわけではありません。生活上必須だったイベントが祭り的イベントへと徐々に移行してきたと考えるのが妥当でしょう。

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危ぶまれる祭りの将来

ただ、現在この祭りは存続の危機に見舞われてもいます。

まず、野生馬に対する人の「追い込み」や「おさえ込み」や「毛刈り」や「烙印」といった行為が動物保護団体の批判を受けているのです。動物と一緒に祝う祭りの多いスペインでは、各地で保護団体による強力な抗議によって、どの祭りも存続が危ぶまれています。

馬の毛刈り祭りでは、その圧力が政府にもおよび、野生馬の頭数管理にはマイクロチップの埋め込みで対応するようにとの指示が出されました。これには関係者が揃って大反発。

それもそのはず、数万頭に及ぶというガリシア州で「放牧」される馬たちすべてにマイクロチップを埋め込むのはとんでもない作業になります。また、費用も1頭につき35ユーロ程度かかります。所有者がいるとはいっても、野生状態での放牧であり、その所有権はいい加減なものだという説もあり、自分の馬かどうか1頭1頭確認するなんてとんでもない!というわけ。

行政側は、この管理方法には大きな利点があると主張しています。それは、野生馬の頭数を把握することが、彼らの健康状態の管理につながり、野生馬の闇売買や山火事や車などとの接触事故などによる被害を減らす効果にもつながるというものです。

しかし実際のところは、保護団体からの圧力による管理方法の変更だとみられています。祭りの主催者側は、祭りを行わないことでこの通達に反対の姿勢を示したところもあれば、「これは伝統だから」と強硬突破したところもあるようです。

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スペイン馬レスリング祭りのパレード

祭りの参加者たちは、山中に群れごとに散らばる馬たちを5月から8月頃の間に少しずつ集めていきます。ある者は馬に乗って、ある者は歩いて、またある者は車やバイクなどを使うこともあるようです。

そして、大きな大群となった馬たちとそこにポツンと交わる人とがゾロゾロウジャウジャと馬の囲い場へと入ってくる、その様子がパレードに近いでしょう。

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スペイン馬レスリング祭りのイベント

もちろん、囲い場の中で繰り広げられる馬と人、時には興奮しきった馬同士、人同士の戦いの様子こそがイベントそのものです。

通常イメージされる大人しく人を乗せて走る馬の存在のほうが、実は不自然だったのでは? と思ってしまうほど、馬は全身全霊で拒絶反応を示します。いうならば、ロデオ会場一杯にあふれる荒馬に対して、数人から数十人の素手の人が立ち向かっているといった感じ。

馬の首や背にしがみつく人、大きな歯をむき出しにしていななく馬、数人がかりで1頭の馬を押さえつける人たち、無我夢中で場内を駆け回り、ぶつかるありとあらゆるものを蹴散らしていく馬たち、また、馬にけられて倒れる人、それを引きずって場外へと運び出す人、馬同士の激しいパンチや蹴りの戦いも起こります。

もう、大混乱。でも、観客からすると、大歓声と大笑いのイベントでもあるのです。

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参加できること

参加できるのは、村人・町人であり、馬を所有する人たち。フラリと立ち寄った旅人はその様子を見ることだけが許されます。

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一番の見どころ

興奮のるつぼと化す囲い場内の全てが見どころです。

鞍をつけない裸馬に普段着で乗っている参加者たちのその姿だけでも普段なら「おお~」と感嘆の声を上げる対象ですが、目や歯を剥いて怒りまくる馬の首根っこにしがみつき、地面に押し倒そうとしている泥んこの飼い主たちの死にものぐるいの形相も見どころ。普段はお目にかかることのない、恐ろしい形相の馬たちだって見どころ。

大混乱ぶりそのものが見どころ以外のなにものでもありません。

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まとめとして

日本にも野生馬はいますが、保護される対象であり、乱暴に扱われることは決してないはず。ましてや、捕まえてホールドしてフォールして毛刈りをして焼き印をいれるなんてことをすれば犯罪者でしょう。

それ以外で見かける馬は、動物園か乗馬クラブか観光農場か競馬場。どの馬も人を乗せることに慣らされた家畜馬です。

馬の毛刈り祭りでは、馬が、たとえば野生のシカやサルのように、人に懐くことも馴染むこともなく存在している場所が今もあるという事実に新鮮な驚きを感じることができます。そして、スペインの人々が、伝統的に野生馬を飼いならしては、作業を手伝わせ、交通・運搬手段とし、曲芸仲間にさえしてきた、その原型もそこに見ることができます。

実生活における馬の必要性は昔に比べれば薄れてきていますが、それでも、彼らにとって馬は生活の一部であり、馬の毛刈り祭りは大切なイベント。その方法に見直すべき点はあるとしても、今後も継承されていくことが、この祭りで見かける全身にプライドをみなぎらせた野生馬という存在の存続にもつながっていくのではないでしょうか。

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