歴史が層を成し混じり合う古代都市~ダマスカスを歩いてみた

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いつか必ず行きたい! 歴史が層を成し混じり合う古代都市~ダマスカス「Damascus」/シリア

いつ終わるともしれない内戦が続き、観光客の足も遠のいているダマスカス。とても旅ができるような場所ではないと決めつけられがちだが、少し前までは中東の中でも安定した美しく優しい土地だった。

現在、その地上には戦士、空には戦闘機が行き交うばかりではあるが、その地下5mには紀元前15世紀以前から人が定住生活を営んできた跡、ローマやオスマントルコによる支配の跡、そしてダマスカスが繁栄してきた跡が層になって埋もれている。

シリアという国、ダマスカスという都市が、内戦や対立だけの土地ではなく、世界を旅する人々が惚れこむだけの優しさや歴史を持つ土地であることを忘れずに、「いつか」が来るまで憶えておきたい。

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迷路のような旧市街地

旧市街地は歴史的価値が認められて世界遺産に登録されていた。しかし、現在は内乱の影響から危機遺産となっている。

世界でも最古といわれるダマスカスの旧市街地は、敵の侵入を防ぐ意味もあって、クネクネと曲がって入り組んだ迷路と格子に覆われた安全地帯、大小のスークやモスクがゴチャゴチャに入り混じっている。

街歩きの楽しさという点では満点。特に、古い歴史ある建造物が過剰な修復や華美な装飾が施されることなく、そのままの姿で街に溶け込んでいるところが素晴らしい。

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ローマ時代の名残りである「城壁と城門」

古くは街の中心がグルリと城壁に囲まれていたが、現存しているのは北と東、そして南の一部だ。また、城壁の外と内とを結ぶ城門も7つが現存している。

ローマ時代以前からダマスカスは繁栄していたが、その遺跡や遺構の多くは現在の都市の地下にあって目にすることができない。この城壁と城門の一部はローマ時代の名残である。

東の城壁にある門「Bab Sharqi」はローマ時代に建てられたとされる。また、その南隣にあたる「Bab Kisan」は聖パウロにまつわる伝説を残す城門で、カゴに入った聖パウロがこの城壁からつり下げられて脱出に成功したという。現在、城門は閉じ、「聖パウロ教会」となっている。

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古さも大きさも世界超級「ウマイヤド・モスク」

8世紀の初めに建てられた世界最古、世界最大規模のモスク。イスラム教徒にとっては4大聖地の一つだ。ローマ様式の聖ヨハネの教会堂を取り壊し組み直し、かなりの建材が転用されたという。

巡礼者の姿が多いものの、雰囲気は博物館のよう。団体で聖職者の説明に耳を傾けながら見学しているアバヤ姿の女性たちもいれば、中庭の木陰で家族揃って昼寝している姿もある。

見どころはいくつもあるが、まずは中庭から見る建物のモザイクだろう。緻密な柄ではないが壁画としての価値がある。宝物庫は信者や関係のあった各国の王たちから寄贈された財宝が納められているほか、礼拝堂には洗礼者ヨハネの墓がある。

また、実際に目にすることができないだけでなく、その真偽のほども確かではないが、この墓の中には洗礼者ヨハネの首が納められているという説もある。イスラムモスク内にキリスト教聖人の墓があるという不思議さもダマスカスだと当たり前のように思えるから、さらに不思議だ。

誰でも入場は可能だが、女性はベールの着用が義務。また、祈りの時間帯やその時勢によっては入場制限が行われることも少なくない。

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パウロの回心の舞台「バーブ・シャルキー通り」

使徒行伝における聖パウロの改宗で登場するダマスカスのメインストリートの一つで、ローマ時代の計画道路ヴィア・レクタの名残。

道の中ほどには「ローマ記念門」があり、その両側がイスラム地区とキリスト地区に分かれている。その違いは、道を歩いていくと実際にそこを歩く女性たちの服装の違いで感じ取ることができる。

通りにある「アナニアス・チャペル」はアナニアス家の地下貯蔵庫だったもので、古くかび臭いもののなぜか落ち着く雰囲気のある教会として人気だ。

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2つのスークは担当制

ダマスカスの旧市街地には2つの大きなスークがある。一つは新市街と旧市街のつなぎ目のような場所にある市場「スーク・ハミディーエ」で、600m以上の長い屋根つきアーケードを持つ。

生活感あふれるスークであると同時に、お土産に最適なグッズや怪しげな骨とう品までが、軒を並べる店からはみ出すようにして手招きしている。

もう一つは、スパイス・スークとも呼ばれる「スーク・ミドハド・パシャ」。見た目にも鮮やかなスパイスショップが並んでいる。

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ユピテル神殿跡

スーク・ハミディーエのすぐ隣には、不思議なことにローマン神殿の跡が残されている。さらに少し進めばモスクだ。

日本人からみれば、モスクもローマ神殿も「古代遺跡」であり、スークも加えれば「観光名所」で一括りかもしれない。しかし、文化も年代も全く違うものが仲良く並んでいる様子は、その歴史的背景を思い返すと不思議な光景だ。

ユピテルを祀るこの神殿の跡は、柱とアーチ、門がいまにも崩れそうな危うい姿で立っている。

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国立博物館

シリアで一番といわれる博物館。ダマスカスの歴史はそのほとんどが掘り起こされることなく地下に眠っているともいわれるが、掘り出されたり保存されたりした一部の考古学的遺産はここに収められている。

規模も大きく、ガラスケースの中に物が並べられているだけでなく、遺跡の復元などもあって飽きない作りだ。

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アゼム宮殿

18世紀の統治者アゼムの邸宅跡だが、博物館として一般公開されている。主に工芸品や装飾品が展示されている。

また、建物そのものも規模はそれほど大きくないが、シンプルながら美しいモザイクが施されているため、訪れてみると意外な掘り出し物に出会えたような、得した気分を味わえるスポットだ。

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サラーフッディーンの廟

サラーフッディーンは、十字軍を破ってエルサレムを奪回した業績をもつアラブの英雄で、サラディンともよばれる人物。彼の治世、ダマスカスは「乱されることなく学問できる都市」として多くの学者や若者たちを集めたという。

サラーフッディーンは、エジプト・アイユーブ朝の始祖だが、その霊廟はダマスカスにある。

この霊廟での目玉はドイツ皇帝ヴィルヘルム2世から贈られた墓碑。ドイツ帝国とオスマン帝国のつながりの深さを示す石碑と金属製の花輪が贈られたが、花輪は後にアラビアのロレンスによって持ち去られたといわれている。

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マルジェ広場

近世に入った19世紀後半、街の繁栄は旧市街郊外にも広がり、もとはバラダ川沿いの牧草地(マルジェ)だった場所に行政や商業の中心が移った。

これが現在のダマスカスの中心となるマルジェ広場の誕生につながっている。

旅人の多くが宿泊してきたホテル、地方へのバス、隣国への鉄道の出る駅、公共施設などがマルジェ広場の周囲に集中している。新市街ではあるが、観光の目玉となる旧市街への足の便もいい。

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カインがアベルを殺害した「カシオン山」

旧約聖書でカインとアベルの最初の殺人が行われた土地とされている。現地では「ジャバル・カシオン」と呼ばれる。

市街地からは車で20分ほど。現在は街を見下ろすビューポイントとしても有名だ。特に夜には多くのミナレットが立つ街の灯りの美しさに惹かれて訪れる人が多い。

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最後に

ご紹介した遺跡や建造物の中には、現在進行形の内戦のために破壊されたり放置されているものもあるだろう。

しかし、ダマスカスはこれまでも多くの文化や民族が対立や闘いを繰り返し、その街は破壊されてきたものの、そのたびに復活を遂げてきた。優しくも忍耐強いダマスカスの人々と、彼らを愛しダマスカスを愛する旅人がいる限り、ダマスカスはまた元の姿を取り戻すと信じたい。

そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか? あなたの旅の話を聞かせてください。

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