洗濯機があっても、乾燥機がついていても、南向きのベランダがあったとしても、時には利用したいクリーニング。旅先でせっせと手洗いしていても、たまにはきっちりグルングルンと洗濯機で洗ってほしくて利用する洗濯屋。
日本でなら勝負服や大物のケア、季節の変わり目にはクリーニング店やコインランドリーへと一抱え以上の衣類を持ち込みます。洗濯事情は国にもよりますが、海外にはキロ単位で丸洗いしてくれて格安! なローカル洗濯屋もあれば、日本と同様ランドリーコーナーを使うこともあります。
そんなクリーニング店&洗濯屋、海外に日本人経営ショップがあるとしたら、どんな可能性が広がるでしょうか。
ドライクリーニングが好きなお国柄
日本では、制服やスーツなどは定期的にクリーニング。それらに伴うシャツ類はクリーニング派と家庭洗濯派に分かれそうです。日常的な衣類の場合、下着や普段着は家庭洗濯ですが、ちょっとしたお洒落着や革製品・ウールなどの多くはクリーニングに出すのではないでしょうか。
そんな日本のごく普通も必ずしも海外には通じないこともあります。
ヨーロッパでは全般的に洗濯回数が少なくなります。気候が乾燥していることとか、肌も乾燥していることとか、ニオイに対する考え方の違いとか、生地が洗濯に耐えられないとか、色落ちするとか、洗濯洗剤が発達していないとか、外干しが格好悪いとか、室内干しも格好悪いとか…いろいろな理由があります。さらには、下着でさえも必ずしも毎日交換して洗うものではないという事実があります。「ニオイ」こそがセックスアピールなのに、なぜそれを消すんだ! というわけ。日本人にどの程度理解できるでしょうか。
これらの多くの理由が混ざり合い、洗濯は必要に迫られた時にだけするものとしてとらえられている傾向があります。その代わり、ドライクリーニングは定期的に利用します。季節ごとにドライクリーニングに出して洗うのが、唯一の「洗う」行為である場合も。
また、衣類の保有数も、日本人平均に比べてかなり少ないといわれるヨーロッパ諸国のオシャレ事情。大切な衣類を傷めないという点では、洗濯を最小限にして、必要な時だけドライクリーニングという方法は正しいのかも?
ざぶざぶ水洗いが好きなお国柄と洗濯をしないお国柄
暑くて湿気の多いアジアでは、とにかくざぶざぶと水洗いするのが大好きです。川と川の石で、タライと洗濯板で、洗濯機でと、その地域の文明進化度によって道具や方法は違っても、水の中にザンブと漬け込んでゴシゴシと洗い、ギュギューっと絞って干す。この水洗いの原則をこよなく愛しているのが東南アジア民族だと思います。
日本人もお仲間ですね。水洗いして汚れもニオイもなくなった洗濯物を、お日様と風で乾かすくらい気持ちのよいものはありません。
ただ、日本では当たり前の一家に一台の洗濯機が、先に書いたように、後進国では当たり前ではありません。そこで登場するのが洗濯屋さん。村に1件とか街に数件といった感じで経営していて、人々は川やタライの水では手洗いしきれないものを持ち込んで洗ってもらったり、洗濯機を借りるコインランドリーとして利用したりしています。
暑くてジメつくアジアに対して、暑かったり寒かったりしつつも常にカラカラに乾燥しているアジアもあります。また、水が極端に貴重品な地域もありますね。そこでは、水洗いの洗濯はとんでもない作業です。そのため、衣類を洗うという習慣そのものがないことも。だからといって1日1枚を使い捨てしているわけではなく、擦り切れて破れてもつぎはいでずっと着続けるのです。
ちょっと、日本人として日本で育ってしまうと信じられず、受け入れることも難しいのですが、そんな地域では汗もかかず(かいても感じず)、体を洗う習慣さえもなかったりします。洋服は体を守るものだったり、飾るものだったりしますが、そこに清潔度や快適さを求める日本人、またはヨーロッパ人とは感覚が異なるのでしょう。
ただ、そんな乾いたアジアでも、大きな街には洗濯屋ができつつあり、クリーニング屋も存在するようになりました。外国人滞在客が利用するだけでなく、衣類を頻繁に洗うことに目覚めた住民もいるのです。
日本人が経営することの意味
ヨーロッパやアメリカには、すでにクリーニング店があります。新規参入するには、それなりの工夫やパワーがなければ成り立ちません。
例えば、価格。例えば、技術。例えば、サービス。
日本ではシャツ1枚が格安で100円程度からクリーニングできます。洗濯はクリーニング店のサービスの一つとしては存在していても、それだけを専門にする洗濯屋はあまりなく、コインランドリーを利用します。これだと、5㎏から20㎏といった少量から多量まで洗えて300円から800円程度でしょう。乾燥もkgによって違ってきますが10分100円くらい。
実はこれ、先進国内ではかなり安い設定といえます。
さらにクリーンニング技術に問題なし。スキーウェアや登山用品なら撥水加工をして、大事なドレスはパール仕上げを、モヘアやウールの毛玉も取ってもらえます。染み抜きもできれば、普通のクリーニングでもかなりすっきりと清潔な仕上がりです。さらには、ドライクリーニングのワンランク上のケアとしてウェットクリーニングもでき、水洗いとクリーニングのオイシイところを両方どりできます。
海外のクリーニング店にここまで細かいオプションはまずありません。
サービス面でもみても、スタンプや会員カード登録でも割引の数々、宅配や配達の利用。即日仕上げもできます。洗いあがりに不満があれば、もう一度洗ってくれるサービスもあると聞きます。まさしく、至れり尽くせりで痒いところに手が届くサービスです。
これらのノウハウを料金設定とおもに、日本から海外へと持ち出すことができれば、日本人が日系洗濯・クリーニング店を出店し、経営していく意義は大いにありそうです。
というか、そんなクリーニング店、ほしい!
PR広告
誰に利用してもらうのか?
現地在住日本人の中には「日本並みのクリーニング店が欲しい!」という声があります。また、洗濯機事情から、少量の水でちょぼちょぼっと洗うドラム式でなく、水槽式でしっかり水洗いしたいという要望も。
そんな現地在住日本人や日系人が固まって住んでいれば、これらの潜在顧客のニーズにこたえることも可能かもしれませんが、多くの地域で日本人は散らばって暮らしています。そのため、日本人だけに的を絞り込むと、経営が成り立たない恐れがあります。
特定の範囲の人だけでなく、その地域の人がみんな使えるような店をオープンする必要があるでしょう。
どんな可能性があるのか?
全米には、各都市にショッピングセンターがあり、住民たちの要望に応えています。この中に、日系のクリーニングサービスがあると在住者としては使いやすそうです。また、海外ではなかなかない、クリーニングの配達集配のサービスを行うかどうかでも、ビジネスとしての可能性は変わってきそうです。
うまく住民の「安くキレイに気持ちよく」という希望を叶える店をショッピングセンター内にオープンできれば、アメリカ中のショッピングセンターに支店として出店できるよう、発展していくことも夢ではないかもしれません。
まとめとして
ショッピングセンター内にたくさんの支店を持てるほどに成功すれば、収入はかなりのものになりそうですが、既にクリーニング工場を持つ会社のフランチャイズという簡単経営が海外では難しいため、すべて一から自分で創り上げていくことになります。
ノマドをしながら稼ぐ手段としては、ローカル洗濯屋やクリーニング店と日本人在住者や旅人の洗濯物とを結ぶ役目を担う…そんな営業サービスマン的な活動でお小遣い稼ぎができそうな気はします。