異なる言葉が存在する限り、日本でも海外でも必需職業である翻訳業。
翻訳業につくことのメリットやデメリットについてまとめてみました。
翻訳業ってどんな仕事?
異言語を訳すのがその仕事内容ですが、訳す内容はさまざまです。
身近なところでは、小説などの書籍の翻訳が頭に浮かぶかもしれません。また、企業内の契約書や書類などの翻訳も多くあります。
そのほかにも、ネットなどの海外ニュースをいち早く翻訳して世界各地に流す翻訳業者もいます。さまざまな現地生産の製品を、輸出先の言語で説明するための翻訳もあります。
また、翻訳は双方向。例えば、日本語を英語にする必要もあれば、その逆に英語を日本語にする必要もあります。
翻訳業者は一方通行
翻訳で食べている人たちは、ある程度専門分野を持っています。翻訳は双方向だと紹介しましたが、多くの翻訳業者は双方向で働けるに十分な言語能力は持っていますが、専門とするのは一方向であるのが通例です。それというのも、たとえ2か国語に秀でていたとしても、文章力や表現力も両言語に備わっているとは限らないから。
日本人の場合、英語から日本語への翻訳業を営む人が多く、英語を母国語としつつ日本語を理解する人は、日本語を英語に翻訳する人のほうが多くなる傾向があります。
どんな翻訳業が狙い目か
どれほど優秀であっても、有名書籍の翻訳を請け負えるようになるには、経験やコネクションなど、さまざまな条件をクリアする必要があります。
企業内の翻訳の場合には、その企業の職種内容に通じている必要もあります。医療関連などであれば、それなりの専門用語はもちろん、かなりの業種的な知識を要求されるのは当然です。
そこで、新規に翻訳業を始めようとするときに狙うのが、2つのポイント。1つは、数あるニュースなどの即時翻訳を請け負うこと、もう1つが、より狭い専門分野の翻訳を請け負うことです。
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ニュースなどの即時翻訳とは
配信されているネットニュースは、大手だけでも何十件以上。小規模なものや個人的なものも加えれば、とても数えきれません。
ネットニュースは、その内容がヒットすれば、「見つけた私がみんなに知らせなくちゃ」とボランティア精神をたぎらせる読者が無料で翻訳して流しますが、それ以外のものは、現地語だけで流れてそのまま消えていきます。
でも、ニュースの配信先としては、そのニュースのページを多くの人に回覧してもらうことが必要であり、たとえば日本で海外ニュースを紹介するサイトを運営していれば、そんなほかのサイトが紹介しないような「変わり種ニュース」を紹介することも一つの回覧者集めの方法です。
そこで、雇われるのが即時ニュース翻訳者なのです。
ネットニュースとはいっても、著作権があるため、許可なくまるごと翻訳するわけにはいきません。意訳し、ほかのニュースと比較したり個人や一般の見解などを含めるなどの構成する必要性もあります。
1つの海外サイトニュースを日本のニュースサイトに載せられる形に翻訳・意訳するには、言語能力や表現力以外にそれなりの時間が必要です。でも、1件当たりのライティング料金は安く、かなりの数をこなさなければまとまった収入にはなりません。
この手の仕事は、海外ニュース以外に、海外ブログなども含めた翻訳業として募集がかかっていることがあります。単価は安いのですが、何しろ募集されている数も多いので、コツをつかんで多数の翻訳・意訳が可能であれば、それなりに仕事として成り立たないでもありません。
狭い専門分野の翻訳とは
では、もう一つの狭い専門分野の翻訳はどんな翻訳なのでしょうか。
自動車産業や建設業、医療など、大規模な産業の翻訳は、それなりの専門翻訳家がすでにいます。そこに参加して、単価の良い仕事をもらうのは至難の業。これらの大手専門産業で翻訳を行うのは、その専門業種に実際に勤めた経験がある人が多く、企業内に専門の翻訳部署を持つ会社も少なくありません。
また、個人レベルで大手産業の翻訳の仕事を受ける場合にも、実際に仕事を受ける人や事務所の下に、子請けや孫請けまでいる場合もあります。子や孫はそうやって、専門知識や翻訳技術を高めていくわけです。
でも、業種によっては非常に小さく狭い専門分野を持つものもあります。以前見かけたものでは、貝殻ボタンの輸出を行う海外企業が、日本向け製品説明書の翻訳者を求める広告がありました。
ネットが発達した現在、海外拠点というか、海外の現地であっても非常に小さなビジネスしか行っていないような規模の会社であっても、世界規模で営業活動を行いやすくなっています。そこで唯一ネックになるのが、言語なのです。
この手の翻訳は、相手企業が翻訳外注の経験が少ないこともあり、条件や内容が確定していません。それだけ、現地の言葉を使って話し合いが必要になりますが同時に、融通も効かせやすくなるという面があります。そして、単価はまずまずといったところ。
また、たとえ小さく狭い分野であっても、専門分野の知識を得ることにつながり、翻訳業としての経験値上げにもつながります。
翻訳業にもとめられるもの
もちろん言語能力。これは必須中の必須です。ただし、必ずしも会話能力は大きく問われない場合があるのが特徴でしょう。正しく読み取って正しく書けること。これが何より大切です。
そしてそこに加えて、相手が求めるスタイルの分かりやすい表現で文章をつづれることも大切です。
納期を守ること、修正対応に柔軟に応えられること、相手先との間に良いコミュニケーションを構築できることといった、条件も必要です。
翻訳業というと、人に会うことがなく自宅や事務所でコツコツと一人で作業しているイメージかもしれませんが、確かに室内のパソコン前にいる時間は長いかもしれませんが、実際には、相手先とのメールや電話でのマメなやりとりがあります。
まとめとして
翻訳版のネットサイトを見て、「何、この日本語⁉」と笑ったり、輸入製品を購入した時についてきた説明書の日本語のナンチャッテぶりに呆れた経験がないでしょうか? また、日本語そのものは間違っていないものの、なんだか硬すぎたり、脈絡がなかったりといった文章を見かけることもあります。
これらは、言語能力よりも、表現力の問題。「とりあえず日本語にして、意味さえ伝わればいい」というレベルの翻訳では、製品の価値も下がってしまいますね。
これから翻訳業を目指すなら、語学力は当たり前。そこに、コミュニケーション能力(営業力)をプラスし、さらに表現力・文章力を磨いておきましょう。翻訳とは、ただ言語を変換するだけの作業ではありません。翻訳語の文章が、誰が見ても読んでも、正しく読みやすく分かりやすくあることが大切なのです。