サーファーが大会優勝より優先した事とは?「マーティン・パセリ」の感動秘話

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サーファーが大会優勝より優先したこと

「マーティン・パセリ」。この名前は、サーファーたちの間ではかなり有名です。過去には5回の優勝経験があり、世界大会でも優勝候補として名があがる存在です。

ところが満を持して臨んだはずの2015年の世界大会で、彼は失格になってしまいました。それは、彼が一人の男性と出会い、彼と1枚のサーフボードをシェアして一緒に大会に出場したことがルール違反となったためでした。

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失格者は珍しくないけれど

2015年の5月に開催された国際アルゼンチンサーフィン大会は、いつもとは違った盛り上がり方で幕を閉じました。それというのも、優勝候補の一人だった選手が早々に失格となってしまったこと、その理由があまりに感動的だったことが原因です。

マーティン・パセリは、選手たちに与えられる何回かのチャンスのうちの1回を、それがルール違反であり、自分が大会優勝どころか失格となってしまうことを承知の上で、一人の男性とタンデムサーフィンを行ったのです。

サーフィン大会では、違反行為などから失格者が出ること自体は珍しくありません。でも、その理由が二人乗りをしたからというのは、ひょっとしたら初めてだったのではないでしょうか。

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20年来の夢を胸に大会を見つめていた男との出会い

マーティン・パセリが世界大会の会場となった海岸で一人の男性と出会います。彼、ニコラス・ガレゴスは車いすに乗っていました。18歳の時に事故に遭い、下半身が不自由になってしまったニコラス・ガレゴスですが、サーフィンへの情熱も、いつか世界大会に出場するようなプロのサーファーになることも、諦めてはいませんでした。

そんな彼との出会いが、マーティン・パセリの目標を変えました。

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大会優勝を捨てて選んだのは

大会開催真っ最中の波の中、マーティン・パセリの華麗なるサーフィンを待っていた観客も審査員もびっくり。波間に現れた彼のボードの上にはもう一人の男の姿があったのです。

マーティン・パセリとニコラス・ガレゴスは二人でパドリングして波に乗り、ボードの前に乗ったマーティンがその背中にニコラスを背負う形でボードの上に立ち上りました。

実際にボードの上に立ち、波に乗っていた時間はわずかでしたが、ニコラス・ガレゴスは間違いなく彼の夢だったプロサーファーたちの祭典、世界大会の波に乗ったのです。

マーティン・パセリは、ニコラス・ガレゴスの夢を叶えるため、自分自身の大会優勝も入賞も、そして順調に積み上げていくはずのキャリアも捨てて、二人乗りサーフィンを選択しました。

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失格理由が感動を呼ぶ

こうして、失格となったマーティン・パセリ。でも、彼自身は最初から失格となるのを承知の上で行動しています。彼の仲間もまた、下半身が不自由なニコラス・ガレゴスをサポートするため一緒に波に入っています。当然、マーティン・パセリが何を諦め、何を選んだかを知っていて、みんながそれを受け入れています。

ところが驚いたのは、彼を応援する人々、見守る審査員たちでした。でも、その驚きは、すぐに大きな感動に変わります。

マーティン・パセリとニコラス・ガルゴスのタンデムサーフィンは、大会を取材に来ていたマスコミに大きく取り上げられました。マーティン・パセリが失格を承知で行ったタンデムサーフィンに隠されたストーリーを知った人たちはみんなその行動に惜しみない拍手を送ったのです。

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これは負けじゃない! 最高の勝利なんだ

みんなに褒められ認められたところで、世界大会を失格になったことは取り消されません。優勝したかもしれない、入賞できたかもしれない彼のキャリアに瑕がついたのも確かです。

でもマーティン・パセリは言っています。「僕は負けてなんかいないさ! あれは最高の波だったし、人生最高の勝利なんだ」。

マーティン・パセリは、最初からマスコミや観客たちがこれほど自分の行動に興味を持ち、賞賛の対象とするだろうと考えたわけではありません。自分のキャリアにつくかもしれない瑕に対する不安をぬぐいきれない中、それでも、同じようにサーフィンを愛してやまない男性の夢を叶えられるのが自分しかいないという想いに突き動かされての行動だったはずです。

でも、結果としては本人たちも周囲さえも大満足だったようです。

プロサーファーにはスポンサーが付いていることが多いのですが、マーティン・パセリの場合も例外ではありません。彼が大きな大会に出場し、入賞すること、優勝することが、スポンサーの宣伝につながります。この大会では失格という一見マイナス材料に見える結果とはなりましたが、彼のこの感動を呼ぶ「美談」は、スポンサーの機嫌をとるに十分だったことでしょう。

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まとめとして

マーティン・パセリの行為は「自己犠牲」といってもいいでしょう。自分に見返りがないどころか、マイナスになることを承知の上で、知り合ったばかりの男の夢を叶えることを決意したのです。この彼の無償の行動こそが、それを知った人々の感動を呼び寄せました。

結果としては、彼の行動によって大会は失格となりましたが、それでも彼の個人的評価はアップしています。そして、その効果は彼自身が最初から期待していたものではないところも、この話が美談となった理由です。

アップされている動画では、4本の腕が懸命にパドリングし、立ち上がるマーティン・パセリの肩に両腕を回し、背に上半身を預けながらも、不自由な脚で懸命にボードの上に立とうとするニコラス・ガルゴスの姿が映っています。タンデムサーフィンそのものはいつでもどこでもできます。でも、世界大会に出場したいという希望は簡単には叶いません。そう、マーティン・パセリが失格になってしまった後では夢はかなわないのです。だからこそ、失格になる前のたった1つの波1本のサーフィンだけが、彼にとって唯一の大会参加の夢を叶えるチャンスだったのです。

短い時間ではあっても、見事にボードの上に立って波に乗った二人。波に落ちたニコラス・ガレゴスを抱き上げるマーティン・パセリと友人たち。その姿は、とても失格者のものとは思えない喜びと感動とに包まれていました。

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