爪は切ったり磨いたりするだけでなく、美しく飾りつける「ネイル」へと進化しました。最近では、女性だけでなく、オシャレな男性にもネイルケアが必須事項になってきているそうです。
きれいなネイルアートを施すアーティスト。今や世界中で必要とされる職業になっています。そこで、ノマドネイルアーティストになるための情報をまとめてみました。
ネイルアーティストの資格~日本
日本にはJNA(日本ネイリスト協会)の認定するネイリスト検定1~3級などが存在しています。さらにはジェル検定というランクアップ検定もあり、多くのネイルアーティストたちが取得済みまたは、取得を目指しています。
でもこの資格、あくまでJNAが主催して行っているだけであり、国家資格などの公的ライセンスではありません。そう、資格を持っていなくてもネイルアーティストと名乗ることも、仕事をすることも可能なのです。
実際、個人でネイルアーティストとして活躍する人はこの資格を持っていない人も多いようです。ただ、名の知られたネイルサロンに就職する場合は、資格の有無も重要なポイントになるでしょう。
ネイルアーティストの資格~アメリカ
では目を海外に向けた場合どうでしょうか?
アメリカでは、州によって資格認定制度は異なるものの、ネイリスト(マニキュアリストと呼ぶ)は国家資格です。ライセンスを持っていないと職業とすることはできません。
ただ、アメリカ人以外にとってライセンス取得のための条件が厳しいのです。まず、就労可能なビザが必須。これ、アメリカの永住権を持っている、アメリカの会社に就職済みなどの条件を満たしていなければ、普通は取得できません。ネイルアーティストに限ると、大物女優が「ぜひ○○さんを専属に!」と後押ししてくれるくらいの実力があれば、可能性が出てくるかも、というレベルです。
または、現地のネイル関連の専門学校へ留学することで、学生ビザを取る、または職業訓練学校ビザを取り、学校のサポートを受けられればアメリカの社会保障番号を取得できることがあります。これがないとライセンス申請ができません。
ビザと社会保障番号を手に入れたら、ようやくテスト。もちろん英語で、実技もきっちりとあります。その後は2~3年ごとに更新していけばOK。
すでにアメリカ人と結婚している、ラッキーにもグリーンカードの抽選に当たって移住済みといった人でないと、簡単には取得できそうにありません。
ネイルアーティストの資格~西洋諸国
アメリカ以外の多くの西洋諸国でも、ネイルアーティストは資格が必要です。でも、アメリカと違ってワーキングホリデービザという手軽でお得なビザが存在している点が違います。
このビザを取得できる年齢と運があれば、このビザが与えてくれる数カ月から数年の滞在期間を使って、資格を正規に取得することが可能です。
ただし、ヨーロッパ系の国では、資格取得後に就労ビザを取るのが一苦労。これはどこの国でもどんな職業でも同じ悩みの種と言えます。
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ネイルアーティストの資格~アジア
その昔、日本人のネイルアーティストたちが箔をつけるために、まだ資格規制の緩かった時代のアメリカやヨーロッパなどで修業をしたり資格を取得したりして、日本でよりハイレベルなアーティストとして活躍することがありました。
アメリカなどと日本の間に起きていたこの現象が、今は日本とアジア各国の間で起きています。そう、アジアの国々でネイルアーティストとして働きたい人や働いている人が、より高い技術を身につけるため、時には箔をつけるために、日本で経験を積んだり、資格を取ったりしているのです。
ということは、アジア圏では日本の資格が水戸黄門の印籠のような働きをすることがあるわけです。
海外でネイルアーティストを目指すなら、アジアがおすすめ。中国や韓国、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシアなどなら、まだ資格が緩く、就労ビザも比較的取りやすい状況です。現地のネイルサロンにアドバイザー的な形で就職する前提でのビザサポートも得られるかもしれませんね。
男でもいいの?
以前、タイのショッピングセンターでネイルケアをしてもらったことがあります。ずらりと並んだ女性たち。英語の通じる人をとリクエストしたところ、裏から現れたのは背が高く超美人な「オカマ」さんでした。
また、中国・深センで「超スピードで超キレイに仕上げてくれるネイリストがいる」と聞いて、取材を兼ねて出かけたことがあります。友人に名刺をもらって訪ねていったのですが、そのネイリストが男性それも中年の…とはその時まで想像すらしていませんでした。
そう、日本だとごく一部を除いてネイリストは女性のイメージですが、海外に出ると男性もそれなりにいます。特に技術的な問題は感じません。それどころか、男性でネイリストとして働けるということは、技術的に優れているという証明のような気もします。そんな背景があるので、これから海外でネイリストを目指すという男性は、「できそう」なイメージを持ってもらえて、就職には優位かもしれません。
海外でネイルアーティストとして活躍するコツ
「日本人であること」を適度に宣伝文句にするのがコツでしょう。もちろん、丁寧で繊細なテクニックを駆使できそう…なイメージと、その期待に応えられる技術を磨いておく必要があります。
在住日本人を味方につけるのもいいでしょう。腕が確かであれば、日本人であることがプラスに働いて、現地のサロンで働いたり、現地の人相手に個人で働くよりも、多少高めの料金設定が可能です。また、彼女たちの口コミ効果はバカできません。
その上で、アジア圏なら、名の知れたサロンと専属でなくても、週に何回か指名を受けて入るとか、現地のネイリストの教育を行うといった活動で、現地のネイリスト社会とのコネクションを作っていくことも、長い目でみると、自分のネイリストとしてのステイタスのアップと顧客獲得に役立つはずです。
ネイルアーティストの収入
日本でネイルサロンを利用すれば、最低でも3000円程度の支払いとなります。担当するネイリストや、使用する材料やデザインによっては、10000円近くすることもあります。
名前の売れぐらいによる部分が大きいネイリストの収入ですが、アジア圏で活躍するとなると、どうしても単価は日本や西洋諸国に比べて下がってしまいます。
定期的にリピートしてくれる顧客の確保、ネイリストの講師としての収入など、ネイリストとしての活動の幅を広げることで、ある程度の収入アップは図れますが、これだけで生活のすべてをまかなっていくのは簡単ではありません。
まとめとして
あくまで、ノマド中のお小遣い稼ぎだと考えれば、特にアジア圏であればノマドネイルアーティストになることも可能でしょう。すでに経験や技術がありさえすれば、比較的手軽に職場や客を見つけることができるからです。
世界各地で、現地の人の髪の毛を切って旅をしている人がいましたが、世界中の人の爪をキレイにしながら旅をするノマド。街角で、お手頃価格でサササっと魔法のように爪を変身させてくれる日本人に、いつか出会える、そんな日がくるかもしれませんね。