小児がんと親子の絆~親子の坊主頭を競うコンテストに思う事

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ba1おそろいなら怖くない! 親子の坊主頭を競うコンテスト

坊主頭のコンテスト。坊主頭の形の美しさを競うわけでも、剃り残しのないツルツル加減を競うわけでもありません。

このコンテストに出場するのは父と子のペア。子どもたちはみな、小児がん治療の副作用から髪の毛を失ってしまった子どもたちです。コンテストは、彼らを励まし、小児がんのための基金を集めるためのチャリティとして開催されます。

今年(2016年)のコンテストでは、心が温まりつつも痛みも感じさせる一人の父が行った子どものための行動が反響を呼んでいます。

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#BestBaldDad 「ベスト坊主パパ」コンテスト

SNSを利用してエントリーを受け付けたコンテストには55組の父と子の写真が集まりました。もちろんみんな頭はキレイに丸坊主。

その中で優勝したのが、髪の毛を失っただけでなく、大きな手術跡が頭に残った少年とその父親のペアでした。何が決めになったかって、それは「傷跡」です。

少年は、手術によって頭にできた大きな腫瘍の大部分を取り去ることができましたが、そのかわりに右頭部、耳の上の部分に大きな傷跡が残ってしまいました。それを鏡で見た少年は「まるでモンスターだ…」とショックを受けてしまいました。髪の毛を失った坊主頭だけでなく、その傷跡に対して向けられる周囲の視線を気にする少年に、父が一大決心をしました。

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「お揃いだね、双子みたい」

父親が決意を持って訪ねたのはタトゥーショップ。そこで、息子とそっくりの傷跡を頭の同じ場所にタトゥーでいれたのです。

これを見た少年は、「うわ! お揃いだね。双子みたいだ」と大喜びしたといいます。パパの献身的な行動が息子の心を救い、さらにコンテストでの優勝をさらい、最終的には、その話題性で小児がんチャリティの広報活動にも一躍かう結果となりました。

「僕ってモンスターみたい?」と落ち込みの原因になっていた少年の傷跡は、父親の行動によって、「パパとお揃いのタトゥー」としてCoolなものに大進化を遂げたのです。

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父親として素晴らしい行動だ!

この父と子のコンテスト優勝写真とその逸話に対しては、「父親として素晴らしいことをした」と賛美の言葉が多く寄せられています。実際に、息子である少年は父親の行動によって励まされ、勇気を受け取ったことでしょう。

子どもが髪の毛を失った時、男である父親が坊主頭でお揃いに見せることは、比較的容易なサポート行動です。でも、傷跡に対するタトゥーというお揃い行動は、それが男性であっても容易ではないはずです。それでもなお、タトゥーでお揃いの傷跡をいれることを決意した裏には、それだけ少年の悩みが深刻だったという事情があるのかもしれません。

誰もがマネをできることではないだけに、賞賛の声も上がっていますが、同時に、親として「自分にもできるか」、子どもとして「自分の親はやってくれるか」と考えた時にはちょっと戸惑ってしまいそうです。

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優勝のためでなく、小児がんのサポートのために

少年の父は、コンテスト優勝を受けてコメントを発表しています。それによると、「コンテストは優勝することに意味があるんじゃない」「小児がんと闘う仲間をサポートするためだ」とのこと。

彼のタトゥーが注目を受けたことで、このコンテストも世界各地から注目を受けることになりました。彼がコンテストに出場した目的はしっかりと果たされたのです。もちろん、息子の笑顔も手に入れました。

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医療用ウィッグがなしでいられる社会を

小児がんに限らず、抜け毛に悩む人は少なくありません。これが、男性であればまだ世の中でそれほどの視線を受けることはないでしょう。でも、彼らの多くは医療用・ファッション用のウィッグを使って「変装」することで、社会生活に適応しています。そのための、ヘアドネーションが世界各地で進められてもいます。

ただ、今回のこの坊主頭コンテストは、あるがままを受け入れられる社会とやはりあるがままを受け入れる自分を確立することを目的としているように思えます。

現状では、資金や材料不足から、適当なウィッグを誰もが手に入れられるとは限りません。また、いくらウィッグを装着しても、外れてしまうこともあれば、外さざるを得ない状況に向き合うこともあり、髪の毛を失っていることを完全に隠し通すのは実際のところ難しい面があります。もし、社会と自分があるがままを受け入れることができたなら、ウィッグはあくまでファッションとして使用するにとどまり、隠すために「なければならない」ものではなくなるかもしれません。

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差別をなくす「理解」と「認識」

少年の頭と心の傷は、父親の機転と行動によって、ケアすることができました。でも、これはすべての親ができることではないでしょう。また、子どもが負う傷によっては、どうしても親がケアしきれないものもあります。

そんな時はどうしたらいいのでしょうか? 「理解」と「認識」。この二つがカギとなるのではないでしょうか?

小児がんの場合には、脱毛という症状や傷跡といった目に見える「違い」についての理解を広めること、そしてその「違い」が患者本人である子どもにもその親にも、さらにはそれを目にするだろう周囲の子どもや大人たちにも、同じように「病気によるものだ」と正しく認識されること。この二つがあれば、たとえば「そっくり」を作ってケアする必要はなくなるかもしれません。

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身近でないことにはピンとこない

誰でもそうですが、自分の身に降りかかってきたことか、自分のうかがい知らないどこかで起きていることかで、その理解も認識も度合が違ってきます。

ここで取り上げている小児がんも、自分やその身内に罹患した人がいれば、その辛さをより近く感じ取ることができ、彼らの悩みを深刻に受け取ることができるはずです。でも、その逆の場合には、「痛み」も「辛さ」も遠くの存在でピンときません。そこには悪意はありませんが、「無知」であることからくる無関心という状況が横たわっています。

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公表することで広がる「理解」と「認識」

そんな、関係者とそれ以外の人たちの間にある「ギャップ」を縮める役割を果たしているのが、多くのチャリティ団体によるイベントとそこに参加する関係者たちの存在です。

彼らの多くは、自分自身が小児がんによって受けた治療の傷跡や後遺症を公表しています。この坊主頭コンテストもそうです。

こうして誰もが小児がんの現実を目にすることができること、さらには話題を集めることで、より多くの人が「理解」を深めて、「認識」することを促し、それによって、小児がん患者をサポートするネットワークが強まり、彼らが社会の中にごく普通に適応しやすい環境作りにもつながっていきます。

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まとめとして

もし、自分の大切な人が髪の毛を失った時、自分もまたお揃いにすることで、その心を軽くすることができるのなら、喜んで坊主頭にするでしょう。それくらいはお安い御用です。でも、傷跡をタトゥーで作ることができるかとなると、やはり話は別です。

コンテストに参加した父親の場合には、子どもを励ましたいという気持ちに加えて、コンテストに参加して多くの人のために小児がんチャリティをサポートするという大きな目的がありました。これが、個人的に励ましたいという場合には、それはタトゥーが怖いからとか痛いからとかいう理由ではなく、そこまでやることに本当に意味があるのかという疑問をぬぐいきれません。

なぜなら、傷跡のタトゥーはできたとしても、小児がんという病気をかわりにすべて受け止めることは、結局どんなに望んでもできないのです。

父親がタトゥーを彫ってまで息子を慰めなければならない世界から、少年が傷跡を「モンスターみたい」と嘆かずにすむ世界へと変わっていく、そのきっかけとなるコンテストと優勝者の写真。そこには、今はまだ小児がん患者たちが十分に世の中で受け止められていないという事実が横たわっていました。

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神崎竜馬

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