旅先での出会い~少数民族 トラジャ族 の暮らしを体験!

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独特の死生観を持つトラジャ族が世に知られるようになったのは、20世紀に入ってからのことです。

未開の地に培われた不可思議な文化が、一時は一世を風靡する勢いで観光客たちを惹きよせました。しかし、観光客という現代の波を受け入れたことで、彼らの文化は今急速にその独自性を失いつつあります。

いくつかは既に失われ、そのほかも近く失われてしまうかもしれないトラジャ族の文化をご紹介します。

トラジャ族(Toraja)にはどこへ行けば会えるの?

赤道から南半球にぶら下がるようにして連なる島々で構成されるインドネシア。その中部にあたるスラウェシ島の西の山間地帯にトラジャ族は暮らしています。

彼らは長く外界と隔離された村で暮らしてきましたが、現在は街とつながる道や小規模ながら空港も持ちます。それというのも、20世紀後半にトラジャ族とその文化がインドネシア観光の目玉として大いにもてはやされたから。

その大ブームは去りましたが、現在、トラジャ族の村へのアクセスは悪くなく、比較的簡単に自力でもツアーでも到達が可能です。ただし、その昔訪れた人を驚かせたような独自の文化は薄れてきています。

トラジャ族(Toraja)はどんな生活をしているの?

有名な話として、トラジャ族は死体と暮らしている民族だといわれてきました。彼ら独自のアニミズム信仰を基盤とし、生と死を神聖化する伝承や伝統を持つトラジャ族。

生を祝い、生を過ごし、死を迎え、死後の世界へ旅立つ。これらはすべてつながっています。死後の弔いは彼らにとって非常に大切な行事であり、死者は死してもなお、弔いに必要とされる、家族の心の準備や葬儀の準備などができるまでの数カ月を、家族とともに生活しつづける習慣があります。ミイラ化した姿で食卓に座る家族の死体、ベッドの中で眠り続ける死体などが、当たり前のように存在しているのが、トラジャ族の生活だったのです。

また、彼らの暮らす家も独特です。トンコナンと呼ばれる家屋は、まるで船のような形の屋根を持つ高床式の建物で、それを建てるには一族郎党で力を合わせても数カ月かかるといわれています。豊かとはいいがたい村に、大きく、美しく芸術的な装飾を施したトンコナンが立ち並ぶ様は圧巻です。

トラジャ族には身分制度があり、それがトンコナンの大きさや建て方などにも影響を与えてきました。身分にそぐわない生活や行動が許されないように、身分にそぐわないトンコナンを建てて暮らすこともまた許されないことでした。

ところがこれらのタブーもまた、現代化の波を大きく被ったトラジャ族の中では徐々に薄れてきています。

トラジャ族(Toraja)は何を食べているの?

棚田を耕して得る稲が主食であり、人とともに田んぼを耕す水牛は、貴重なたんぱく源にもなってきました。

狭いながらも土地と豊かな水に恵まれているため、農業・農耕ともに彼らの生活を満たす分は収穫可能です。

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トラジャ族(Toraja)の仕事は何を?

農耕のほか、現在は多くのトラジャ族が観光収入を得ています。

それは、地元近くに作られたホテルやレストラン、お土産店などの観光施設の経営や雇われ人として得る収入だけでなく実際に村を訪れる人にトンコナンを見学させたり、死体と暮らす家庭内の様子を撮影させることなどによって得られるガイド観光料金もまた大きな糧になっています。

また、オランダ統治時代から始まったコーヒー豆の栽培は、オランダが去ったことで一時廃れましたが、日本のコーヒーメーカーによって復活し、現在は複数のコーヒーメーカーによる「トラジャ豆」の栽培がおこなわれ、トラジャ族もまたそこで働いています。

トラジャ族(Toraja)の恋愛事情と結婚事情について

トラジャ族は父系母系両系という珍しい民族です。新しく生を受けた子供は、父方母方両方の血脈を引継ぎ、財産も負債も両方から引き継いでいきます。また、生まれながらに持つ身分も引き継ぐとされますが、近年この身分制度はかなり崩れてきているそうです。

もともとは血縁による婚姻を優先し、集落内の親族関係を強めることで村をまとめてきました。この傾向は、身分が高くなるほど強くなるそうです。

異なる身分間での結婚は原則として禁止されてきましたが、近年は上流階級との結婚によって自身とその子孫の階級を高めようとする動きも少なくないといわれています。

トラジャ族(Toraja)のイベント・祭りについて

トラジャ族にとってもっとも重要なイベントは「葬式」です。

近年薄れつつあるとはいえ、彼らが伝統的に信じてきたアニミズム精神の中では、死者は上界へと旅立ちます。

上界へと旅立つ死者を送る儀式は盛大であるべきであり、そのための家屋を建て、多くの生贄にされる水牛の準備も必要です。トラジャ族は大切な家族を立派に送り出すために、死んだ後数カ月にわたって準備をします。その間、死者はホルマリンなどによって徐々にミイラ化しながら、生前とほぼ同じ生活を送ります。食事を配され、寝床で眠り、時には清拭も行われて、家族とともに暮らすのです。

葬儀が盛大に行われたあと、ミイラ化した死者は崖などに掘られた墓に安置されます。墓の前には家族が暮らす村を見下ろせるように死者を模した木彫りの人形が置かれます。

トラジャ族(Toraja)の民族的な由来は?

トラジャ族がどこから来たのか、はっきりとは解明していないものの、ベトナム方面から海を渡ってきたのではないかと考えられています。

彼らは民族間でだけ使用される言語を持ちますが、基本的に文字はありません。彼らの伝承の数々は、絵文字のように掘られた木彫り細工の中に残っています。

研究者の間では、彼らの住居であるトンコナンの形や古い時代の棺の形状などから、海洋民族の先祖を持つと考えています。船で海を渡り島々を伝ってインドネシアにまでたどり着いたのでしょう。

現在のトラジャ族(Toraja)たちが抱える問題は?

20世紀に入ってイスラム教とキリスト教、両方の影響を受けたトラジャ族ですが、オランダの圧力と観光客影響を受けた結果、キリスト教文化を受け入れることになりました。そして、彼らが持つ独自のアニミズムを基礎にする文化の多くが上書きされて失われつつあります。

彼らの生活は現代化して、身分の低い者の中であっても、富を得、身分もまた得ることもできるようになりましたが、同時に違った形での格差、主に経済的な格差が新たに生まれています。

また、一時は観光収入で大きく潤ったトラジャ族ですが、観光の目玉であった彼らの伝統文化が薄れたり失われたりする中で、徐々にその人気も陰り、観光客数も減ってきています。

まとめとして

今もトラジャ族の集落を訪れれば、トンコナンもあれば、死者ともに暮らす生活ぶりも見ることができます。それは若干、ヤラセ観を含むように見えますが、彼らが受け継いできた文化であることは確かです。逆に見れば、観光客がそれを目的に村を訪れることが、トラジャ族である彼らの伝統を守ることにもつながっているとみることもできます。

バリ島とともに、インドネシアの「訪れるべき場所」といわれたトラジャ族の村。その魅力が薄れきらないうちに、そして、失われてしまわないためにも、今のうちに訪問しておきたいものです。

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