アフリカの先住民の中で、もっとも古い歴史を持ち、最も低い身長を持つのがピグミー族。
古くは自然豊かなアフリカ全土に多くのピグミー族が暮らしていましたたが、自然が徐々に失われていく今、ピグミー族もまたすっかり少数民族になってしまいました。
ピグミー族にはどこへ行けば会えるの?
中央アフリカの森で暮らしてきました。彼らは狩猟民族なのです。そのため、熱帯雨林の減少とともに、彼ら自身もまたその数を減らす結果になっています。
現在のピグミー族の分布は、コンゴ盆地の東部と西部、ルワンダ、カメルーンなどが記録されています。より大勢の、伝統的な暮らしを続けているピグミー族に会いたいならば、コンゴのイトゥリの森がおすすめ。
ただ、彼らの集落は森の中。そこまで行くには、最寄りの街までバスなどを使った後は、車をチャーターしての移動になります。最寄りの街から往復で数日はかかると考えておきましょう。
ピグミー族はどんな生活をしているの?
濃い血縁関係者が集まって村集落を形成しています。中心となるのは、男性。男性の中でも中年の村長が生活全般の指揮をとります。
男性は毎日狩猟に、女性は子育てや家事など狩猟以外全般の仕事を担っています。
本来、昼間は男性の姿が集落から消えるのですが、アフリカの各国の政策によって狩猟の制限が行われているため、近年は、昼間からぶらぶらしている男性ピグミーも増えています。彼らは、政府から支払われる保証金で生活の保護を受けて暮らしているのです。
ピグミー族は何を食べているの?
狩猟生活では、その日の獲物を焼いて食べるのが一般的ですが、近年は集落で鶏や牛を飼い、そのミルクや卵、肉を食べるほか、簡単な豆や野菜なども作っているので、食事のバラエティさもバランスもアップしているそうです。
観光客が訪れると、料金は取られるものの、彼らの作った野菜と肉の煮込みなどを食べさせてもらえることもあります。
PR広告
ピグミー族ってどんな服装をしているの?
特別な民族衣装はありません。従来は、腰に布を巻く程度の軽装だったそうですが、現在は着古した洋服などを着ています。
ピグミー族の仕事は何を?
本来は狩猟が彼らの主要な仕事でした。ただ、現在は森林の縮小、獲物の減少、政府の規制などから、狩猟が成り立たないことが増えています。
そのため、ピグミーたちは、政府の保証の元で悠々自適な暮らしをしていたり、ピグミーの集落を訪れる観光客相手の写真撮影やおみやげ物販売などで収入を得ていることもあります。
そんな村だと、比較的街から近くアプローチは簡単で、入村料さえ支払えば、彼らの暮らしの様子も間近で見ることができます。ただし、彼らは現金収入を得るために、写真撮影に礼金を求めたり、かなりしつこくおみやげ物などを押し売りしてくるという、困った面もあります。
また、狩猟が行われなくなってきていることから、細々ながら、酪農や農業の補助や指導を受けて、収穫を得るようになってきています。
ピグミー族の恋愛事情と結婚事情について
ピグミー族はピグミー族との婚姻を優先してきました。ただし、村の中は非常に血縁関係が濃いため、近隣のピグミー族との縁談が多かったそうです。
その場合、男性優位な民族であること、狩猟民族と農耕民族間での物々交換の必要性があったことなどから、狩猟を主体とするピグミー族の女性が近隣の農耕を行うピグミー族のもとに嫁ぐというパターンが繰り返されたと考えらえています。
現在は、特にピグミー族内の結婚にこだわらないようで、徐々にではありますが、ピグミーの女性と民族外部の男性との婚姻による混血化も進んでいるそうです。
また、ピグミー族は、遺伝的に成長が早いため、結婚年齢も早めです。
ピグミー族のイベント・祭りについて
ピグミー族はアカペラが得意。美しくも奇抜、そして複雑なシンフォニーを歌声だけで作り出します。でも、そのスゴイ歌がまた、その場限りの即興とのこと。
アミニズムの影響もあり、本来は他人には見せない祭りごとの中で、踊ったり歌ったりしてきましたが、現在は、料金の交渉次第で、どちらも見ることも参加することも可能です。
ピグミー族の民族的な由来は?
ピグミー族とは総称で、実はアフリカ各地に散らばった彼らはそれぞれに民族名を持ちます。呼び名だけでなく、言葉も生活習慣も祭りごとなども異なることがあります。
それでも、彼らの外見的な特徴である低身長は完全なる共通項。成人しても平均身長は150cm以下。アフリカの民族としては薄く茶色いチョコレートに近い肌色。細くも筋肉質で短足のムキムキ体型。
これらの特徴は、彼らがアフリカの森林内で他の人種と交わることなく独自に進化したために起きたのではないかと考えられています。小柄で身体能力が高い、これが、森林内での狩猟と生き残りの条件だったわけです。
現在のピグミー族たちが抱える問題は?
森林の減少、狩猟を制限などにより、ピグミー族は彼らの伝統的な生活スタイルを守れなくなってきました。
多くのほかの少数民族たちと共通の問題ですが、伝統を守ることと、政府の保護を受けることとは両方どりができません。結果として彼らの多くが選ぶのが、政府の保護を受ける道。
ピグミー族は都市への移住はあまり行っていませんが、政府によって斡旋された地域へ移定住し、農耕へとその生活スタイルを変化させています。それと同時に、観光客を受け入れることで、彼らの経済観念が狂い、観光客との間でトラブルが発生する例もあるようです。
森を失いつつあるピグミー族にとって、ベストな選択肢はどこにあるのでしょうか。
まとめとして
150cm以下の身長、長めの手に短い足、クリっとした瞳とチョコレート色の肌。そんな非常に特徴的な姿をしているため、ピグミー族は古くから、アフリカを訪れる異国人たちの興味をひいてきました。
また、森の奥で暮らし、めったに外部の人との接触がなかったこと、独特の歌声のあまりの美しさもあり、一時は森の妖精や悪魔といった捉えられ方もしたそうです。
良くも悪くも、現在も彼らの身体的な特徴は大きく変わっていませんが、彼らの生活環境は変わってしまい、森の木陰に妖精を見かけたり、森の奥から悪魔の素晴らしい歌声が聞こえてくるという不思議な体験はできなくなってしまいました。
その代わり、彼らが定住した村が観光用に一部開放され、観光客はそこで彼らの文化の一部を除いたり体験したりできます。身近になったことを喜ぶべきか、本来の姿を失いつつあることを悲しむべきか。
その答えを見つけるためには、彼らの住む場所へと遠い道のりを車に揺られていくしかなさそうです。