音楽によって戦争が休戦状態に~ガンナムスタイルでイスラエル兵士とパレスチナ住民が意気投合

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ガンナムスタイルで意気投合したイスラエル兵士とパレスチナ住民の一夜限りの休戦

イスラエルとパレスチナ。永遠に終止符を打つことができないのではないかと思えるような、泥沼の戦いが続いているエリアです。宗教的にも民族的にも歴史的にもあらゆる面から重要な「聖地」であるが上に起こる奪い合い。

ところが、そんなイスラエルとパレスチナの若者が、たった一夜、意気投合する瞬間があったことを示す動画があります。K-POPの人気シンガーPsyヒット曲「Gangnam Style」に合わせて踊り、ハイタッチをするイスラエル軍兵士とパレスチナの若者の姿は、何を意味しているのでしょうか。

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パトロール警戒中に聞こえてきたGangnam Style

イスラエル軍兵士は、いつも通りの巡回警備中だったといいます。全身は迷彩色、ヘルメットに防弾服も着こんでいます。そして肩に下げ腕で支えているのは、間違いなく機関銃。

彼らは巡回中にあるビルから「Gangnam Style」が響いてくるのに気づきました。時は少し下った2013年のこと。全世界的にGangnam Styleが大ヒットを飛ばし、若者たちが狂ったように踊りまくっていた頃です。

イスラエル兵がそのビルに入ってみようと思ったのは、その曲の魅力に惹かれたからなのか、それとも、その音源を怪しんでのことなのかは分かりません。3人の兵士たちが入ったビルの中にあったのはクラブ。そこはパレスチナの若者たちが親や政府の目を盗み、集まって歌い踊って楽しみ場所の一つだったのです。

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そこはパレスチナ自治区ヘブロン

クラブがあったのは、パレスチナ自治区内、ヨルダン川の西側地区のヘブロンという都市。エルサレムからは南に位置しています。ヘブロンは、一般的な日本人にとって耳にすることは多くない地名でしょう。

ヘブロンはエルサレムと同様に、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通の聖地です。当然のように、奪い合いの的となってしまいます。1997年にパレスチナ・アラブ住民とユダヤ人入植者の争いをいさめる形で合意に至った「ヘブロン合意」では、80%をパレスチナ自治政府治安部隊が、20%をイスラエル軍が管理することを定めています。

両サイドの住民と兵士が混在する地域である以上、いさかいが起こらないわけはなく、その規模は嫌がらせから暴力、殺害、武力行使まであとを絶ちません。

そこに根付いた両者の溝の深さは、ヘブロン暫定国連監視団が置かれていることからも想像できます。

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ヘブロン住民はハマス系

ヘブロンは、イスラエルとのいさかいの最前線に近いこともあり、その住民にはハマス系が多いといわれています。

ハマスとは、正式名称「イスラム抵抗運動」を意味するアラビア文字の頭文字からきています。日本では「イスラム原理主義組織ハマス」と呼ばれることが多いでしょう。

イスラム主義をとなえる政治団体ですが、内部には巨大な軍事部門を抱え、対イスラエルテロリズムも行う武闘闘争も行っています。

ヘブロンはパレスチナ人が多く、それもハマス系が多く、対イスラエル感情はお世辞にはよくないエリアであるのが分かります。

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クラブはパーティーの真っ最中

報道によると、その日そのクラブでは結婚を祝うダンスパーティーが開かれていたようです。イスラエル兵が侵入してきた時には、既にパーティーはかなり盛り上がっていました。

会場を埋めるパレスチナ系の若者たちが笑顔で体を揺らし、あのPsyのダンスをマネる様子は世界各地の若者たちとなんら変わりありません。

自分たちの日常となんら変わらない様子でパーティーでダンスを楽しむパレスチナの若者を目の当たりにしたイスラエル兵士たちは、どんな気持ちだったでしょうか? いえそれよりも、お楽しみの現場に重装備で現れた敵兵を見たパレスチナの若者たちはいったいどう思ったのでしょうか?

意気投合した両者

細かい経緯はわかりません。でも、動画サイトにアップされた多くのビデオからも、それらを取り上げた報道からも伝わってくるのは、パレスチナの若者とイスラエル兵は手に手を取ってともに踊り楽しんだということです。

パレスチナ人のパーティーに、招待状の代わりに機関銃付きで乗り込んできたイスラエル兵は、そこで袋叩きにあったとしても不思議ではなかったでしょう。逆に、巡回警備中に発見したパレスチナ人のハッチャケパーティーを、イスラエル兵が機関銃の威力を借りて解散させることだってできたでしょう。

でも、実際にはそうなりませんでした。

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パレスチナ人がイスラエル兵を肩車するシーンも

パレスチナ人たちの群れの真ん中に現れた兵士たち。その一人は、なんとパレスチナの若者の肩に担がれています。もちろん、迷彩ヘルメットをかぶり、手に銃を持ったままです。

戸惑った様子も見えますが、音楽が盛り上がりその瞬間がやってくると、その兵士は片手をあげ、肩を揺らして踊り始めます。それを見たパレスチナ人たちも歓声をあげて激しく踊ります。

さらに、何組かの肩車組が現れ、担がれている兵士と担がれているパレスチナ人の若者がハイタッチの形で手を合わせる場面もあります。

なんとも、びっくりするような「平和」がそこにはあります。

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居合わせた人はその瞬間に感動

この驚くべき瞬間に居合わせたのはパーティーに参加していたパレスチナ人の若者たちです。彼らは、日ごろ自分たちの街を銃を持って見回り、自分に向かって銃口を向けることさえあるイスラエル兵が自分の仲間の肩に乗って踊るという姿を目の当たりにした時、そこに湧いてきたのは「感動」だったようです。

表現する感情は「怒り」や「呆れ」や「不愉快」でもおかしくない場面です。多勢に対してたったの3人の兵士。袋叩きにすることだって可能なはずです。

しかし実際には、踊る兵士たちをとりまくパレスチナ人たちが、この感動的な瞬間を残そうと、携帯を握った手を伸ばして撮影しようとしている様子もまだビデオに映っています。

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背景は複雑でも若者同士、通じる心も

背負う文化や宗教、国の名は違っていても、同じ音楽を好み、踊って楽しむ心を持つ、若者同士であればさらに感覚的に近い部分は多く強いでしょう。

パレスチナとイスラエルという敵同士であるからこそ、その間に起こった「事柄」次第で、その感情も行動もどっち側にも転がる可能性があります。そこに「カッ」となることがあれば、暴力事件になるかもしれません。「オオッ」と思う事ならば、感動や握手で盛り上がることもあるのです。

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パレスチナ国内では

ガンナムスタイルが結んだ、パレスチナとイスラエルの若者の一時の休戦。パレスチナ国内ではどちらかといえば好意的に受け取られ、特にアップされた動画たちは若者を中心として多くのフォロワーがつき、拡散されました。

問題はイスラエル側。何しろ、仕事中だったのがマズかったし、動画取られ放題で、面が割れてしまったのもマズかったようです。

イスラエル軍はこの一件を深刻に受け止め、パレスチナ人の肩車でガンナムスタイルを踊ったイスラエル兵士は、それなりの処分を受けたようです。

その理由として発表されたのが、「兵士たちは必要のない危険に自らの身を晒した」というコメント。確かに、そこに生まれたのが「感動ではなく「反感」だったなら、彼らの銃も自由も奪われ、命さえ危うかった可能性もゼロではない以上、この処分もまた仕方のないものなのかもしれません。

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まとめとして

「これは深刻な問題」だとするイスラエル軍の言葉も分かります。

それでもなお、両陣営の若者たちが、きっかけさえあれば手をつなぎ合えることを証明するこの出来事には価値があると思いたい気持ちもあります。

若者たちの心に生まれるのが「反感」や「殺意」ではなく、「共感」や「感動」であったことが、将来的に明るい見通しが立たないイスラエル・パレスチナ問題を照らす小さくとも確かな灯りのような気がするのです。

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