「五能線」ローカル線の旅~途中下車と車両選びで変わる楽しみ方

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海山里をお腹いっぱい堪能できる天然観光列車に乗ろう/秋田県・能代、青森県・弘前ほか

全長147km、43駅の五能線は、秋田県から青森県にかけての日本海岸沿いをメインコースとするローカル列車「五能線」。春には一斉に萌える草の香りと磯の香りの中を、夏はさわやかな海風・山風を受けて、秋には荒れ始める海と目にまぶしい紅葉を楽しみ、冬には真っ白な世界を駆け抜ける。

古くはリンゴの貨物輸送ラインだった五能線も今はリゾートライン。その天然ビューのすばらしさを目で、沿線の味は舌で湯は体でと、堪能し尽くそう。

リゾートしらかみで車窓も車内も途中下車も楽しむ

五能線は東北新幹線の開業を受けて開花した。

現在は観光列車の「リゾートしらかみ」が五能線のスターとして活躍している。走る路線はローカル五能線と同じなので、見える景色ももちろん同じ。スピードが出る分一つの風景が目に映る時間は若干少なめだが、窓が大きい分視野が広く雄大な自然に視覚的に圧倒されたいなら、おすすめだ。

さらに、全席指定の座席はキッチュな幾何学模様。客車天井部には運転席から見える「リゾートしらかみ」視線の眺めを常時映し出すモニターが設置されていて、これまた視点が変わって楽しい。

展望スペースがあり、自分の座席以外からの風景を楽しんだり、写真撮影にも使えると好評だ。

また、個人の旅なら時刻表をよく見てみよう。魅力的な路線をスイッチバックで行ったり来たりする設定の快速列車「リゾートしらかみ」を見つけられるかもしれない。乗り放題チケットを使ってこれに乗り込めば、行って帰ってまた行くという同じ路線を3回味わえるし、途中下車もし放題なわけだ。

車両選びで変わる楽しみ方

リゾートしらかみは乗り心地も良ければ、サービスもいい。車内では、車掌による観光案内のほか、津軽三味線のライブあり、津軽弁での語り部実演あり、津軽伝統芸能のパペットショーもある。非常に芸達者な列車なのだ。

でも、安く途中下車をコツコツ楽しむならディーゼルもありのローカル普通列車も捨てがたい。ガタンゴトンプシューの繰り返しリズムお尻でしっかりとこれでもかと味わえる。もちろん、車窓はゆっくりと流れていくので、じっくり楽しめる。全線路をぶっ通しで揺られて4時間半という列車は実はほとんどない。見つけて乗れたらラッキーだ。

ただ、狙った1本を逃したなら、その日のうちに終点まではたどり着けない…なんてこともある。途中下車もし放題だが、したら最後、やはりその先の目的地に到達できないかもしれない。次の普通列車が5時間後ならまだマシ。翌日までない場合のほうが多いと思っておこう。

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車窓から見る夕陽が自慢。オラが世界一!

日本海は日本の西側にある。五能線は日本の西海岸を日本海沿いに走る。当然、夕陽はがっつりとみることができる。夕陽は刻々と沈んでいく様を眺めるのが感動を呼ぶ。だから、できればお気に入りのスポットで途中下車してじっくり夕陽と付き合いたい。

季節によって夕陽タイムは異なるので、どのあたりで夕陽を見たいのか、よく検討してから列車を選ぶ必要がある。もちろん、座席選びも重要なポイントだ。

どのポイントから見る夕陽が一番キレイかという質問があがるが、どこでもキレイとしか言いようがない。それぞれの海岸が味を持つように、そこで見る夕陽もそれぞれに味がある。迷うならば、途中下車ではなく、海岸間際を走るエリアに夕陽タイミングを合わせて車窓から見るのが正解かもしれない。

岩木山麓で手軽な白神山地の端っこに寄り道

途中下車でハイキングという楽しみ方もある。

五能線は海と山の両方を楽しめる路線だ。しかし、海の近さから迫力がありすぎて、どうしても視線も関心も海に向かいがち。

だが、東北が誇る東北富士「岩木山」もあれば、その麓にある世界遺産の「白神山地」もすぐそこなのだ。しかし、どちらも深い森であり、本格的に足を踏み入れるには重装備と体力が必要。

だが、岩木山裾野の十二湖は、周囲の緑と太陽光線によって、常に色が変わるといわれる幻想的な池が点在する。白神山地と同じブナ林の散策もできる。

五能線奥十二湖駅からのバスアプローチで数時間のハイクが可能。非常に手軽に森林浴が楽しめるコースなので、ぜひ足を運びたい。

日本海を堪能する深浦海岸と千畳敷海岸

深浦駅は海岸線から若干離れているが、深浦前後は海岸線スレスレ、海の潮飛沫がかかりそうな、いや、風向きによっては実際にかかる位置を走る。

深浦から広戸までは、行合崎海岸があり、ツンツンした岩がゴロゴロと白い波間から顔を出す、荒々しい奇岩が続く。波が岩にぶつかってはじける音が聞こえてくるほどの距離感だ。

さらにしばらく北上すると千畳敷へと入る。日本各地に千畳敷と呼ばれる地域はあるが、ここは地殻変動で隆起し、さらに荒波が侵食して広々とした岩棚を作り出している。ライオン・鎧と名の付く岩もあり、夏には、キャンプや海水浴のメッカとして人が集まるが、冬は誰一人寄り付かず、離れたところから水平線に沈む夕日を楽しむ。

日本海に浸かっているみたい…海岸の岩風呂

「不老ふ死温泉」とは大胆なネーミング。日本人の、人類の見果てぬ夢が叶うかも、と思わず思えるほどの高揚感を味わえる海岸風呂をもつ宿泊施設だ。

岩場の上に造られた露天風呂は、悪天候時は日本海の荒波をもろにかぶるため、入浴ができなくなるという。普段は、潮騒・潮風・潮飛沫を顔に浴びながら、体はポカポカ&ヒリヒリ。塩分の強い湯で珍しい赤茶色の温泉は殺菌効果と美肌効果の両方どりが可能。

夕暮れには夕陽も星空も楽しめる海岸露天風呂のほか、ガラス張りのパノラマ展望風呂やサウナもあり立ち寄り湯としても宿泊地としても活用したい。

また、ここを拠点として近隣の大自然を満喫できるハイキングやトレッキングのガイドツアーもあるという便利なスポット。

海と山と温泉を楽しんだ後は、日本一ともいわれる満点の星空を眺めてみてはいかがだろうか。

まとめとして

リゾートしらかみは大人気路線。座席指定チケットは発売とともに売り切れることも多いため、計画的かつ速攻で確保する必要がある。鈍行利用の場合には、時間だけでなく、「今日はここ泊まりでもいっか…」的心の余裕も必要かもしれない。

また、五能線のリゾートしらかみはあくまで「快速」列車。そう! 青春18きっぷに座席指定料金さえ上乗せすれば乗れてしまう。季節は限られるが、1日乗り放題で合計3000円弱。これで五能線を、リゾートしらかみを乗り放題とは太っ腹。

たとえ乗り鉄でなくても必ず満足できる五能線。行きはただの観光客でも、帰りはテツ化しているかもしれない。

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